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はじめてのお仕事③
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「ダイナ様。どうして抱いてくださらないんですか?」
「……言ったはずだ。今の体型の君を抱くつもりはないと」
「で、ですが、先ほど私に欲情してくださったではありませんか!」
「あれは……あれは、気のせい……だ」
「気のせい……?」
「へ、部屋が暗かったから、いっとき君が豊満な体つきの女性に見えただけだ」
「……ではやはりダイナ様は、豊満な体つきではないと滾らないと?」
「……………………あぁ、そのとおりだ」
長い間をあけたあと、ダイナ様は静かにうなずいた。
「では、ではお約束していただけますか? もしも私が健康な肉体になったら、抱いてくださると……」
つい熱がこもってしまった言葉に、ダイナ様は眉をひそめる。
「どうしてそこまで食い下がる?」
「……い、いえ。それは……」
「まずは豊満な身体になれ。抱くかどうかは、その身体の完成次第で考える」
「! は、はい!」
期待に満ちた声で返事をすれば、ダイナ様はますます不可解そうな顔をしていた。
でもそんな難しそうな彼の表情にさえ、私の心臓はドキドキと高鳴り続けていた。
(私、どうしてしまったのかしら……。ダイナ様をずっと見つめていたい……。触ってもらいたいし、見てもらいたい……)
いけない、と頭を振る。
(こんなんじゃ、今夜からの仕事も満足に出来ないかもしれない。まずは、一日も早く豊満な身体になって……それから、それから考えよう!)
そう心に誓い、今は時期を焦って求めるより、彼の好みの体つきになって求めてもらえるようになろうとした。
その日の朝から、毎日毎食残さず出されたものを食べようとした。
だが、今までそんな定期的に食事をしてこなかった・粗末な物しか食べて来なかったことで、一気に食べようとすると吐いてしまうのだ。
「あっ……ご、ごめんなさ……い」
吐いた物を再び口に戻そうとするのを、一緒に食事をしていたダイナ様とメイドたちに止められた。
「君が気持ち悪くならない程度の食事内容と量にするから、ゆっくり身体に慣らしていけ」
そんな悠長なことで良いのだろうかと不安にもなったが、それ以上に、ダイナ様の気遣いや心配りが嬉しくて、素直にうなずいた。
ダイナ様もメイドたちも、なんでこんな私に優しくしてくれるのだろうか、それが不可思議であった。
メイドも、最初は仕事だからかと思っていたが、次第に彼女たちが本気で自分に優しくしてくれていると気づく。
(この屋敷の人たちはきっと、人格からして素晴らしい人たちなんだ。だから、こんな私にも優しくしてくれるんだ)
そう考えるようになってから、少しずつダイナ様だけでなく、メイドたちにも心を開けるようになっていった。
最初は吐いてしまった食事も、メイドは嫌な顔一つせずに片づけをして、むしろ心配までしてくれた。
そして新しいパン粥を用意してくれ、食後に温かい飲み物まで用意してくれた。
そうして温かい気持ちをたくさんいただいているうちに、私はダイナ様のコトもこの屋敷のメイドのコトも大好きになっていた。
離れるのが、とても嫌になっていた。
だから、一日でも長くいられるように、追い出されないように、ダイナ様の朝晩のお仕事もしっかりした。
ダイナ様はあれから、私の身体を弄ることはなくなった。
私はただ淡々と、ダイナ様のおちんちんを舐めたり撫でたりして慰め、元気にさせるだけ。
それさえ幸せであったが、過ぎる不安もある。
(もし、もしダイナ様が私を抱いてくれた時、私の抱き心地が想像よりずっと良くなくて、飽きられたら……ダイナ様に見捨てられたら……)
ぞっとした。
ダイナ様と離れるのも、メイドたちと離れるのも、もう考えられない日常になりつつあるのだ。
だから、自分の身体が少しずつ肉づいていくことに怯えることもあった。
しかしダイナ様に抱かれたいという気持ちもせめぎ合ってくる。
抱かれたい気持ちと抱かれるのが怖い気持ちがせめぎ合いながら、半年が経った……。
「……言ったはずだ。今の体型の君を抱くつもりはないと」
「で、ですが、先ほど私に欲情してくださったではありませんか!」
「あれは……あれは、気のせい……だ」
「気のせい……?」
「へ、部屋が暗かったから、いっとき君が豊満な体つきの女性に見えただけだ」
「……ではやはりダイナ様は、豊満な体つきではないと滾らないと?」
「……………………あぁ、そのとおりだ」
長い間をあけたあと、ダイナ様は静かにうなずいた。
「では、ではお約束していただけますか? もしも私が健康な肉体になったら、抱いてくださると……」
つい熱がこもってしまった言葉に、ダイナ様は眉をひそめる。
「どうしてそこまで食い下がる?」
「……い、いえ。それは……」
「まずは豊満な身体になれ。抱くかどうかは、その身体の完成次第で考える」
「! は、はい!」
期待に満ちた声で返事をすれば、ダイナ様はますます不可解そうな顔をしていた。
でもそんな難しそうな彼の表情にさえ、私の心臓はドキドキと高鳴り続けていた。
(私、どうしてしまったのかしら……。ダイナ様をずっと見つめていたい……。触ってもらいたいし、見てもらいたい……)
いけない、と頭を振る。
(こんなんじゃ、今夜からの仕事も満足に出来ないかもしれない。まずは、一日も早く豊満な身体になって……それから、それから考えよう!)
そう心に誓い、今は時期を焦って求めるより、彼の好みの体つきになって求めてもらえるようになろうとした。
その日の朝から、毎日毎食残さず出されたものを食べようとした。
だが、今までそんな定期的に食事をしてこなかった・粗末な物しか食べて来なかったことで、一気に食べようとすると吐いてしまうのだ。
「あっ……ご、ごめんなさ……い」
吐いた物を再び口に戻そうとするのを、一緒に食事をしていたダイナ様とメイドたちに止められた。
「君が気持ち悪くならない程度の食事内容と量にするから、ゆっくり身体に慣らしていけ」
そんな悠長なことで良いのだろうかと不安にもなったが、それ以上に、ダイナ様の気遣いや心配りが嬉しくて、素直にうなずいた。
ダイナ様もメイドたちも、なんでこんな私に優しくしてくれるのだろうか、それが不可思議であった。
メイドも、最初は仕事だからかと思っていたが、次第に彼女たちが本気で自分に優しくしてくれていると気づく。
(この屋敷の人たちはきっと、人格からして素晴らしい人たちなんだ。だから、こんな私にも優しくしてくれるんだ)
そう考えるようになってから、少しずつダイナ様だけでなく、メイドたちにも心を開けるようになっていった。
最初は吐いてしまった食事も、メイドは嫌な顔一つせずに片づけをして、むしろ心配までしてくれた。
そして新しいパン粥を用意してくれ、食後に温かい飲み物まで用意してくれた。
そうして温かい気持ちをたくさんいただいているうちに、私はダイナ様のコトもこの屋敷のメイドのコトも大好きになっていた。
離れるのが、とても嫌になっていた。
だから、一日でも長くいられるように、追い出されないように、ダイナ様の朝晩のお仕事もしっかりした。
ダイナ様はあれから、私の身体を弄ることはなくなった。
私はただ淡々と、ダイナ様のおちんちんを舐めたり撫でたりして慰め、元気にさせるだけ。
それさえ幸せであったが、過ぎる不安もある。
(もし、もしダイナ様が私を抱いてくれた時、私の抱き心地が想像よりずっと良くなくて、飽きられたら……ダイナ様に見捨てられたら……)
ぞっとした。
ダイナ様と離れるのも、メイドたちと離れるのも、もう考えられない日常になりつつあるのだ。
だから、自分の身体が少しずつ肉づいていくことに怯えることもあった。
しかしダイナ様に抱かれたいという気持ちもせめぎ合ってくる。
抱かれたい気持ちと抱かれるのが怖い気持ちがせめぎ合いながら、半年が経った……。
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