(休載中)自殺したはずが何故か溺愛されまくる生活を送っております

rifa

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13話

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 変な問いをしてしまったから、三人とも何を言われたのか分からないといった感じで、きょとんとしていた。
 しかし、ルミナスとしては自分が実は死ぬことが出来ていなかったかもしれないという事の重大性から、目を逸らすことも、話題を変えることも出来なかった。
 アシルは何も言わず、いきなりルミナスの胸に手のひらを押し当てるように触ってきた。
「ひゃああァァァ?!」
 驚いて後ろへのけ反りすぎて椅子から落ちそうになるが、アシルが腕をしっかり掴んでいたため、それは回避された。
(でもこれってつまり、私が後ろへひっくり返ることを分かっていたってこと?)
 腑に落ちない気持ちはあるが、アシルが言葉を発したため、そんな気持ちも四散した。
「心臓動いているだろう?」
「……あ、え? あ……」
 たしかに、アシルに胸を触られた恥ずかしさからか、椅子から落ちそうになった驚きからか、心臓がドクドク早い鼓動で鳴っていることに初めて気づいた。
「生きているって……こと?」
 絶望感からそう問うと、アシルは眉間に皺を寄せた。
「……まるで生きていたことが嫌だったみたいな言い方だな?」
 問われたが、返すことが出来ない。……その通りだったからだ。
 死ぬことは悪いことだ。わかっている。わかっているが、こちらにも生存を絶望した理由があるのだ。
「……だ、って、生きているなら、また、また明日も会社に行かないといけないし……みんなだって、わた、私が生きていたら困るから……だか、ら、わた……私は……」
 混乱しすぎて、自分でも何を言っているのか分からなくなってきた。
 ただパニックになりながらも、アシルに自分が死ななくてはいけなかった理由を必死に説明していた。
 彼は、何もかもを吸い込むような深さを感じる漆黒の瞳でルミナスを真剣に見つめ、じっと耳を傾けてくれていた。
 そんな彼の漆黒の瞳を見つめながら話しているうちに、ルミナスの脳が冷静さを取り戻してきた。
 冷静を取り戻してきたルミナスは、無意識にぽつりと積年の思いを吐露していた。
「……私は、死なないといけないくらい、悪いことしたのかな……」
 気持ちとともに、涙がこぼれ出る。
(あぁ……また出ちゃった。出したら、みんなもっと困るし、もっと私のことを嫌いになるじゃん……。迷惑かけちゃう。なんで私、こんな弱いんだろう……)
 拭うことをしなかった涙は眼からあふれ出し続けて、あふれ出した涙で目元に水たまりが出来て、視界がぼやけてしまっていた。
 何も見えない。
 何も見たくない。
 自分が、まわりから蔑むような眼で見られている光景など。
 しかしアシルが無情にもルミナスの目元に溜まった涙を指で拭い取ってしまった。
 そのコトに心が傷ついていると、彼は真剣な声で語った。
「悪いことしたのなら、オレなんかとっくの昔に死ななくちゃいけねえな」
「……え?」
 涙雫が拭われはっきり見えた世界で、アシルが弱弱しい表情で懸命に微笑もうとしていた。
「仮にルミナスが悪いことをしたからって、なんで死ななくちゃいけねえんだ? それに、ルミナスが死んだら、オレは悲しい」
 そう言った彼の声が、少し震えていた。それは怒りからか、悲しみからか、その時のルミナスには判断が出来なかった。
 それよりも、なんと返すべきかわからず口を開いては言葉が出ず、戸惑うコトしか出来ないほうが問題な気がした。
 せいぜい出た言葉は、酷く間抜けで震えた声だった。
「な……んで……?」
 訊ねられたアシルは目を瞬かせた。すると漆黒の瞳が緩やかに細められ、紅紫のような色の光が混じり和らいで見えた。
「なんで、って……?」
「な、で……私が死んだら、か、悲しいの……?」
 聞いてはいけない質問のような気がする。
 その質問は、聞いてはいけないような気がした。
 けれど、もう口から出てしまっていた。
 アシルの瞳から、また光が消えた。
 漆黒の瞳は、どこか虚ろにも見える色を交えながら、ルミナスを見つめている。
「……好きだからだよ」
 茶化すわけでも、嗤うわけでもない、真剣な声色に、ルミナスは言葉を失う。
 真剣な彼の表情が、今の言葉を本気だと伝えていた。
「なんで、今、さっき会ったばかりの私なん、かを……?」
 信じられるわけがないと、自分の心が拒む。
 素直に受け止められない。
 受け止められなかった。
 受け止め方が、わからないからだ……。
 生まれて18年間、一度も愛されたことなどなかった。
 誰からも。一度も。
 だから、アシルの気持ちを信じることも、その気持ちを受け止めることも出来なかった。
『拒絶』にも近い感情だった。
 身体がガタガタと震える。
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