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優しい歌声が聞こえる。
あたたかくて、いつまでも聞いていたくなる……。
(天国……?)
死んだら地獄に行くだろうと思っていたが、もしかしたら地獄とはそんなに怖くないのだろうかとぼんやり考えているうちに、瞼を開ける元気があることに気づいて目を開く。
「……ん」
視界に飛び込んできたのは光だ。それほど強い光ではないが、どれほど眠っていたのだろうか、微弱な光にすら眩しさを感じて、つい声が出てしまった。
その時、先ほどまでの優しい歌声が途切れた。
(あ、もっと聞いていたかったのに……)
その歌声を聴くことが出来ないことを名残惜しく思っていると、突然視界にレモンに似た黄色い髪の少女が飛び込んできた。
突然のことにびくりと身体を跳ねさせると、少女の慌てた顔が視界から素早く消えてしまった。
何やら声を上げながら自分の傍から離れていくようだ。声が遠ざかっていく。
(……なに、今の? 天使? 可愛かった。めっちゃ可愛かった。天使か! ということは、やっぱりここは……天国?)
天使がいるのならここは天国だろうと思った。
だが、あんな可愛らしい天使にも嫌な思いをさせてしまったのだなと落ち込んでいると、慌ただしい足音が戻ってきた。
「やっぱり目覚めています! ナイン、ナインッ!」
優しい声が誰かを呼びつけているようだ。
また視界に、先ほどの可愛らしい少女の顔が戻ってきた。
「!」
足音が戻ってきたとき少し予感はしていたが、やはり突然現れると少し驚いてしまう。心臓に悪い。
「お目覚めになられましたか? どこか痛いところはありませんか?」
「はい」と答えようとしたが、声が上手く出なかったので、頷くしかこと出来なかった。
だが頷いてみせると、少女は安心したように柔和な表情を浮かべ、それからにこりと微笑んでくれた。
「よかったです」
優しい笑みに、こちらの胸も温かくなってしまう。
(うぅ……やっぱり天使だぁ)
このように優しく微笑まれたことなどなかった人生なので、少し胸がくすぐったくなり、気恥ずかしさを覚えてしまう。
そこでふと、天使のような少女の横にもう一人男性がいることに気づいた。
こちらもまた端正な顔立ちで、優しい笑みを浮かべている。髪色が天使の少女と似ているが、少女のほうは柔らかい黄色……サンシャインイエローという感じだが、男性のほうはマスタードイエローという感じだ。
少女はさらりとした真っすぐ伸びたサンシャインイエローのボブカットで、男性は同じく真っすぐ伸びたマスタードイエローを肩まで届かせていた。
男性の瞳はブラウンだが、少女の瞳は桃色だった。
(不思議な色。でも、天使ならまぁ普通なのかな……)
優しい桃色の瞳に見つめられて、うっとりと見返していると寝たきりの自分の手がふわふわとした真っ白な毛玉たちに優しくマッサージされていることに気づいた。
だが起き上がることが出来ずに、いま何が起こっているのか分からず困惑していると、それを察した少女が状況を説明してくれた。
「あなたの身体は少し損傷……じゃなかった、疲れてしまったようなので、今少し回復のお手伝いにマッサージをさせてもらっているのですよ? この毛玉の子たちは『クーラーティオ』って言います。ふわふわして気持ちよくないですか?」
言われると確かに、身体がふわふわ浮きそうなほど軽く感じられ、毛玉に触れられているようなくすぐったさは無く、しかしふわふわとした感触が肌に優しく触れており、とても気持ちが良かった。
まだ声が出なかったので、こくりと頷いた。
「……まだ本調子ではなさそうですね。回復にはもう少しかかりそうです」
少女は男性のほうへ振り返ると、マスタードイエローの髪の男性はこくりと頷いた。
「痛いところなどはなさそうですが、まだ安静が必要そうですね。食欲はありますか? 軽く食べられるスープから、しっかりとした食事まで用意が出来ていますので、すぐにお召し上がりいただけますよ」
こちらの男性もまた優しそうに微笑んでくれる。自分に。
あたたかくて、いつまでも聞いていたくなる……。
(天国……?)
死んだら地獄に行くだろうと思っていたが、もしかしたら地獄とはそんなに怖くないのだろうかとぼんやり考えているうちに、瞼を開ける元気があることに気づいて目を開く。
「……ん」
視界に飛び込んできたのは光だ。それほど強い光ではないが、どれほど眠っていたのだろうか、微弱な光にすら眩しさを感じて、つい声が出てしまった。
その時、先ほどまでの優しい歌声が途切れた。
(あ、もっと聞いていたかったのに……)
その歌声を聴くことが出来ないことを名残惜しく思っていると、突然視界にレモンに似た黄色い髪の少女が飛び込んできた。
突然のことにびくりと身体を跳ねさせると、少女の慌てた顔が視界から素早く消えてしまった。
何やら声を上げながら自分の傍から離れていくようだ。声が遠ざかっていく。
(……なに、今の? 天使? 可愛かった。めっちゃ可愛かった。天使か! ということは、やっぱりここは……天国?)
天使がいるのならここは天国だろうと思った。
だが、あんな可愛らしい天使にも嫌な思いをさせてしまったのだなと落ち込んでいると、慌ただしい足音が戻ってきた。
「やっぱり目覚めています! ナイン、ナインッ!」
優しい声が誰かを呼びつけているようだ。
また視界に、先ほどの可愛らしい少女の顔が戻ってきた。
「!」
足音が戻ってきたとき少し予感はしていたが、やはり突然現れると少し驚いてしまう。心臓に悪い。
「お目覚めになられましたか? どこか痛いところはありませんか?」
「はい」と答えようとしたが、声が上手く出なかったので、頷くしかこと出来なかった。
だが頷いてみせると、少女は安心したように柔和な表情を浮かべ、それからにこりと微笑んでくれた。
「よかったです」
優しい笑みに、こちらの胸も温かくなってしまう。
(うぅ……やっぱり天使だぁ)
このように優しく微笑まれたことなどなかった人生なので、少し胸がくすぐったくなり、気恥ずかしさを覚えてしまう。
そこでふと、天使のような少女の横にもう一人男性がいることに気づいた。
こちらもまた端正な顔立ちで、優しい笑みを浮かべている。髪色が天使の少女と似ているが、少女のほうは柔らかい黄色……サンシャインイエローという感じだが、男性のほうはマスタードイエローという感じだ。
少女はさらりとした真っすぐ伸びたサンシャインイエローのボブカットで、男性は同じく真っすぐ伸びたマスタードイエローを肩まで届かせていた。
男性の瞳はブラウンだが、少女の瞳は桃色だった。
(不思議な色。でも、天使ならまぁ普通なのかな……)
優しい桃色の瞳に見つめられて、うっとりと見返していると寝たきりの自分の手がふわふわとした真っ白な毛玉たちに優しくマッサージされていることに気づいた。
だが起き上がることが出来ずに、いま何が起こっているのか分からず困惑していると、それを察した少女が状況を説明してくれた。
「あなたの身体は少し損傷……じゃなかった、疲れてしまったようなので、今少し回復のお手伝いにマッサージをさせてもらっているのですよ? この毛玉の子たちは『クーラーティオ』って言います。ふわふわして気持ちよくないですか?」
言われると確かに、身体がふわふわ浮きそうなほど軽く感じられ、毛玉に触れられているようなくすぐったさは無く、しかしふわふわとした感触が肌に優しく触れており、とても気持ちが良かった。
まだ声が出なかったので、こくりと頷いた。
「……まだ本調子ではなさそうですね。回復にはもう少しかかりそうです」
少女は男性のほうへ振り返ると、マスタードイエローの髪の男性はこくりと頷いた。
「痛いところなどはなさそうですが、まだ安静が必要そうですね。食欲はありますか? 軽く食べられるスープから、しっかりとした食事まで用意が出来ていますので、すぐにお召し上がりいただけますよ」
こちらの男性もまた優しそうに微笑んでくれる。自分に。
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