俺は誰？

彼女は誰？

最近会ったあの女の事はよく思い出せるが、母の事は何も思い出せない。
そもそも記憶はまだ、何一つ思い出せないのだ。

始めに会った時も、２度目に会った時も、彼女は笑っていなかった。
本当に母親だったのだろうか？

ーーあれが、、ハハオヤ？？

そして本当に俺はここで暮らしていたのだろうか？
至るところに俺の名前。

そして仏壇には、ハハオヤなのか、お婆ちゃんなのか？ーー関係性は、わからないが黒髪の長い女が笑っている。
おそらく近しい人物なのだろう。

彼女は一体誰なんだろうか？
そして俺はその遺影の写真を見つめている。
彼が突然口を開いた。

「その写真の人物がお前の母親だよーー５年程前に、自殺したらしい」

ーー母が自殺？？

ん？？じゃ、あの時のあの女は母親ではなかったのか？

枯れた桜並木を歩いていて、俺の前で足を止めた女。
黙っていた女。脅迫めいた手紙を寄越した女。

２度目に会った時ーーこんなところで何をしてるの？と言った女。

彼女は一体誰だったのか？