(休載中)自殺したはずが何故か溺愛されまくる生活を送っております

rifa

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20話

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 みんなのルミナスを見る視線が冷たい。
 自分がここにいるべき存在ではないと、そう言われているような気がしてつらかった。
 一度だけで良い、誰かに必要とされたかった。誰かに認められた方。

 誰かに……愛されたかった……。

『あんたなんかを愛してくれる人なんて、いるわけないじゃない』
 そう指をさされて嘲笑する声が四方から聞こえ、ルミナスの心を抉り傷つけていく。
「……ごめんなさい」
 私なんかが、生まれてしまって……ごめんなさい。

 冷たい。寒い。暗い。
 自分の世界は、絶望という名の暗闇で覆われている。
 はずだった。

 そんな世界に、小さな光が灯った気がした。
「……あたたかい……」
 その光はルミナスの身体をやさしく包み込んでくれて、そのあたたかさにうっとりと目を細めた。
「ルミナス……」
 そう呼ばれ、「そうだ、私は……ルミナス」と思い出した。
(誰に呼ばれたんだっけ。……ううん、いいや、ここは心地良い。ずっとここにいたいなぁ)

「ここにいろ」

(……いいの? わたしは……ずっと)
「……ここに……むにゃ」
 自分の声でルミナスは目を覚ました。
「……ん?」
 眼を開いても、視界がぼんやりとして見えづらい。
(今何時……早く起きないと、会社に遅刻ちゃう……)
 手探りで目覚まし時計を探すが、ふわふわとした布団にしか触れない。
(あれ……布団ってこんなに柔らかかったっけ?)
 時計が見つからないし、布団は柔らかいしだが、それよりも気になることがあった。
(……動けない?)
 金縛りにでもあったかのように身体が何かに絡めとられて、動けなかった。
 しかし、金縛りは聞いていたよりずっとあたたかさを感じる。
(あったかい……ずっとこうしていたい、けど、会社に行かなき……)
 ぎゅっと閉じていた目を、思い切り開き、思い切って顔を上げた。
 すると眼前いっぱいに、とても綺麗な整った顔があって、心臓が爆発するのではないかというほど強く高鳴った。
 慌てて視線を下げると、そこには剥き出しになった男の人の肌があった。
(……はだか?)
 一瞬停止した思考がまたゆっくりと動き出し、今の状況を理解しだした。
 やはり目の前に広がるのは男性の裸体で、ルミナスは動揺しながら悲鳴を上げた。
「ッ、どうした、ルミナス……!」
 目の前の裸体の男はその悲鳴で目を覚ますと、より強い力でルミナスを抱きしめた。
「ああぁぁあぁああ、あ、アシル……さん?!」
 状況を理解していくうちに、昨日この男性たちと自己紹介を交わしたことや、自分がルミナスという名前を与えてもらったことを思いだした。
「大丈夫か、ルミナス?!」
「……なんで裸ァァァ?!」
 ワンテンポ遅れてから、彼が裸体で自分の身体を抱きしめている理由を悲鳴じみた声で問いかけた。
 まさか自分たちは、『そういうこと』をしてしまったのだろうかと慌てて自分の身体を見ると、自分は白いロングドレスのよう衣服を纏っていたので、そこはやや安堵した。
(でも寝る前はこんな服だったっけ?)
 そこの記憶はあやふやだったがすぐに我に返り、再度アシルに問いかけをした。
「なんでそんな恰好で私と眠っているんですか!」
「うん? ……離れたくないって、言っただろう?」
「だからってなんで私を抱きしめているんですか!」
「っていうか、待ってくれ、その前に一言いいか?」
「……な、なんでしょうか」
「敬語はやめてくれ」
「……ん?」
「敬語を使われるとむず痒くなるんだよ」
「……ん??」
 アシルの言っている意味がわからずに、二度も聞き返してしまった。
「お前に敬語を使われたくないんだよ!」
「だって、昨日サーナさんとナインさんは敬語を使っていたじゃないですか」
「あいつらは昔からそうだからもう良いんだよ。お前にはタメ語をお願いしたい」
「……はぁ。で、でも、今まで誰かに親しく話しかけたことなんて無かったので、最初はちょっと……うっかりしてしまうかもしれ、します、が?」
 この場合どう話したらいいのかわからず、へんてこな日本語になってしまったが、アシルはやや困った様子で笑ってくれた。
「まあ、徐々にで良いからさ」
「は、はい! 頑張る……」
 なんとか言える範囲で敬語を止めていこうという姿勢を見せれば、アシルは柔和な笑みを浮かべながら、ルミナスの髪を優しく撫でてくれた。
「よくできました♡」
 褒められたこともなかったので、アシルに褒められながら頭を撫でられると、妙に胸がくすぐったくなる。
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