8 / 29
ウサギとカメのデットヒート
聖子 変態の居ぬ間に洗濯
しおりを挟む
非番の日。
私は自宅の掃除に精を出していた。
一気に溜まっていた洗濯物を片付け、水回りを磨き上げる。
部屋全体に掃除機をかけると久しぶりにすっきりとした気分になった。
やっぱり私はこうやってお掃除している時が一番安らげる。
私は自分の住むアパートが大好きだった。
お気に入りの家具に囲まれて過ごすのは最高だと思う。
誰にも侵されたくない私だけの部屋。
異物を混入させたくない聖域。
洗濯は鬼が居ぬ間に……。いや、変態が居ぬ間にするに限る。
残念ながら非番でも邪魔が入る事はあるけれど……。
案の定、その日も邪魔が入った。
『おーす! せーこたん! 非番の日に悪いねー』
電話の主は鑑識の勇作さんだ。
「お疲れ様です! 部屋の掃除も終わって暇してたんで大丈夫ですよー」
『おお、綺麗好きだなー。なぁ。せーこたんさー、実はこの前の土左衛門の事で判った事あったから連絡したんだー。やっぱり事故じゃねーみてーだぞ?』
勇作さんは簡単に検死報告を説明してくれた。
京極大輔の遺体から微量ながら毒物が検出されたらしい。
被害者の身元調査から心臓に疾患があった事も判ったようだ。
「心疾患だったんですね……」
『そうだ! 普通ならこの量で死ぬような毒物じゃねーけど、心疾患があったんなら話は別だ。おそらく誰かが被害者の病気を知っていて毒を盛ったんだろうよ』
「そうですか……。連絡ありがとうございました」
『おぉ! じゃあまた明日詳しく教えっからなー!』
私は勇作さんにもう一度よく礼を言うと電話を切った。
伊瀬さんにも連絡しなければ……。確か彼も今日は非番だ……。
私は携帯の電話帳から伊瀬さんの電話番号を呼び出した。
数回呼び出したが彼は出ない。
私が出ないと怒るクセにに自分では掛け直してさえ来ない……。
「ま、いいか」
私は独り言のように呟くと諦めて携帯をソファーに放り投げた。
私は仕事の事は忘れて録り溜めておいたテレビドラマを見始めた――。
自分の職業柄もあるけれど、私は刑事ドラマを見るのが好きなのだ。
ジャニーズのタレントが主演してる刑事ドラマを見るのは、私の数少ない趣味の一つだ。
だいたい非番の日はこれで一日が終わってしまう。
まだ刑事になる前、私は猛烈なジャニオタだった。
ネット上で知り合ったジャニオタ仲間と連んだり、コンサートに行ったりするのに必死だった……。
実際にはファンクラブに入っていてもチケットを手に入れる事は難しく、泣き寝入りする事が多かったけれど……。
ドラマを一通り見終わる頃には既に外は暗くなっていた。
今日も無事、一日を無駄遣いする事が出来たようだ。
有り難くも残念な事に……。
夕飯を作るのが面倒だった私は近所にあるコンビニに行った。
クリームパスタとホットスナックを買ってきて簡単な夕食にしよう。
以前はきちんと自炊していた時期もあったけれど、今は外食かコンビニ飯で済ませている。
料理していたのは、当時付き合っていたヒモに食わせるためだった。
自分のためにわざわざ料理なんかしたくない。
私はつくづく男運がないのだ。
好きになる相手は例に漏れる事無く全員がクズだった。
ヒモ男なんて何人も居たし、ほぼ全ての男が異常性癖を持った奴だった。
中には既婚者も何人か居た。
世間一般で言うところの『不倫』というモノも数回してきた。
不貞行為による損害賠償請求をされた事ないのが不幸中の幸いだけれど……。
これは自慢ではないのだけれど、落とそうと思って落ちなかった男は一人も居なかった。
この事を友人に話すと「聖子は魔性の女」呼ばわりされる。
でも……。私だって幸せになりたいのだ。
お金持ちのイケメンで、私を甘やかしてくれて、家事もしないで良いって言ってくれる素敵なダーリンが欲しい。
ごめんなさい。
我が儘言いすぎました。
そんな下らない事を考えながらその日は終わった。
明日にはあの変態と京極大輔の話をしなければならないだろう……。
私は自宅の掃除に精を出していた。
一気に溜まっていた洗濯物を片付け、水回りを磨き上げる。
部屋全体に掃除機をかけると久しぶりにすっきりとした気分になった。
やっぱり私はこうやってお掃除している時が一番安らげる。
私は自分の住むアパートが大好きだった。
お気に入りの家具に囲まれて過ごすのは最高だと思う。
誰にも侵されたくない私だけの部屋。
異物を混入させたくない聖域。
洗濯は鬼が居ぬ間に……。いや、変態が居ぬ間にするに限る。
残念ながら非番でも邪魔が入る事はあるけれど……。
案の定、その日も邪魔が入った。
『おーす! せーこたん! 非番の日に悪いねー』
電話の主は鑑識の勇作さんだ。
「お疲れ様です! 部屋の掃除も終わって暇してたんで大丈夫ですよー」
『おお、綺麗好きだなー。なぁ。せーこたんさー、実はこの前の土左衛門の事で判った事あったから連絡したんだー。やっぱり事故じゃねーみてーだぞ?』
勇作さんは簡単に検死報告を説明してくれた。
京極大輔の遺体から微量ながら毒物が検出されたらしい。
被害者の身元調査から心臓に疾患があった事も判ったようだ。
「心疾患だったんですね……」
『そうだ! 普通ならこの量で死ぬような毒物じゃねーけど、心疾患があったんなら話は別だ。おそらく誰かが被害者の病気を知っていて毒を盛ったんだろうよ』
「そうですか……。連絡ありがとうございました」
『おぉ! じゃあまた明日詳しく教えっからなー!』
私は勇作さんにもう一度よく礼を言うと電話を切った。
伊瀬さんにも連絡しなければ……。確か彼も今日は非番だ……。
私は携帯の電話帳から伊瀬さんの電話番号を呼び出した。
数回呼び出したが彼は出ない。
私が出ないと怒るクセにに自分では掛け直してさえ来ない……。
「ま、いいか」
私は独り言のように呟くと諦めて携帯をソファーに放り投げた。
私は仕事の事は忘れて録り溜めておいたテレビドラマを見始めた――。
自分の職業柄もあるけれど、私は刑事ドラマを見るのが好きなのだ。
ジャニーズのタレントが主演してる刑事ドラマを見るのは、私の数少ない趣味の一つだ。
だいたい非番の日はこれで一日が終わってしまう。
まだ刑事になる前、私は猛烈なジャニオタだった。
ネット上で知り合ったジャニオタ仲間と連んだり、コンサートに行ったりするのに必死だった……。
実際にはファンクラブに入っていてもチケットを手に入れる事は難しく、泣き寝入りする事が多かったけれど……。
ドラマを一通り見終わる頃には既に外は暗くなっていた。
今日も無事、一日を無駄遣いする事が出来たようだ。
有り難くも残念な事に……。
夕飯を作るのが面倒だった私は近所にあるコンビニに行った。
クリームパスタとホットスナックを買ってきて簡単な夕食にしよう。
以前はきちんと自炊していた時期もあったけれど、今は外食かコンビニ飯で済ませている。
料理していたのは、当時付き合っていたヒモに食わせるためだった。
自分のためにわざわざ料理なんかしたくない。
私はつくづく男運がないのだ。
好きになる相手は例に漏れる事無く全員がクズだった。
ヒモ男なんて何人も居たし、ほぼ全ての男が異常性癖を持った奴だった。
中には既婚者も何人か居た。
世間一般で言うところの『不倫』というモノも数回してきた。
不貞行為による損害賠償請求をされた事ないのが不幸中の幸いだけれど……。
これは自慢ではないのだけれど、落とそうと思って落ちなかった男は一人も居なかった。
この事を友人に話すと「聖子は魔性の女」呼ばわりされる。
でも……。私だって幸せになりたいのだ。
お金持ちのイケメンで、私を甘やかしてくれて、家事もしないで良いって言ってくれる素敵なダーリンが欲しい。
ごめんなさい。
我が儘言いすぎました。
そんな下らない事を考えながらその日は終わった。
明日にはあの変態と京極大輔の話をしなければならないだろう……。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる