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オリヴァーの昔話
幼少期の出会い・1
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パーティーが終わってから一週間が経った。
ミレーの腕の怪我は未だ治らない。オリヴァーに言わせると、「一週間程度で骨折は完治しない」とのこと。
さらにミレーはもともと栄養不足だ。グランディア邸に来てからたくさん栄養を摂るようにしているとはいえ、十数年粗末な食生活で粗雑に扱われたミレーの身体は、同じ年頃の女性より断然貧弱だ。
オリヴァーに言わせると、胸だけは立派らしいが……栄養をつける場所が間違われているように思える、とも付け加えていた。
ミレーが骨折した後からオリヴァーは、骨折前より一層過保護になったように思われる。
利き腕である右手が使えないので、食事はもちろん、ティーカップを持ことも出来ないため、一人では飲食が出来ないのだ。
それを好機と、オリヴァーがミレーの代わりに食事をスプーンで掬って食べさせてくれるのだ。
食事は基本、このグランディア邸の主であるクラウドと、息子のオリヴァー、そして婚約者であるミレーの三人で食べる。
なので、この食事の席には当然、オリヴァーの父・クラウドも着席しているのだが……。
オリヴァーはスプーンで掬ったチーズリゾットを、ミレーの口元まで持ってきて「あーん、って口を開けろ」と要求してくる。
(こ、ここで?! オリヴァーのお父様もいるのに……その目の前で?!)
それを気にしてチラチラ見た視線に気づいた様子のクラウドは、食事をする手を一度止めて「ボクのことは気にしないで」と微笑んでから、また食事に戻った。
関心がないというより、ふと視線を戻した時、オリヴァーがものすごい殺気を含んだ眼でクラウドを睨みやっていたのが見えたので、息子を怒らせないように我関せずに徹しよう、ということなのだろう。
(ひぇ……は、恥ずかしい……)
18という良い年齢の淑女が、子どものように「あーん」して食べさせてもらうということに羞恥を覚えた。
給仕の人も見守っている。
厨房からもシェフやコックたちが見守っている。
そんな中で、これはいったいどういう羞恥プレイなのだろうと、ミレーは思考がぐるぐると回りだし混乱した。
「……ミレー」
しびれを切らした様子で、オリヴァーがミレーの名を呼ぶ。
その声は威圧とは真逆の、労わりやら優しさやらを含んだ甘い声で、ミレーの気持ちと一緒に身体も震わせた。
(うぅぅ、オリヴァーのこの声好き……)
うっとりとその声に従うように口を開けてしまう。
そこに、オリヴァーが持つリゾットの乗ったスプーンを差し込まれる。
「はぐぅ」
「良い子だ、ミレー。よく噛めよ」
まるで子どもをあやすように優しく頭を撫でられ、ミレーの羞恥心は高まっていく。
このようなやさしい扱いは、少なくとも物心ついてからはされたことがないからだ。
オリヴァーにそう告げると、彼はにたりと意地の悪い笑みを浮かべた。
「じゃあ、これからもっとして、慣れてもらわないとなぁ」
「悪魔のような笑み……」
「ははっ」
いやらしい笑みを指摘すると、彼はいつものような快活な笑い方に戻った。
ミレーの腕の怪我は未だ治らない。オリヴァーに言わせると、「一週間程度で骨折は完治しない」とのこと。
さらにミレーはもともと栄養不足だ。グランディア邸に来てからたくさん栄養を摂るようにしているとはいえ、十数年粗末な食生活で粗雑に扱われたミレーの身体は、同じ年頃の女性より断然貧弱だ。
オリヴァーに言わせると、胸だけは立派らしいが……栄養をつける場所が間違われているように思える、とも付け加えていた。
ミレーが骨折した後からオリヴァーは、骨折前より一層過保護になったように思われる。
利き腕である右手が使えないので、食事はもちろん、ティーカップを持ことも出来ないため、一人では飲食が出来ないのだ。
それを好機と、オリヴァーがミレーの代わりに食事をスプーンで掬って食べさせてくれるのだ。
食事は基本、このグランディア邸の主であるクラウドと、息子のオリヴァー、そして婚約者であるミレーの三人で食べる。
なので、この食事の席には当然、オリヴァーの父・クラウドも着席しているのだが……。
オリヴァーはスプーンで掬ったチーズリゾットを、ミレーの口元まで持ってきて「あーん、って口を開けろ」と要求してくる。
(こ、ここで?! オリヴァーのお父様もいるのに……その目の前で?!)
それを気にしてチラチラ見た視線に気づいた様子のクラウドは、食事をする手を一度止めて「ボクのことは気にしないで」と微笑んでから、また食事に戻った。
関心がないというより、ふと視線を戻した時、オリヴァーがものすごい殺気を含んだ眼でクラウドを睨みやっていたのが見えたので、息子を怒らせないように我関せずに徹しよう、ということなのだろう。
(ひぇ……は、恥ずかしい……)
18という良い年齢の淑女が、子どものように「あーん」して食べさせてもらうということに羞恥を覚えた。
給仕の人も見守っている。
厨房からもシェフやコックたちが見守っている。
そんな中で、これはいったいどういう羞恥プレイなのだろうと、ミレーは思考がぐるぐると回りだし混乱した。
「……ミレー」
しびれを切らした様子で、オリヴァーがミレーの名を呼ぶ。
その声は威圧とは真逆の、労わりやら優しさやらを含んだ甘い声で、ミレーの気持ちと一緒に身体も震わせた。
(うぅぅ、オリヴァーのこの声好き……)
うっとりとその声に従うように口を開けてしまう。
そこに、オリヴァーが持つリゾットの乗ったスプーンを差し込まれる。
「はぐぅ」
「良い子だ、ミレー。よく噛めよ」
まるで子どもをあやすように優しく頭を撫でられ、ミレーの羞恥心は高まっていく。
このようなやさしい扱いは、少なくとも物心ついてからはされたことがないからだ。
オリヴァーにそう告げると、彼はにたりと意地の悪い笑みを浮かべた。
「じゃあ、これからもっとして、慣れてもらわないとなぁ」
「悪魔のような笑み……」
「ははっ」
いやらしい笑みを指摘すると、彼はいつものような快活な笑い方に戻った。
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