貧弱テイマー。理不尽にパーティ追放されたので強くなるために魔王を召喚しようと思ったら第六天魔王が召喚されたので天下統一します。

農民サイド

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第1章 第六天魔王召喚

第5話 進展

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 ノブナガの一撃により真っ二つにされたトロール。僕は、ゴブリンとトロールの体の一部を回収し終えると冒険者ギルドに報告しようと街に戻ったのだが……

「おい! おまえトロールを倒したって本当か!?」
「嘘だろ、あのサイズをたった2人でか?」
「どうせホラだろ……え、証拠があるって? ごめんなさい」

 街に戻ると辺り一面は歓迎ムードで僕たちを迎え入れた。どうやらトロール出現の報せは冒険者ギルドを通して街全体に伝わっており、さあこれから討伐だ! となっていたところをいち早く僕たち……正確に言えばノブナガが倒してしまい、それがすでに街に知れ渡っていたようで、通門のところで多くの冒険者たちに囲まれてしまった。

「と、通してくれえええ」

 なんとか冒険者の荒波を退けながら、冒険者ギルドに到着すると受付嬢は僕たちにとんでもないことをいい始めた。

「王様がお呼びです」

 王様に呼ばれるなんて余程のことだ。トロールのことだと思ったが、別に大型モンスター倒した程度で王様に呼ばれるなんて聞いてことなんてないし、それともノブナガのことか? まさか元パーティの濡れ衣のせいか……だったら国外追放も考えられるぞ。

「終わった……」

 僕が気を落としているとノブナガが背中をバンっと叩く。

「しえるよ、間違ったことをしてないならば胸を張れ! 相手が誰であれ弱いところを見せるな、この国を統べる王ならばなおさら、自信に満ちた自分を示せ」
「そんな、簡単に言うなよ……下手したら、この国にいられなくなるんだぞ!」
「困るのか?」

 ノブナガがあまりにも簡単に言うので僕もすっかり拍子が抜けてしまった。

「はは、ノブナガが羨ましいわ」
「ふん、今のわしにはしえるがいればそれでよいからな」

 なんだよそれ……

「いや、なんだよそれ! 馬鹿なこといってないで早く行くぞノブナガ!」

 僕たちは、街の中央に位置する王様のいるお城へと向った。



 ◇◇◇



 僕たちは、お城の門の前まで来ると衛兵に連れられ王様のいる部屋へと案内された。部屋に入ると王様は結構ラフな感じで椅子に座って机で何かを書いていた。

「忙しいところすまないね。シエルさん」
「い、いえ……」

 この国の王……『ゼオン・エシュロニア』。僕も直接会うのは始めてだけど、大勢の前で話す王はもっと厳しいイメージがあったが今目の前にいる王は物腰の柔らかい優しい声色と印象を受ける。思わず緊張していた体が解れるぐらいで、同一人物だとは思えなかった。

「突然呼び出してしまったのは他でもない、シエルさんの実力を見込んで私から頼みがあるのだ」

 王様は、優しい声色を保ちつつも真剣な眼差しで僕を見る。

「シエルさんも、今東側の隣国である『ディグライト王国』の現状はなんとなく聞いておると思う」

 このエシュロニアの東に位置する隣の国、ディグライトは正体不明の敵捕えられぬ者ファントムに国が脅かされているとは聞いている。つい最近も、僕のいるエシュロニアと同盟を結び共に捕えられぬ者ファントムに対抗するために連合を作ったとかなんとか……

「はい、なんとなくは聞いています」
「それでだ、シエルさんにもその連合に加わってほしいのだ」

 ええ……それは名誉なことだけど僕が? そもそも僕は捕えられぬ者ファントムについてもこの大陸を突如覆った死の霧デスミストが原因ってことぐらいしか知らないのに……

「その話、喜んでお受けします」
「ふえ?」

 今まで、腕を組んで唸っていただけのノブナガが話し始めたと思ったら、僕に確認もせず二つ返事で了承してしまったので思わずすっとんきょうな声がでてしまった……恥ずかしい。

「おお、受けてくれるのか! しかし、そちらの者はシエルさんのお知り合いですか?」
「わしは、しえるの古い友人のノブナガと言うものだ。以後お見知りおきを王よ」

 聞いたこともない嘘をペラペラと喋りながらノブナガは王様に向けて頭を垂れる。

「ほほう、そうかそうか。ではシエルさんと共にノブナガさんにもお願いしたい」

 王様はノブナガを微塵も疑うことなく、話を進める……って、ちょっおい、僕の意見はどうした!?

「王の期待に添えるよう、善処します」

 こうして、意見も言えぬまま勝手に連合に参加することになってしまった僕は、期日をもってこの国を出ることになってしまった……



 ◇◇◇



「ああ、出発までに10日の時間を貰えたからよかったけど……今後はちゃんと相談しようよノブナガ」
「必要ない。貴様はどうせ逃げ腰の意見しか述べぬであろう」
「……そ、そんなことない」
「図星だろうな」
「はぁ……」
 
 ノブナガに見透かされ何も言い返せなくなった僕はため息をつくことしか出来なかった。

「分かったよ、その辺の意識も変えていく……あ、いや、もっと自分に自信をもった受け答えをするようにする」
「うむ、多少はわしの言葉の意味を理解したようだな。ういやつよ」

 そう言ってノブナガは僕の頭を乱暴に撫でる。

「痛い、やめろ!」

 僕はノブナガの手を払いのけるが、当の本人は笑っている。
 ノブナガのやつめ……人の頭を何だと思ってるんだ。そう言えば……

「そういや、最後王様となにを話してたんだ?」
「……内緒だ」

 そんなやり取りをしながらやっとの思いで冒険者ギルドまで戻ってくると、先程のトロールの討伐報酬を受け取り、一度宿屋へと戻った。

「結構な金額をもらってしまった……」

 通常のゴブリンの討伐クエストで金貨1枚程度なのだが今回の報酬は金貨35枚。普通の冒険者なら1月は優に暮らせる。

「旅の軍資金としては十分すぎるな」

 今後はノブナガと2人きりだろうし僕も武器を買うべきだろうな。槍や剣は取り扱いが難しいが短剣や弓であればそこそこ扱う自信はある。まあ、本来であればノブナガが前衛をしてくれるのだから魔法や回復に集中したほうがいいのだろうが、2人だけのパーティはいくら個々の力が強くとも大軍に襲われたら一溜まりもない。やはりある程度役割は分けつつも、僕も戦えたほうがいいだろう。

「そう考えたら短剣だな。それも複数もっていたほうがいいな」

 しかし、ノブナガのやつ金を貸してくれと言ってどこかに出ていったきり帰ってこないな……全財産渡したから盗まれてないといいが……

「今戻った」
「お、おかえり」

 考えてたら丁度戻ってきたな……どこいってたんだ?

「しえる、これを使え」

 そう言うとノブナガは一冊の手帳を僕に投げつけてきた。

「なにこれ……」
「魔蓄紙の手帳だ。これに魔法陣を描けばいつでも使えるようになるぞ」
「え、なんでそんなものを……? ってかどうやって手に入れたんだ?」
「人気のない路地の奥にあった店で買った」
「ええ……どう考えても怪しい店じゃん……いや、そもそもどこで知ったんだそんなもの僕でも聞いたことないぞ」
「王に聞いたぞ。この世界の何処かにあると、まさかこんな近くにあるとはわしも思わんかったがな」

 ああ、だから王様とヒソヒソ話してたのか……しかし、ほんとにこれ効果あるのか?

「で、これいくらしたんだ?」
「金貨35枚だ」
「ああ、35枚ね……って35枚!? 全財産じゃねえか!! 何考えてるんだノブナガ!」

 ノブナガは、椅子に腰掛けいつものティーカップを啜っている。どうやら僕の言葉は聞く気がないらしい。

「ああっ! もう、これで偽物だったら今すぐ金貨35枚稼いでこいよな!」
「いいぞ、その代わり本物だったらわしの言うことを忠実に守れ」
「ああ、いいぜ!」

 僕は1ページを捲りサファイアを握りしめると僕の頭に魔法陣が浮かんでくるので、それを手帳に正確に描き写す。この能力のお陰ですっかり模写の技術があがり、最近では頭に浮かんだ魔法陣を寸分違わず描き写すことができるようになった。

「で、これでどうやって使うんだよ!」
「使い方も聞かずに勝負を仕掛けたのは貴様だろうが、ならば自分で考えろ」

 確かにそうだ……くっそ、悔しい。

「やってやるよ!」

 今までの僕とは違う、変わるんだ!
 僕は、カーバンクルの宝石を握りしめ手帳に魔力を込める。

「我は、すべての生物を統べし者。すべての生物と魂を分かつ者……我が生命とお前が生命を混じり合わせ、我が呼声に答えよ。いでよマナの精霊カーバンクル!」

 膨大な魔力が手帳に描かれた魔法陣から放たれる。その魔力は宿屋の一室の中をまるで生きているかのように暴れまわり、僕の目の前で大きな爆発音と共に弾けた。

「うぉっ……」

 あまりの衝撃に僕の体は吹き飛ばされて壁にぶち当たる。

「いてて……なんだこれ、いつもと全然違う」

 痛む背中を擦りながら、立ち上がり何が起こったのかを確認する。すると、僕がさっきまで立っていた場所には見慣れた青いカーバンクルがいた。

「……変わりないな」

 カーバンクルは、額に色々な宝石を付けた小さい4足歩行の精霊種の生き物だ。縦長の耳ともふもふの毛皮が特徴なのだが……実は本物は見たことがない。というか精霊種は討伐禁止がでているレアモンスターで間違って倒そうものなら罰則金を取られるほどだ。しかし、僕は市販されている宝石で召喚できるので問題はない。

「うーん」

 実物は見たことないがいつも僕が召喚するカーバンクルと何ら変わりはないように見える。

「ま、まあ、魔力を込めずに召喚できたし、僕もほとんど魔力を使ってないし……せ、成功かな?」

 僕は、ノブナガの元まで歩み寄ると机をパンっと軽く叩く。

「どうだ! この賭け僕の勝ちのようだな」
「ふ、よく見てみろ」

 ノブナガはカーバンクルの方を指差したので僕は指さされた方向に視線を移す。

「え、消えてる……」

 先程まで目の前にいたはずのカーバンクルが綺麗サッパリ消えていた。

「な、なんでだ……」
「どうやら、賭けはわしの勝ちのようだな」

 ノブナガは立ち上がり顔を近づけてくる。

「今後は、わしの言うことを忠実に守ってもらうぞ」
「……分かったよ。僕の負けだ、だから使い方を教えてくれ」
「よかろう……ただしベッドの上でだがな」

 そう言って、ノブナガは僕をひょいと担ぎ上げる。

「ま、待て! まだやることがあるから今はダメだ。よ、夜にしてくれ!」

 自分でもとんでもなこと言ってると思うが、契約維持のためには仕方がない。

「ほう、ならば日が暮れるまでは付き合ってやろう。その後はわしに付き合ってもらうからな」
「ああ、それでいいよ」

 こうして僕は手帳の使い方を夜になるまでの間にしっかりと教えてもらった。
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