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31話
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「良かったです。ちなみに給料は安いですが、衣食住込みなので、いただいたお給料はすべてルミナスの好きに使えますよ♡」
それを聞いてルミナスは驚いた。
今まで生活費を切り詰めるだけ切り詰め、捻出した残りの給料を学費の返済に充てていたから、自分が自由に使えるお金をもらえるなど、まるで夢の世界だった。
これで完全に、ここが異世界だと信じた。
こんな夢のようなこと、異世界でなければあり得ないと思ったからだ。
「……サーナさん、ありがとうございます!」
「いえ、これからもよろしくお願いしますね、ルミナス」
サーナと熱い握手を交わすと、今度はアシルのほうへ向いてその手を握った。
「アシルも、ありがとうございました!」
お礼を言われたアシルはやや顔を赤らめながら固まっていたが、何か腑に落ちないことでもあったように顔をしかめた。
「……ん? なんで過去形……」
「これからはサーナさんのところでお世話になるので……?」
もうアシルの援助を受けることはないだろうという意味で言ったお礼なのだが、何か間違っていたようだ。
「ルミナス、アシルのお世話には引き続きなりますよ?」
「え?」
混乱して固まっていたアシルとルミナスの硬直を解くように、サーナが会話に入って説明してくれた。
「今度からルミナスの勤務先になる教会を支援してくださっているのは、ほかでもないアシルなのです。そこで私がこの屋敷に派遣され、アシルの専属魔法使いとして住み込みで仕えているんです。つまり、アシルは私の上司ということにもなりますし、私の助手であるルミナスも当然、ここでお世話になるんですよ」
説明されて、納得と疑問が同時に湧いた。
(あれが、上司にとる態度……?)
出会ってから今までの、サーナがアシルに行った暴言の数々が思い出された。
「……というか」
ルミナスが前の職場でいくらもらっているのかを把握していたかは疑わしいが、簡単に「その4倍払う」と言ったり、教会というものがどれほどの支援で成り立つものなのかもわからないが、それらに加えてサーナや自分たちの生活も支えたりすることが出来るアシルは、いったい何者なのだろうという疑問が湧いてきた。
「ん、なんだ?」
ルミナスにじっと見られていることを喜ぶように、表情筋を緩めるアシル。一瞬、大富豪か石油王なのではないかと思ったが、こんな緊張感のない笑顔のアシルを見て「ないか」と頭を振った。
「ん?」
勝手に自分の中で結論付けているルミナスに、アシルは訝しげな顔を近づけてくる。
「なんだよ」
チンピラのような絡み方をするな、と若干引いてしまった。
露骨に引いてしまったので、アシルがまた、捨てられた子犬のような表情でうなだれた。
「……ルミナス。ルミナスは、どんな男性が好みとかありますか?」
「え、急に、なに?」
「いえいえ、ちょっと女の子同士のトークというものをしてみたくなったので♡」
「……女の子同士のトーク」
ガールズトークというやつだろうか、と気づき、ルミナスの胸が躍った。
今までそんなものとは縁がなく、自分の年齢で『ガール』を名乗っていいものか迷ったが、してみたい気持ちが勝った。
「……好きな、男性のタイプは……」
想像してみる。
自分が結婚したい男性のタイプというものを。
それを聞いてルミナスは驚いた。
今まで生活費を切り詰めるだけ切り詰め、捻出した残りの給料を学費の返済に充てていたから、自分が自由に使えるお金をもらえるなど、まるで夢の世界だった。
これで完全に、ここが異世界だと信じた。
こんな夢のようなこと、異世界でなければあり得ないと思ったからだ。
「……サーナさん、ありがとうございます!」
「いえ、これからもよろしくお願いしますね、ルミナス」
サーナと熱い握手を交わすと、今度はアシルのほうへ向いてその手を握った。
「アシルも、ありがとうございました!」
お礼を言われたアシルはやや顔を赤らめながら固まっていたが、何か腑に落ちないことでもあったように顔をしかめた。
「……ん? なんで過去形……」
「これからはサーナさんのところでお世話になるので……?」
もうアシルの援助を受けることはないだろうという意味で言ったお礼なのだが、何か間違っていたようだ。
「ルミナス、アシルのお世話には引き続きなりますよ?」
「え?」
混乱して固まっていたアシルとルミナスの硬直を解くように、サーナが会話に入って説明してくれた。
「今度からルミナスの勤務先になる教会を支援してくださっているのは、ほかでもないアシルなのです。そこで私がこの屋敷に派遣され、アシルの専属魔法使いとして住み込みで仕えているんです。つまり、アシルは私の上司ということにもなりますし、私の助手であるルミナスも当然、ここでお世話になるんですよ」
説明されて、納得と疑問が同時に湧いた。
(あれが、上司にとる態度……?)
出会ってから今までの、サーナがアシルに行った暴言の数々が思い出された。
「……というか」
ルミナスが前の職場でいくらもらっているのかを把握していたかは疑わしいが、簡単に「その4倍払う」と言ったり、教会というものがどれほどの支援で成り立つものなのかもわからないが、それらに加えてサーナや自分たちの生活も支えたりすることが出来るアシルは、いったい何者なのだろうという疑問が湧いてきた。
「ん、なんだ?」
ルミナスにじっと見られていることを喜ぶように、表情筋を緩めるアシル。一瞬、大富豪か石油王なのではないかと思ったが、こんな緊張感のない笑顔のアシルを見て「ないか」と頭を振った。
「ん?」
勝手に自分の中で結論付けているルミナスに、アシルは訝しげな顔を近づけてくる。
「なんだよ」
チンピラのような絡み方をするな、と若干引いてしまった。
露骨に引いてしまったので、アシルがまた、捨てられた子犬のような表情でうなだれた。
「……ルミナス。ルミナスは、どんな男性が好みとかありますか?」
「え、急に、なに?」
「いえいえ、ちょっと女の子同士のトークというものをしてみたくなったので♡」
「……女の子同士のトーク」
ガールズトークというやつだろうか、と気づき、ルミナスの胸が躍った。
今までそんなものとは縁がなく、自分の年齢で『ガール』を名乗っていいものか迷ったが、してみたい気持ちが勝った。
「……好きな、男性のタイプは……」
想像してみる。
自分が結婚したい男性のタイプというものを。
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