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12話
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「じゃあ、前菜がすぐ来るから、スープを飲んで待とうぜ」
言われて前を向くと、サーナとナインはすでにスープを飲み終え、前菜のサラダを食べていた。
その視線に気づいたらしい二人がこちらを見ながら柔和な笑みを浮かべた。
「私たちのペースに合わせなくて良いですよ。ルミナスはルミナスのペースで食べてくださいね」
サーナの言葉に、アシルは「そういうことだ」と付け足すようにルミナスへ告げる。
「焦って食べる必要はない。自分のペースで、食べられるだけ食べれば良いから」
「でも……」
そこでルミナスは、アシルがルミナスと同じペースで食事の量が減っていることに気づいた。
(私に合わせてくれている……?)
アシルを見遣ると、彼は「オレも食事は遅いほうだから」と、誤魔化すように笑った。
しかしその気持ちを無下にすることも出来ず、ただうなずいた。
食べるペースを速めようとすれば、アシルが「そういえばルミナスはさ……」と話しかけてくるから、結局ゆっくりペースで食べることとなった。
結局どのメニューも全部食べ切ることが出来なかった。
こんなにボリュームのある食事は初めてだったからだ。
残してしまったことを申し訳なく思っていると、「もう食わないのか?」とアシルに訊ねられ、「ごめんなさい」と謝ると、彼は「じゃあもらっていいか?」と聞いてきた。
「オレ全然足りなくてさ、お代わりする手間が省けるし」
その彼の言葉を疑いたくはなかったが、あからさまに自分を気遣っていると分かった。
自分だけではないかもしれない。作ってくれたミンクへの気遣いかもしれない。
でもどちらにせよ、それが最善な気がして、アシルに残った分を食べてもらうことにした。
彼はあっという間にスープもサラダもメインもデザートも食べていった。
ルミナスはあまり量を食べることが出来ずに半分以上残してしまったが、自分の分も食べたはずのアシルは、それにプラスしてルミナスの残した分も平らげてしまったのだ。
「大丈夫、でしたか……?」
アシルの胃袋を心配すると、彼は眉尻を下げて呆れたように笑った。
「ルミナスはオレを侮ってないか? オレはこれでも働き盛り食い盛りなんでね」
「……アシルって今何歳なんですか?」
「オレ? 23」
「…………」
唖然とした。大人だろうとは思ったが、27、28くらいに見えていたからだ。
「ルミナスはいくつ?」
アシルに訊ねられ「18」と言ってから「19?」と疑問形で一つ上の数字を言った。
「どっちだ?」
「あ……えっと、あの、私、誕生日を迎える直前でその……建物から、こう……」
飛び降りたと言いづらく、身振り手振りで伝えようとした。
「あぁ、あの建物から落ちかけた時のか。あれは焦ったな。なるほど、あの時に誕生日を迎えたから19ってわけか」
「は、はぁ……まぁ……。……え?」
今アシルは「落ちかけた」と言った。それは「し損ねた」という意味に聞こえた。
それは「死に損ねた」というように受け取れるし、それはつまり「自分は生きている」という意味に思えた。
驚いて口を開閉していると、サーナが「どうしたんです?」と訊ねてきた。
しかしなんと聞けばいいのか分からず困惑していると、ナインが「何かわからないことがあったらなんでも聞いてください」と言ってくれた。
だから、混乱していたこともあり咄嗟に間抜けな聞き方をしてしまった。
「私……もしかして生きているんですか?」
言われて前を向くと、サーナとナインはすでにスープを飲み終え、前菜のサラダを食べていた。
その視線に気づいたらしい二人がこちらを見ながら柔和な笑みを浮かべた。
「私たちのペースに合わせなくて良いですよ。ルミナスはルミナスのペースで食べてくださいね」
サーナの言葉に、アシルは「そういうことだ」と付け足すようにルミナスへ告げる。
「焦って食べる必要はない。自分のペースで、食べられるだけ食べれば良いから」
「でも……」
そこでルミナスは、アシルがルミナスと同じペースで食事の量が減っていることに気づいた。
(私に合わせてくれている……?)
アシルを見遣ると、彼は「オレも食事は遅いほうだから」と、誤魔化すように笑った。
しかしその気持ちを無下にすることも出来ず、ただうなずいた。
食べるペースを速めようとすれば、アシルが「そういえばルミナスはさ……」と話しかけてくるから、結局ゆっくりペースで食べることとなった。
結局どのメニューも全部食べ切ることが出来なかった。
こんなにボリュームのある食事は初めてだったからだ。
残してしまったことを申し訳なく思っていると、「もう食わないのか?」とアシルに訊ねられ、「ごめんなさい」と謝ると、彼は「じゃあもらっていいか?」と聞いてきた。
「オレ全然足りなくてさ、お代わりする手間が省けるし」
その彼の言葉を疑いたくはなかったが、あからさまに自分を気遣っていると分かった。
自分だけではないかもしれない。作ってくれたミンクへの気遣いかもしれない。
でもどちらにせよ、それが最善な気がして、アシルに残った分を食べてもらうことにした。
彼はあっという間にスープもサラダもメインもデザートも食べていった。
ルミナスはあまり量を食べることが出来ずに半分以上残してしまったが、自分の分も食べたはずのアシルは、それにプラスしてルミナスの残した分も平らげてしまったのだ。
「大丈夫、でしたか……?」
アシルの胃袋を心配すると、彼は眉尻を下げて呆れたように笑った。
「ルミナスはオレを侮ってないか? オレはこれでも働き盛り食い盛りなんでね」
「……アシルって今何歳なんですか?」
「オレ? 23」
「…………」
唖然とした。大人だろうとは思ったが、27、28くらいに見えていたからだ。
「ルミナスはいくつ?」
アシルに訊ねられ「18」と言ってから「19?」と疑問形で一つ上の数字を言った。
「どっちだ?」
「あ……えっと、あの、私、誕生日を迎える直前でその……建物から、こう……」
飛び降りたと言いづらく、身振り手振りで伝えようとした。
「あぁ、あの建物から落ちかけた時のか。あれは焦ったな。なるほど、あの時に誕生日を迎えたから19ってわけか」
「は、はぁ……まぁ……。……え?」
今アシルは「落ちかけた」と言った。それは「し損ねた」という意味に聞こえた。
それは「死に損ねた」というように受け取れるし、それはつまり「自分は生きている」という意味に思えた。
驚いて口を開閉していると、サーナが「どうしたんです?」と訊ねてきた。
しかしなんと聞けばいいのか分からず困惑していると、ナインが「何かわからないことがあったらなんでも聞いてください」と言ってくれた。
だから、混乱していたこともあり咄嗟に間抜けな聞き方をしてしまった。
「私……もしかして生きているんですか?」
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