こんなのどーでしょー?(笑)一応、これにて完結。時間があったので完結させちゃいました😊

みゆたろ

文字の大きさ
21 / 38

人権侵害

しおりを挟む
場所が変わり、警察署内。

「ーー責任者を出せ!!」
今にも殴りかかりそうなほど、すごい剣幕で、そう女は繰り返している。

カツカツカツ。

遠くからヒールのような足音が聞こえてくる。

「ーーお客様、すみません。どのようなご用件ですか?」

やり手感を出しているその婦人警官は言った。しかし、警察署で「お客様」と呼ばれる事には少し抵抗があった。

「だから、責任者を出せ!って言ってるのがわからないのか?」

女は凄まじく感情的な顔で、大声を張り上げる。

「お話を私が聞きますので」

若そうに見えるが40過ぎくらいだろうか?
貫禄のある婦人警官が言った。

ーーもーこの際、誰でもいい。

影はおとなしく婦人警官についていく。

向かった先は、取調室のようだ。

「私は中村と言います。あなたは?」
「花邑楓と言います」
(ほんとは影の方なんだけど、影は存在しないから、楓と言っておこう)
影はそう思った。

先程までの剣幕がなくなり、普通に自己紹介を始めた。

「今日はどのようなご用件ですか?」
中村と言う刑事に聞かれ、ケータイでインターネットのページを開いた。
「これを見てください」
楓と名前を偽っている影は、問題のページを見せた。
「あなた方が不確かな情報で、私を容疑者扱いするから、私はネットで晒され、無言電話や、嫌がらせなどを受け続けています。この責任を一体どのようにとるおつもりですか?」
「それは申し訳なく思います。しかし、匿名の電話があり、事実確認をしたまでですのでーー」
「そちらには責任はないとおっしゃる訳ですね?」
「そうですね」
中村という刑事は、キッパリとそう言った。
「わかりました。それでは、、」


たまたま警察署の前を、楓が歩いていた時だった。

警察官から追い出されるようにして、影が警察署から出てきた。

「ーー影?」

影はその声のする方を見る。

「ーー楓、何してんだよ?こんなところで?」
影はどうやらご機嫌ななめの様で、口調が荒い。

「影こそ何してんのよ?警察署から出てくるなんてーー」

「ちょっと文句を言いに来たんだ。あいつら警察がちゃんと調べてないから、楓は被害被ってるんだろ?」

無言電話に、ピンポンダッシュ。
そんな嫌がらせは、受けなくて良かったはずなんだ。なのに話も聞かないなんてーー。

感極まったのか?影はそう言ったところで、涙を流した。

そんな姿を見ながら、影の肩にそっと手を置くと楓は言った。
蚊の鳴くような小さな声で。

「ーー影、ありがとう」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

処理中です...