みゆたろ

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男は40才から50才くらいに見える。
もしかしたら、もうちょっと若いのかも知れないが、カッパの様に頂上にお皿が乗っているからそう見えるのかも知れない。
体型はどちらかと言えば、痩せ型である。

バタバタバタ。
母の階段をかけ上がっている足音。

私は立ちすくんだままーー。
男をジッと見ている。しかし、男は室中に入れないはずだ。
窓ガラスのカギは、しっかりと閉めてあるから。

「夕夏、どーしたの?」

母が息を切らしている。動揺したまま、私は窓の外へ指を指す。
母の注意が窓の外に向かう。

ーーあなた。

母が言ったその一言に、私は更に驚いた。
そう言えば、私は父の顔を知らない。物心ついた時には、既に父と母は離婚していたし、
私は必然的に母の手によって、育てられていた。

「あなた」=「父」?そう簡単に結びつける事が出来なかったが、ようやく私はそう結びつけた。

ーーはぁ?この人がお父さん??

私には疑問符だけが積み重ねられていく。
私の心を置き去りにして、母は窓の鍵を開けた。

「ーー何しに来たの?」
いつになく冷たい口調の母が言う。

「噂でお前が倒れたって聞いたから、飛んできたんだよ。大丈夫なのか?」

ーー何を今さら。

「本当の目的は何なのか?ーーそう聞いているの」
じれったそうに母が言う。
「ただ様子見たかっただけなんだってーー」
父?ーー半信半疑だが。
その人の顔つきは困り果てたような顔をしている。
心意は定かではないが。
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