みゆたろ

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前、飼い主

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ーーガタン。ガタガタッ。

聞き慣れない物音がした。
私は飛び起きる。

「ん?どーしたの?ゆーか?何かあった?」

「ーー物音がしたの、、そう、あの時に聞いたような音」

「あの時っていつ?」
由美が寝ぼけた顔で聞いてくる。

その声にノイズがかかる。
ジージーと低い音。

ーーあ、あの時と同じ。
ーー来る。

心臓の音が高まる。

ドキドキドキドキ。

「ーーワンッ」
柴ちゃんが突然吠えた。
とても嬉しそうな声を出す。

「ーーあービックリした」
由美と私で顔を見合わせる。

アハハ。

一斉に二人は笑いだした。

「ーー柴、、しば、、。」
「ワンッ。」

この声。
あの時に聞いた声だ。
少しノイズのかかった声。姿はわからないが、女のもののようだ。

「ーー大切に、、して、、もらってるんだね」
その声が言った。
「うん。俺、今この人たちに飼われて幸せだよ」

「あの時、お前に人の言葉を教えておいてよかった」

声が言う。

そうだ。
思い出した。
あの雷のなった日。
俺はそれに当たり、もう死んじゃったはずの前の飼い主に合ったんだ。

そして前の飼い主から言葉を教えられ、それでこの世界に戻ってきたんだ。

ーーあの時、俺は一度死んでしまったのだろうか?

その言葉は今、俺の気持ちを的確に伝える為だけに使われているだろうか?
俺はその言葉の意味を間違えていないだろうか?

考えてみる。
でも、答えは見つからない。
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