(休載中)自殺したはずが何故か溺愛されまくる生活を送っております

rifa

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21話

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「じゃあ、二度寝すっか」
 アシルはあくび交じりにそう言うと、ルミナスの身体を抱きしめたまま、また柔らかいシーツの上に横たわった。
 強制的に一緒に横たわることになったルミナスは、また悲鳴じみた声をあげる。
「なんだよ、耳元で叫ぶなって……寝不足にひびく……」
 そう告げられ、気遣いながら声のボリュームを落としながら、先ほどからの問いを再度投げかけた。
「なんだよって、なんで、なんで私が一緒に寝ているんで……ていうかなんで……アシルは裸で、私は仕事に行かないといけないの……に!?」
 混乱しながら問いを投げかけまくっていると、アシルが眼を細めながらルミナスの後頭部を厚い胸板に押し付けるように抱きしめてきた。
「???!!!!!????」
 困惑しているルミナスに寝ぼけた声で、しかしアシルは逐一返答してくれた。
「オレは、寝るときは脱いでるんだ……なんか着ていると落ち着かねえっていうか……あっちの世界では、いちおう着ていたけど……。あとお前の仕事は……とりあえず今日は休みだから、あんしんして寝ていろ……」
「だ、だからって、なんで私が一緒に寝て……」
「お前と離れたくないから……一緒に、いたくて」
 アシルの言葉がたどたどしくなるにつれ、自分の後頭部を抱きしめていた腕の力が弱まっていく。
 そこで思い切って彼の腕から逃れて身体を起こした。
 ルミナスの顔を見たアシルは、幸せそうに顔を蕩かせて、瞼を閉じるその時までずっとやさしさを孕んだバイオレットの瞳でルミナスを眺め続けていた。
 彼が瞼を閉じて、こてんと顔を傾かせてから安らかな寝息を立て始めた。
 あっという間に深い眠りについた彼の、眠る前に浴びた柔らかい視線を思い出し、熱を帯びていく自分の顔を鎮めようとシーツに突っ伏す。
(……見なきゃよかった)
 自分の心臓が、まるでどうかしてしまったようだ。
 息が苦しい。
 アシルが傍にいると、とても苦しくなって仕方がない。
 今までどんなに周りから冷たい視線を浴びても、嫌なことを言われても、 こんな気持ちになったことはなかった。
(まるで……自分が自分ではなくなったようだ……。それなのに、アシルに問われた言葉が、どうしてか嬉しいと感じてしまう)
 どうかしてしまったのだ、と自分を責めていると、アシルが手を彷徨わせながら「ルミナスぅ……」と寝ぼけた声で自分を呼んだ。
(寝言……? 私の夢を見ているの?)
「どこだ……。ルミナス……ルミナス……」
 自分の名を呼ぶその声が、どんどん乏しくなっていくような気がした。
 ルイナスも、先ほど自分が見ていた夢を思い出す。
(アシルも夢の中で、ひとりぼっちなのかな……)
 独りぼっちの中、何故か自分を求めているということが気になった。
(会ったばかりの私を、どうしてそんなに求めるのかな……)
 本当に独りぼっちの自分と違いって、アシルの傍には、親しそうに話すサーナやナインやミンクがいる。
 それなのに、どうして昨日話したばかりのルミナスに優しくするのだろうと、それが気になった。
(仲良くなろうとしてくれているのかな……?)
 今まで、自分と親しくなろうと存在は一人もいなかった。
 だから今更仲良くしてくれようとする存在をありがたく思いつつ、しかし接し方がわからず戸惑ってしまうのだ。
「ルミナス……」
 ただ、このさまよう手を、放っておきたくないと思った。
 空をさまようアシルの手を両手で握りしめながら「ここにいるよ」と耳元で囁いた。
「……ルミナス」
 アシルの表情が、安堵からか喜びからか、和らいでいくのがわかった。
 どんな理由かはわからないけれど、彼が本当に自分を求めてくれているのだなと思うと、それを嬉しいと感じる自分の心に気づいた。
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