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撃沈

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「ーー彼女、ダメだったよ。。」

ガッカリとした顔で、貴史は自席に戻ってきた。

「ーー何でダメだったんですか??」

ハァァァ。。

貴史さんは深いため息を一つこぼして言った。

「ーーついてたんだよ!」

「はぁ?ついてたって何が?」

「ーー同じもの、、が」

ハァァァ。

大きなため息をもう一つこぼした。

「ついてたって、何で分かったんですか?」

チラッと彼女を横目に見ながら、貴史さんがいった。

ーー触ってきた。

ハァァァ。
ハァァァ。

ーー俺、もーダメだ。。

「そんな事ないですよ!」

涼太は精一杯笑って励ましながら、少しだけ良心が痛むのを感じた。
実は知っていた。
彼女が元は男であった事をーー。
それは輝樹から聞いていた。だが、言わなかった。それだけ。。

「はーい!二千円回収に来ましたー」

涼太とかけていた先輩が、賭け金の取り立てに来た。

こんな事で二千円かぁ、、。
勿体ない。。
涼太はシブシブそれを払った。

ーー俺のより、立派なモノを持ってた。

呟くように貴史が言う。
女みたいなのに。。

貴史がうつむく。

ーー俺のより立派なもんを持ってるなんて。。

「ーーあぁ、何で言っちゃうかなぁ?」

ゆうこと言う芸者さんに言った。

「私、もてるので、口説かれる事も多くてーーその度に、触って確認してもらってるんです」

ゆうこはそう言った。

ーーもてすぎる。そっか。。

涼太もまたため息をついた。
二千円かぁ。。
痛いなぁ。。

終わり
    
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