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DISK1
第十話 妄執とアフターダーク
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「ありゃりゃ、今度は俺がガーターだね」
ジュンはそう言うと、笑いながら舌を出した。
「イエーイ! ジュン君のゲスい恋愛話聞かせてもらうよー」
ウラはさっきまでの憂さを晴らすかのようにジュンに寄り掛かる。
「そうだね……。京極さんにも面白い話聞かせてもらったし今度は俺が話すよ」
ジュンはレーン前の椅子に腰を下ろすと話し始めた。
『Pure』 Garter
あれは俺が上京してから半年後のことだ。
その頃は母親の仕事の手伝いにも慣れて余裕が少しずつ出始めていた。
仕事の関係で完全な夜型になっていたが、これといって不便は感じなかった。
母はバラエティ番組などにはあまり出演しなかった。
民放のドラマの仕事が多く、ロケの時はいつも俺が運転手になって現場に向かっていた。
《多賀木マリ》は間違えなく俺の母親だ。
これは別に他意があるわけではない。単に生物学的にそうだという事実だ。
それでも彼女が自身の母親だという実感があまり涌かなかった。
俺はいつも彼女のことは「母さん」と呼ばずに、「マリさん」と呼んでいた。
彼女は彼女で俺のことは名前ではなく「高木君」と呼ぶ。
妙な距離のある母子関係なのは確かだ。
でも俺はその絶妙な距離感が好きだった。おそらく彼女も。
母は俺に対して基本的に寛大だった。
給料も大学の初任給にしては多い額を貰えたし、希望を出せばある程度休みも貰えた。
そう言った意味では理想の環境だと思う。
歪んだ母子、理想的な上司と部下。そんな関係だった。
前振りが長くなったけれど、マリさんのお陰で俺はバンド活動もそれ以外のことも割と自由が利いたのだ。
そんな状況だったからこそ俺は《彼女》と出会い、そして離れていった――。
上京して半年後の11月某日。
俺は上野公園のベンチに座って、退屈な時間を過ごしていた。
鳩が首を前後に振りながら、子供がこぼしたスナック菓子のカスを摘まんでいるのを唯々眺めるくらいの退屈な時間だ。
マリさんの送迎の空き時間は本当に何もすることがない。残念なほどに。
上野公園の街路樹は紅葉し、一面に落ち葉の絨毯が敷き詰められていた。
銀杏の黄色と楓の赤はまるで前衛芸術のような模様を作り上げている。
彼女はそんな黄色と赤の世界の中心にぽつりと現れた。
「あの……。となり空いてますか?」
彼女は少し傷んだ茶髪をかき上げながら俺に尋ねた。
「空いてますよ」
「お隣よろしいですか?」
俺は断る理由もなかったので、「どうぞ」と答える。
彼女は笑顔で「ありがとう」と言うとゆっくりと腰を下ろした。
そしてバッグから紀伊國屋のブックカバーの付いた文庫本を取り出し、ページを捲り始めた。
横に見知らぬ女性が居るというのは妙な居心地だった。
自然と彼女の方に目が行く。
彼女はまるで美味しいケーキでも食べているような顔で本を読んでいる。
雰囲気的にはイチゴのショートケーキというより、キウイのタルトといった感じだ。
よく分からない表現だが、そんな表情だと思った。
上野公園は相変わらず穏やかな午後だった。
彼女が隣に座ってから風が出てきたのか、少しだけ肌寒く感じる。
風で落ち葉は舞い上がり、子供たちが楽しそうに吹き飛ばされた落ち葉を追いかけている。
「風が出てきましたねー」
彼女は本から顔を上げると穏やかな表情で俺に話しかけてきた。
「急に寒くなりましたね。さっきまで暖かかったんですけどね」
「そうそう! せっかくの休みだから公園でゆっくり本でも読もうと思ったんですけど、ちょっときついです。あ、ごめんなさい。よく知らない女にこんな話されても困りますよね?」
思いのほかおしゃべり好きなようだ。でも嫌な感じはしない。
「いえいえ、俺も暇ですから。今、上司を送った帰りでやることもなくて暇してたんです」
「なら良かった! 良かったら少しお話しません?」
「ええ、いいですよ」
不思議な女性だ。おそらく変わっていると思う。
それから俺たちは他愛のない世間話をした。
暇は道連れ……。たまには暇仲間が居ても問題ないだろう。
彼女はまず簡単な自己紹介をしてくれた。
名前は中宮理沙。年齢は28歳。普段は出版社で編集の仕事をしている。
普段から残業が多く、昨日は午前様だったらしい。
「たまにはゆっくり独りぼっちを楽しみたかったんですよ」と彼女は小さく欠伸をしながら眠そうに言った。
俺も自身の仕事について軽く話した。
「へー!! 多賀木マリさんの息子さんなんですね! 普段月9ドラマよく見るんであの方の演技好きなんですよー。特に嫌な女の役はうまいですよねー」
「ありがとうございます。本当はあの人、あんな性格じゃないんですけどね。あまり周りに関心がないっていうか、マイペースっていうか……。でも母親のこと褒めてもらえて嬉しいです」
「私も嬉しいです! だって彼女のお陰で主演の女優さんすごく可愛らしく見えるんですもん! あ……。こういう言い方すると失礼かもしれませんけど……」
そう言って彼女は困ったように笑った。
30分ぐらい談笑すると少し日が傾いてきた。
秋の穏やか日差しもあと少しで、夕闇に変わる。
「それじゃ高木さん! また会いましょう! 上野公園にはよく来るんで!」
彼女はそう言うと立ち上がる。
「ええ、またこの場所で」
俺たちはそう言葉を交わすと彼女を見送った。
それから少し時間を潰すと、俺はマリさんを迎えに行くために現場へと戻った。
それにしても妙に親しみを持てる女性だった。
清楚そうに見えて実は結構遊んでいる風であったし、人懐っこい表情はとても魅力的だった。
俺は柄にもなく、また彼女に会いたいと思っていた。
そして結果的に翌週彼女にまた再開することになる……。
翌週の月曜日のことだ。
その日は仕事も休みで、大志と京極さんとの打ち合わせまでの時間、暇していた。
午前中はスタジオを借りて軽くベースの練習する。
ジャズベースの調子は良い。むしろ今日ライブしたいぐらいだ。
練習が終わると、先日と同じように上野公園へ向かった。
半信半疑にベンチを見ると、そこには中宮さんが座ってた。
今度は俺の方から声を掛ける番だ。
「また会えましたね」
そう言って中宮さんの前に立つと、彼女は上目使いに俺を見上げた。
「こんにちは高木さん! 待ちかねましたよ!」
約束したわけでもないのに彼女はそう言って、俺にベンチに座るように促す。
「今日は俺も休みなんですよ! 夜にはバンドメンバーと打ち合わせあるんですが、それまで暇で……」
「そうなんですね。私、今日は外回りの途中なんです。作家さんの家に行った帰りで、これから本社に戻るところだったんです。今はちょっとサボり中」
彼女はそう言うと、お道化たように笑って舌を出した。
「会社戻らなくていいんですか?」
「本当はすぐ戻った方がいいんですけどね! たまにはゆっくりしよかなぁーって! 編集長にバレたらどやされちゃいますけどねー。高木さん良かったらお茶でもどうですかー。ゆっくりお話ししたいし!」
俺は彼女の誘いを一つ返事で受けると公園内の喫茶店に入った。
俺はコーヒーを彼女はミルクココアを注文する。
「バンド今どんな感じなんですかー」
中宮さんはそう言うと、ココアに息を吹きかけながら一口飲んだ。
「それなりですかねー。ヴォーカルの子がすごく上手くてどんどんレベルアップするし、やりがいあります! もう1人のドラムの幼馴染は商社勤めなんでなかなか時間合わせられないですけど……。まぁそれでもライブはそれなりにやってます」
「すごいなー。仕事と夢の両立できてるなんて尊敬しちゃいます! 私なんか仕事に追われて1年あっという間だし。まぁ、作家さんサポートしたりするのはやりがいあるし、楽しいんですけどね」
「俺は中宮さんのほうがすごいって思いますよ? だって誰かの夢を応援できる仕事っていいじゃないですか!」
「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいです! あ、連絡先教えて貰ってもいいですか?」
「もちろん!」
こうして俺たちは連絡先を交換した。
その日から俺たちは、割と頻繁に世間話をする間柄になった。
一回り歳が離れているというのに、彼女はとても気さくに俺の話を聞いてくれた。
そして俺も彼女の話をよく聞かせてもらった。
彼女にはここ5年間付き合っている男性がいるようだ。
どうやら作家のようで、かつて彼女が担当していた時に恋仲になったらしい。
彼女曰く、かなりの変わり者で彼女と籍を入れるつもりはないらしい。
ゴールのない恋愛をしているというのに、彼女はとても嬉しそうに彼の話を俺に聞かせてくれた。
まるで初恋でもしているように彼の話をする彼女の声は輝いて聞こえた。
楽しそうに話す声は、まだ幼さの抜けない少女のようだった――。
俺と中宮さんのそんな関係が半年ほど続いたある日。夜中に彼女から連絡が入った。
「高木くん、夜中にごめんね! 今から会えないかな?」
「え……。今からですか? 別に構いませんけど、珍しいですね。こんな夜中に」
「うん……。本当にごめんね。どうしても高木くんに会いたくてさ」
不思議に思いながらも俺は彼女に言われるがまま、指定された24時間営業のファミレスへと向かった。
ファミレスに着くと彼女はすでに来ていて、俯きながら席に座っていた。
「ごめんね。こんな夜更けに呼び出されて迷惑だったよね……」
「大丈夫ですよ。俺も曲書いてて起きてたし、そんなことよりなんかあったんですか?」
中宮さんは普段とは違い、目は虚ろで頬は真っ赤に腫れていた。
どうやら泣きはらしているらしく、声もどことなく擦れている。
「実はね。さっきまで彼のところいたんだけど、別れようって言われちゃったんだ。理由は言ってくれなかった……」
「え? だって先週、普通に会ったって言ってたじゃないですか? なんでそんな急に?」
「私にも分からないんだー。もうどうしていいか分からないよぉ」
そう言って彼女は泣き出してしまった。
俺は慰めながら彼女の話を聞いた。
自分の支えとしてる人に拒絶されたのがよほど辛いのか、彼女自身、自分で何を話しているのか理解出来ないようだ。
感情の起伏が激しすぎて、上手く宥められない。
俺は時間を掛けてゆっくりと彼女の感情に寄り添った。
テンプレートのような慰めの言葉も吐いた。
小一時間ぐらいそんなことを繰り返しただろうか?
彼女は泣いたり、怒ったりを繰り返しながら少しずつ落ち着きを取り戻していった。
「ねえ高木くん? もうどうでもよくなっちゃったから、これから一緒にホテル行かない?」
かなり意外な誘いだった。
俺自身、彼女とはそんな関係になるつもりなんてなかった。
たしかに彼女は魅力的な女性ではあったけど、オンナとして意識したことなんてない。
「え? え? なんでそうなるんです?」
「もうさー。本気でどうでもよくなっちゃったんだ。だから、私を理解してくれてる人に抱いてほしいんだよ! 高木くんが迷惑じゃなければ私は君に抱いてほしい」
「迷惑とかじゃないですけど……。いいんですか? そんな思い付きで……」
結局、俺はファミレスを出て、近くのホテルへと向かう羽目になる。
ホテルのフロントは酷く簡素で、「我々は君らの情事に干渉しない」と主張しているようだ。
ルームキーを受付で受け取ると2階の部屋へと向かう。
部屋に入るといかにもラブホテルといった感じの照明とベッドが設置してあった。
ご丁寧にベッド横のキャビネットにはコンドームとローションが備え付けられていた。
「高木くんちょっと待っててね。今シャワー浴びてくるからね!」
中宮さんがシャワールームに行ってしまうと、俺はとても変な気持ちになった。
いくら失恋したてだとしても、直後に他の男とラブホテルに来るなんて常軌を逸している。
何となくキャビネット上のコンドームを手に取って書いてあるパッケージを眺めながら彼女がシャワールームから出てくるのを待った。
普段の中宮さんならこんな思い付きで行動したりしない。
そう思うと、彼女が彼に対してどれだけ愛情を寄せていたのかが窺える気がした。
「お待たせ。シャワー浴びたら少しスッキリした!」
「それは良かったです。あの、中宮さん……。本当に良いんですか? 俺は構いませんけど、失恋してすぐにいきなりセックスしようなんて中宮さんらしくない気がします」
俺がそう言うと、中宮さんの表情には不安の色が一気に浮かんだ。
生まれたての子鹿のように震え、瞳は不安の色で濁っていた。
「高木くん! お願いだから何も言わずに私を抱いて! もう、本当にそれでいいから! 高木くんにまでそんなこと言われたら私……。もう私じゃいられなくなっちゃうよ……」
中宮さんはそう言いながらその場に泣き崩れた。
彼女は一糸纏わぬ姿で、部屋のカーペットの上で顔をぐしゃぐしゃにして泣いている。
俺は彼女どうにか抱き起して、ベッドの上に座らせた。
やれやれだ。いつものことだけど、こうなると女は面倒くさい。
どんなに清楚そうでも、逆に遊んでいても、好きだった男に捨てられるとこんな風になってしまう。
京極さんを除く全ての女は最終的にこうなるものだというのが俺の持論だった。
「ねえ中宮さん。本当は俺とヤリたいわけじゃないですよね? ただ、今の寂しさをどうにか埋めたいってことだと思うんです。普通の男ならきっとこのままヤルと思うんですけど、正直俺は中宮さんみたいにいい人とこんな形でセックスしたくはないです」
彼女は俺の言葉を、声にならない相槌を打った。
「とにかく、今晩は一緒に居てあげます。でもセックスはなしです! きっとヤッてしまったら中宮さん後悔するはずだから。もし、それでも気持ちが変わらないときはいつでも相手させてもらいますから」
俺の言葉が通じたのか中宮さんは、ゆっくりと肯いて俺の胸元に顔を埋めた。
それから朝まで中宮さんは色々な話を俺にしてくれた。
幼い日に幼馴染を失って悲しかった話。
2011年の震災の時に福島にある彼女の実家が受けた被害について。
付き合っていた彼との思い出……。
そんな取り止めのない話を外が明るくなるまで聞き続けた。
「ありがとう高木くん。高木くんが色々聞いてくれたお陰で少し気持ちが楽になった気がする」
「ならよかった。中宮さん、あんまり軽はずみに男に身を任せたりしない方がいいと思います。男は中宮さんが思っているよりずっとバカでゲスでイカレタ奴が多いんですから!」
自分で言ってはみたものの、一番のゲスは俺かもしれないと思った。
昔、まだ京極さんに出会って間もない頃、彼女に「あんた以上のゲス野郎知らない」と言われたことをふと思い出す……。
懐かしく酷い思い出……。
朝方、俺はホテルを出ると中宮さんを最寄り駅まで送った。
彼女は無理をした笑顔で「ありがとう。また近いうちに会おうね!」と言った。
それから中宮さんに会うことも連絡することも二度となかった。
結果的にあの強がりな笑顔が最後に見た彼女になってしまったのだ……。
今でもふと思い出すと彼女が懐かしくなる。
でもきっと二度と彼女に会うことはないだろうと思った……。
ジュンは話が終わると、ため息をついた。
俺たち2人とも集中して聞いてしまったせいで場の空気が重い。
「ふーん……。なんかさぁー、私のヤッちまった話に比べると純愛っぽいね。もっとゲスい話聞きたかったのになぁ」
「ハハハ、京極さんほど俺は女の子と遊んでるわけじゃないんだよ! 実際、それ以降は仕事も忙しいしなかなかね……。たぶん大志の方が俺より女の子と遊んでるんじゃないかな?」
「バカ言え! 俺だってそんなにプラプラしてねーよ! つーか、その中宮さんにその後連絡しなかったのか?」
「そうだよ! せっかく出会えたんだし、友達だとしても連絡とってあげるべきじゃね?」
俺とウラは思っていた疑問をジュンにぶつけた。
俺たちの質問にジュンは少し俯いて考え始める。
「実はね。この話にはちょっとした後日談があるんだよ」
「へー? どんな?」
ジュンはスマホを取り出してネット検索で何かを探してから俺たち差し出した。
スマホには画面には2018年のニュースが表示されている。
『人気作家、○山〇貴。自宅で若い女性と遺体で発見される。無理心中か!?』
ニュースにはそう書いてあった。
「さっき話した作家さんはこの人でね。それで、一緒に死んでいた女性っていうのが中宮さんなんだよ」
「マジかよ……」
俺もウラも言葉を失ってしまった。
ジュンは顔色を変えることなく話を続ける。
「うん。どうやら俺と別れた後、中宮さんもう一度彼のところ行ったらしくてね。それから勢いで殺しちゃったんだろうね。何も命まで奪うことないのにさ。それから耐えられなくなって自分まで……。救いのない話さ」
ジュンはそこまで話すと何事もなかったかのように、スコアボードの点数を確認し始めた。
もう俺もウラもそれどころじゃない。
その日のボウリングはスコア的にはジュンの圧勝で、2位が俺、3位がウラだった。
でもその日はジュンの話のせいで、飯は後日ということになってしまった。
ジュンはそのまま母親のところに行くらしい。
ジュンと別れると俺とウラは駅に向かって歩いた。
「ねえ大志さぁ、さっきのジュン君の話どう思った?」
「ああ、救いのねー話だな」
「私、思ったんだけど、きっとジュンくん後悔してるんじゃないかな? あの時、彼女と寝てあげてればこんなことにならなかったのにってさ!」
俺はウラに言われて初めて気が付いた。
たしかにジュンがその場で中宮さんと行為に及んでいたなら少し状況は変わっていたのかもしれない。
「あのね、大志。ジュン君って実はここ3年間恋人つくってないんだよね……。そりゃー、体だけの関係の相手は居るだろうけどさ。それってもしかして今の話が原因なんじゃないの?」
俺はウラの考察をただ黙って聞いていた。
幼馴染だというのにそんな話一つも知らなかった。
もしかしたら俺よりもウラの方がジュンのことを理解しているのかもしれない。
そう思うと俺は少し情けない気持ちになった――。
ジュンはそう言うと、笑いながら舌を出した。
「イエーイ! ジュン君のゲスい恋愛話聞かせてもらうよー」
ウラはさっきまでの憂さを晴らすかのようにジュンに寄り掛かる。
「そうだね……。京極さんにも面白い話聞かせてもらったし今度は俺が話すよ」
ジュンはレーン前の椅子に腰を下ろすと話し始めた。
『Pure』 Garter
あれは俺が上京してから半年後のことだ。
その頃は母親の仕事の手伝いにも慣れて余裕が少しずつ出始めていた。
仕事の関係で完全な夜型になっていたが、これといって不便は感じなかった。
母はバラエティ番組などにはあまり出演しなかった。
民放のドラマの仕事が多く、ロケの時はいつも俺が運転手になって現場に向かっていた。
《多賀木マリ》は間違えなく俺の母親だ。
これは別に他意があるわけではない。単に生物学的にそうだという事実だ。
それでも彼女が自身の母親だという実感があまり涌かなかった。
俺はいつも彼女のことは「母さん」と呼ばずに、「マリさん」と呼んでいた。
彼女は彼女で俺のことは名前ではなく「高木君」と呼ぶ。
妙な距離のある母子関係なのは確かだ。
でも俺はその絶妙な距離感が好きだった。おそらく彼女も。
母は俺に対して基本的に寛大だった。
給料も大学の初任給にしては多い額を貰えたし、希望を出せばある程度休みも貰えた。
そう言った意味では理想の環境だと思う。
歪んだ母子、理想的な上司と部下。そんな関係だった。
前振りが長くなったけれど、マリさんのお陰で俺はバンド活動もそれ以外のことも割と自由が利いたのだ。
そんな状況だったからこそ俺は《彼女》と出会い、そして離れていった――。
上京して半年後の11月某日。
俺は上野公園のベンチに座って、退屈な時間を過ごしていた。
鳩が首を前後に振りながら、子供がこぼしたスナック菓子のカスを摘まんでいるのを唯々眺めるくらいの退屈な時間だ。
マリさんの送迎の空き時間は本当に何もすることがない。残念なほどに。
上野公園の街路樹は紅葉し、一面に落ち葉の絨毯が敷き詰められていた。
銀杏の黄色と楓の赤はまるで前衛芸術のような模様を作り上げている。
彼女はそんな黄色と赤の世界の中心にぽつりと現れた。
「あの……。となり空いてますか?」
彼女は少し傷んだ茶髪をかき上げながら俺に尋ねた。
「空いてますよ」
「お隣よろしいですか?」
俺は断る理由もなかったので、「どうぞ」と答える。
彼女は笑顔で「ありがとう」と言うとゆっくりと腰を下ろした。
そしてバッグから紀伊國屋のブックカバーの付いた文庫本を取り出し、ページを捲り始めた。
横に見知らぬ女性が居るというのは妙な居心地だった。
自然と彼女の方に目が行く。
彼女はまるで美味しいケーキでも食べているような顔で本を読んでいる。
雰囲気的にはイチゴのショートケーキというより、キウイのタルトといった感じだ。
よく分からない表現だが、そんな表情だと思った。
上野公園は相変わらず穏やかな午後だった。
彼女が隣に座ってから風が出てきたのか、少しだけ肌寒く感じる。
風で落ち葉は舞い上がり、子供たちが楽しそうに吹き飛ばされた落ち葉を追いかけている。
「風が出てきましたねー」
彼女は本から顔を上げると穏やかな表情で俺に話しかけてきた。
「急に寒くなりましたね。さっきまで暖かかったんですけどね」
「そうそう! せっかくの休みだから公園でゆっくり本でも読もうと思ったんですけど、ちょっときついです。あ、ごめんなさい。よく知らない女にこんな話されても困りますよね?」
思いのほかおしゃべり好きなようだ。でも嫌な感じはしない。
「いえいえ、俺も暇ですから。今、上司を送った帰りでやることもなくて暇してたんです」
「なら良かった! 良かったら少しお話しません?」
「ええ、いいですよ」
不思議な女性だ。おそらく変わっていると思う。
それから俺たちは他愛のない世間話をした。
暇は道連れ……。たまには暇仲間が居ても問題ないだろう。
彼女はまず簡単な自己紹介をしてくれた。
名前は中宮理沙。年齢は28歳。普段は出版社で編集の仕事をしている。
普段から残業が多く、昨日は午前様だったらしい。
「たまにはゆっくり独りぼっちを楽しみたかったんですよ」と彼女は小さく欠伸をしながら眠そうに言った。
俺も自身の仕事について軽く話した。
「へー!! 多賀木マリさんの息子さんなんですね! 普段月9ドラマよく見るんであの方の演技好きなんですよー。特に嫌な女の役はうまいですよねー」
「ありがとうございます。本当はあの人、あんな性格じゃないんですけどね。あまり周りに関心がないっていうか、マイペースっていうか……。でも母親のこと褒めてもらえて嬉しいです」
「私も嬉しいです! だって彼女のお陰で主演の女優さんすごく可愛らしく見えるんですもん! あ……。こういう言い方すると失礼かもしれませんけど……」
そう言って彼女は困ったように笑った。
30分ぐらい談笑すると少し日が傾いてきた。
秋の穏やか日差しもあと少しで、夕闇に変わる。
「それじゃ高木さん! また会いましょう! 上野公園にはよく来るんで!」
彼女はそう言うと立ち上がる。
「ええ、またこの場所で」
俺たちはそう言葉を交わすと彼女を見送った。
それから少し時間を潰すと、俺はマリさんを迎えに行くために現場へと戻った。
それにしても妙に親しみを持てる女性だった。
清楚そうに見えて実は結構遊んでいる風であったし、人懐っこい表情はとても魅力的だった。
俺は柄にもなく、また彼女に会いたいと思っていた。
そして結果的に翌週彼女にまた再開することになる……。
翌週の月曜日のことだ。
その日は仕事も休みで、大志と京極さんとの打ち合わせまでの時間、暇していた。
午前中はスタジオを借りて軽くベースの練習する。
ジャズベースの調子は良い。むしろ今日ライブしたいぐらいだ。
練習が終わると、先日と同じように上野公園へ向かった。
半信半疑にベンチを見ると、そこには中宮さんが座ってた。
今度は俺の方から声を掛ける番だ。
「また会えましたね」
そう言って中宮さんの前に立つと、彼女は上目使いに俺を見上げた。
「こんにちは高木さん! 待ちかねましたよ!」
約束したわけでもないのに彼女はそう言って、俺にベンチに座るように促す。
「今日は俺も休みなんですよ! 夜にはバンドメンバーと打ち合わせあるんですが、それまで暇で……」
「そうなんですね。私、今日は外回りの途中なんです。作家さんの家に行った帰りで、これから本社に戻るところだったんです。今はちょっとサボり中」
彼女はそう言うと、お道化たように笑って舌を出した。
「会社戻らなくていいんですか?」
「本当はすぐ戻った方がいいんですけどね! たまにはゆっくりしよかなぁーって! 編集長にバレたらどやされちゃいますけどねー。高木さん良かったらお茶でもどうですかー。ゆっくりお話ししたいし!」
俺は彼女の誘いを一つ返事で受けると公園内の喫茶店に入った。
俺はコーヒーを彼女はミルクココアを注文する。
「バンド今どんな感じなんですかー」
中宮さんはそう言うと、ココアに息を吹きかけながら一口飲んだ。
「それなりですかねー。ヴォーカルの子がすごく上手くてどんどんレベルアップするし、やりがいあります! もう1人のドラムの幼馴染は商社勤めなんでなかなか時間合わせられないですけど……。まぁそれでもライブはそれなりにやってます」
「すごいなー。仕事と夢の両立できてるなんて尊敬しちゃいます! 私なんか仕事に追われて1年あっという間だし。まぁ、作家さんサポートしたりするのはやりがいあるし、楽しいんですけどね」
「俺は中宮さんのほうがすごいって思いますよ? だって誰かの夢を応援できる仕事っていいじゃないですか!」
「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいです! あ、連絡先教えて貰ってもいいですか?」
「もちろん!」
こうして俺たちは連絡先を交換した。
その日から俺たちは、割と頻繁に世間話をする間柄になった。
一回り歳が離れているというのに、彼女はとても気さくに俺の話を聞いてくれた。
そして俺も彼女の話をよく聞かせてもらった。
彼女にはここ5年間付き合っている男性がいるようだ。
どうやら作家のようで、かつて彼女が担当していた時に恋仲になったらしい。
彼女曰く、かなりの変わり者で彼女と籍を入れるつもりはないらしい。
ゴールのない恋愛をしているというのに、彼女はとても嬉しそうに彼の話を俺に聞かせてくれた。
まるで初恋でもしているように彼の話をする彼女の声は輝いて聞こえた。
楽しそうに話す声は、まだ幼さの抜けない少女のようだった――。
俺と中宮さんのそんな関係が半年ほど続いたある日。夜中に彼女から連絡が入った。
「高木くん、夜中にごめんね! 今から会えないかな?」
「え……。今からですか? 別に構いませんけど、珍しいですね。こんな夜中に」
「うん……。本当にごめんね。どうしても高木くんに会いたくてさ」
不思議に思いながらも俺は彼女に言われるがまま、指定された24時間営業のファミレスへと向かった。
ファミレスに着くと彼女はすでに来ていて、俯きながら席に座っていた。
「ごめんね。こんな夜更けに呼び出されて迷惑だったよね……」
「大丈夫ですよ。俺も曲書いてて起きてたし、そんなことよりなんかあったんですか?」
中宮さんは普段とは違い、目は虚ろで頬は真っ赤に腫れていた。
どうやら泣きはらしているらしく、声もどことなく擦れている。
「実はね。さっきまで彼のところいたんだけど、別れようって言われちゃったんだ。理由は言ってくれなかった……」
「え? だって先週、普通に会ったって言ってたじゃないですか? なんでそんな急に?」
「私にも分からないんだー。もうどうしていいか分からないよぉ」
そう言って彼女は泣き出してしまった。
俺は慰めながら彼女の話を聞いた。
自分の支えとしてる人に拒絶されたのがよほど辛いのか、彼女自身、自分で何を話しているのか理解出来ないようだ。
感情の起伏が激しすぎて、上手く宥められない。
俺は時間を掛けてゆっくりと彼女の感情に寄り添った。
テンプレートのような慰めの言葉も吐いた。
小一時間ぐらいそんなことを繰り返しただろうか?
彼女は泣いたり、怒ったりを繰り返しながら少しずつ落ち着きを取り戻していった。
「ねえ高木くん? もうどうでもよくなっちゃったから、これから一緒にホテル行かない?」
かなり意外な誘いだった。
俺自身、彼女とはそんな関係になるつもりなんてなかった。
たしかに彼女は魅力的な女性ではあったけど、オンナとして意識したことなんてない。
「え? え? なんでそうなるんです?」
「もうさー。本気でどうでもよくなっちゃったんだ。だから、私を理解してくれてる人に抱いてほしいんだよ! 高木くんが迷惑じゃなければ私は君に抱いてほしい」
「迷惑とかじゃないですけど……。いいんですか? そんな思い付きで……」
結局、俺はファミレスを出て、近くのホテルへと向かう羽目になる。
ホテルのフロントは酷く簡素で、「我々は君らの情事に干渉しない」と主張しているようだ。
ルームキーを受付で受け取ると2階の部屋へと向かう。
部屋に入るといかにもラブホテルといった感じの照明とベッドが設置してあった。
ご丁寧にベッド横のキャビネットにはコンドームとローションが備え付けられていた。
「高木くんちょっと待っててね。今シャワー浴びてくるからね!」
中宮さんがシャワールームに行ってしまうと、俺はとても変な気持ちになった。
いくら失恋したてだとしても、直後に他の男とラブホテルに来るなんて常軌を逸している。
何となくキャビネット上のコンドームを手に取って書いてあるパッケージを眺めながら彼女がシャワールームから出てくるのを待った。
普段の中宮さんならこんな思い付きで行動したりしない。
そう思うと、彼女が彼に対してどれだけ愛情を寄せていたのかが窺える気がした。
「お待たせ。シャワー浴びたら少しスッキリした!」
「それは良かったです。あの、中宮さん……。本当に良いんですか? 俺は構いませんけど、失恋してすぐにいきなりセックスしようなんて中宮さんらしくない気がします」
俺がそう言うと、中宮さんの表情には不安の色が一気に浮かんだ。
生まれたての子鹿のように震え、瞳は不安の色で濁っていた。
「高木くん! お願いだから何も言わずに私を抱いて! もう、本当にそれでいいから! 高木くんにまでそんなこと言われたら私……。もう私じゃいられなくなっちゃうよ……」
中宮さんはそう言いながらその場に泣き崩れた。
彼女は一糸纏わぬ姿で、部屋のカーペットの上で顔をぐしゃぐしゃにして泣いている。
俺は彼女どうにか抱き起して、ベッドの上に座らせた。
やれやれだ。いつものことだけど、こうなると女は面倒くさい。
どんなに清楚そうでも、逆に遊んでいても、好きだった男に捨てられるとこんな風になってしまう。
京極さんを除く全ての女は最終的にこうなるものだというのが俺の持論だった。
「ねえ中宮さん。本当は俺とヤリたいわけじゃないですよね? ただ、今の寂しさをどうにか埋めたいってことだと思うんです。普通の男ならきっとこのままヤルと思うんですけど、正直俺は中宮さんみたいにいい人とこんな形でセックスしたくはないです」
彼女は俺の言葉を、声にならない相槌を打った。
「とにかく、今晩は一緒に居てあげます。でもセックスはなしです! きっとヤッてしまったら中宮さん後悔するはずだから。もし、それでも気持ちが変わらないときはいつでも相手させてもらいますから」
俺の言葉が通じたのか中宮さんは、ゆっくりと肯いて俺の胸元に顔を埋めた。
それから朝まで中宮さんは色々な話を俺にしてくれた。
幼い日に幼馴染を失って悲しかった話。
2011年の震災の時に福島にある彼女の実家が受けた被害について。
付き合っていた彼との思い出……。
そんな取り止めのない話を外が明るくなるまで聞き続けた。
「ありがとう高木くん。高木くんが色々聞いてくれたお陰で少し気持ちが楽になった気がする」
「ならよかった。中宮さん、あんまり軽はずみに男に身を任せたりしない方がいいと思います。男は中宮さんが思っているよりずっとバカでゲスでイカレタ奴が多いんですから!」
自分で言ってはみたものの、一番のゲスは俺かもしれないと思った。
昔、まだ京極さんに出会って間もない頃、彼女に「あんた以上のゲス野郎知らない」と言われたことをふと思い出す……。
懐かしく酷い思い出……。
朝方、俺はホテルを出ると中宮さんを最寄り駅まで送った。
彼女は無理をした笑顔で「ありがとう。また近いうちに会おうね!」と言った。
それから中宮さんに会うことも連絡することも二度となかった。
結果的にあの強がりな笑顔が最後に見た彼女になってしまったのだ……。
今でもふと思い出すと彼女が懐かしくなる。
でもきっと二度と彼女に会うことはないだろうと思った……。
ジュンは話が終わると、ため息をついた。
俺たち2人とも集中して聞いてしまったせいで場の空気が重い。
「ふーん……。なんかさぁー、私のヤッちまった話に比べると純愛っぽいね。もっとゲスい話聞きたかったのになぁ」
「ハハハ、京極さんほど俺は女の子と遊んでるわけじゃないんだよ! 実際、それ以降は仕事も忙しいしなかなかね……。たぶん大志の方が俺より女の子と遊んでるんじゃないかな?」
「バカ言え! 俺だってそんなにプラプラしてねーよ! つーか、その中宮さんにその後連絡しなかったのか?」
「そうだよ! せっかく出会えたんだし、友達だとしても連絡とってあげるべきじゃね?」
俺とウラは思っていた疑問をジュンにぶつけた。
俺たちの質問にジュンは少し俯いて考え始める。
「実はね。この話にはちょっとした後日談があるんだよ」
「へー? どんな?」
ジュンはスマホを取り出してネット検索で何かを探してから俺たち差し出した。
スマホには画面には2018年のニュースが表示されている。
『人気作家、○山〇貴。自宅で若い女性と遺体で発見される。無理心中か!?』
ニュースにはそう書いてあった。
「さっき話した作家さんはこの人でね。それで、一緒に死んでいた女性っていうのが中宮さんなんだよ」
「マジかよ……」
俺もウラも言葉を失ってしまった。
ジュンは顔色を変えることなく話を続ける。
「うん。どうやら俺と別れた後、中宮さんもう一度彼のところ行ったらしくてね。それから勢いで殺しちゃったんだろうね。何も命まで奪うことないのにさ。それから耐えられなくなって自分まで……。救いのない話さ」
ジュンはそこまで話すと何事もなかったかのように、スコアボードの点数を確認し始めた。
もう俺もウラもそれどころじゃない。
その日のボウリングはスコア的にはジュンの圧勝で、2位が俺、3位がウラだった。
でもその日はジュンの話のせいで、飯は後日ということになってしまった。
ジュンはそのまま母親のところに行くらしい。
ジュンと別れると俺とウラは駅に向かって歩いた。
「ねえ大志さぁ、さっきのジュン君の話どう思った?」
「ああ、救いのねー話だな」
「私、思ったんだけど、きっとジュンくん後悔してるんじゃないかな? あの時、彼女と寝てあげてればこんなことにならなかったのにってさ!」
俺はウラに言われて初めて気が付いた。
たしかにジュンがその場で中宮さんと行為に及んでいたなら少し状況は変わっていたのかもしれない。
「あのね、大志。ジュン君って実はここ3年間恋人つくってないんだよね……。そりゃー、体だけの関係の相手は居るだろうけどさ。それってもしかして今の話が原因なんじゃないの?」
俺はウラの考察をただ黙って聞いていた。
幼馴染だというのにそんな話一つも知らなかった。
もしかしたら俺よりもウラの方がジュンのことを理解しているのかもしれない。
そう思うと俺は少し情けない気持ちになった――。
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