上 下
13 / 41

再開

しおりを挟む
「鬼ごっこが終わったら、みなさんに美味しいお食事をご馳走しますので、、お楽しみにしてください」

洋子はそう言って、笛を口に加えた。

ピピー。

洋子が鳴らす笛と共に休憩が終わり、鬼ごっこが始まる。

鬼たちは追い、追われるモノ達は一斉に逃げていく。

ーーこの中の誰が私を選ぶ事になるのか?
結果がわからない分、とても楽しみだった。

鬼4は相変わらず、高坂享を追いかけている。しかし、高坂も負けてはいない。
ずーっと逃げている。

はぁはぁはぁ。
はぁはぁはぁ。

鬼4も流石に疲れてきた。
走るのをやめ歩いているが、少しずつ高坂に近づいてくる。

はぁはぁはぁ。

息が荒れる。でも、見知らぬ男たちで追いかけ合う鬼ごっこはこんなにも楽しいのか。

ーー俺は今無性に楽しい。

ーー彼女と結婚したら、こんなに楽しい時間が、毎日のように過ごせるのかも知れない。

期待を膨らませつつ、鬼4から逃げる。

その頃。
鬼5は前田博司《まえだひろし》の目前に迫っていた。

もうちょっと。
あと一歩。

振り向くと、すぐそこに鬼5と書かれたハッピをつけた男が迫っていた。

「やばい、、やばい、、捕まるー」

急いで逃げようと走り始めているつもりでいるが、なんとも足の重たいこと。
足が全然、前に進まない。

黙って走る。
前田は黙々と走っている。
だが、鬼はもうーー。
しおりを挟む

処理中です...