(休載中)自殺したはずが何故か溺愛されまくる生活を送っております

rifa

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プロローグ

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「どうして私っていつもこうなんだろう……」
 それが自分の口癖だった。
 いつからか、そんな口癖さえ途絶えた。
 それなのに、ようやく今その口癖が自分の口から漏れた。

 誰からも必要とされない。
 友達からも、教師からも。社会人になってからは、会社の誰にも。
 何社目かも忘れた会社の面接で正社員として採用されたことに、とても喜んだのが懐かしい。こんな何も出来ない自分が、社会に認められた気がしたからだ。
 でも、それも気のせいだと自覚出来るのに一か月かかった。
 結局足手まといだったのだろう。出社して挨拶しても誰からも返事はなく、他の社員とは話すのに、自分には話してくれなくて。派遣社員やバイトの子にすら、無視をされるようになってからは、自分は息を殺すように淡々と仕事と向き合った。
 何故こんなに嫌われているのか分からない。自分が何をしてしまったのか、考えて考えて、病むほど考えても結局分からなかった。
 それでも、一か月の教育実習期間で学んだことを生かそうと懸命に自ら動いて職務に当たった。
 それが良くなかったのだろうか。自分が何かするたびに皆嫌な顔をする。きっと、自分が何か失敗してしまったのだろう。
 しかし「どこを間違えてしまったか」と尋ねても、誰も教えてくれない。教えてもらえないので、自分で考える。考えるが、結局正解がわからないまま似たようなシーンでまた失敗してしまう。
 そんなことを重ねているうちに、「役に立たない」というレッテルだけが自分の中で増えていく。
 毎日遅刻をすることなく出社し、特に大きな問題を起こすこともないので解雇されることはなかったから、半年は頑張った。
 だが、半年が限界だった。
 季節が変わり、クールビズの季節も終わって半袖から長袖に衣替えした景色が目立ってきた頃、半年耐えてきた我慢の糸があっけなく切れた。
 自主退職を望み、先ほどようやく就職出来た会社を正式に退職した。
 そうしたら、今まで耐えてきた緊張のようなものが溶けて、目からポロポロと何か熱いものがこぼれ出てきた。
「……私は、この世に望まれていないんだ……」
 社会人になってから始まったことではない。
 小学生の頃からすでに、自分が他の人との壁を感じていた。
 誰も自分を気にしない。構わない。いつも独りぼっち。
 両親は自分が小学校に入る前に亡くなった。その前のことはよく覚えていないから、両親との思い出はほぼ皆無だ。
 祖父母もおらず、兄弟姉妹もいない。なので、どういう繋がりかは分からなかったが、おそらく親戚と思われる家族に引き取られた。
「おとうさんとおかあさん」と呼ぶと「私たちはあんたのおとうさんとおかあさんじゃない」と冷たい目で言い放たれたので、「おじさんとおばさん」と呼んでいた。それすら、呼ぶ機会があまりなかった。
 他には自分の二つ上の男の子と自分と同じ年の女の子がいたが、その子たちは自分を「いないもの」としていたから、自分も積極的に関わらなかった。
 学校も同じだった。
 誰からも、必要とされない、関わってくれない、話してくれない。

 自分が何をしてしまったのか分からない。
 わからないが、廃ビルの屋上の手すりを乗り越えながら、今初めて自分を褒めてみた。
「18年間、頑張ってありがとう。でも、もう限界……」
 そこでふと思い出す。
 今まで『誕生日』というものに縁がなかったので忘れていたが、あと2~3分ほど経てば、自分は19歳になるのだ。
「……そうか。私は19を迎えられないまま、死ぬのか」
 そう力なくつぶやいて、揺らめく視界の先に身を投じた。
 ふわりと浮かぶ自分の身体。そして、地面に引きつけられるように身体が逆さになり、勢いをつけて落下していく。
(もう疲れた……これでいいの。誰も、私を必要としない……誰も私を愛してくれない)
 ゆっくりと目を閉じ、頭の中でこの世に別れを告げながら、思う。
(誰かに、愛されたかった……)


『見つけた』


 ふいに耳に声が届いた気がした。
 声に甘みを感じる優しい男性の声。
 それは慈愛に満ちていて……もっとどこか懐かしさを感じたが、そんな優しい声に、この18年間話しかけてもらえたことなどない。
 最期の幻聴だと覚悟した次の瞬間、身体がふわりと温かい何かに包み込まれた。
 そのぬくもりに安堵したように気を失った。
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