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長すぎる序章
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それから少し経った三月下旬、お父さんの運転で僕たち三兄弟は星哉君の自宅へ向かっていました。理由は数ヵ月前に話題に出た伽月君と会う、という話がようやく実現するのです。
「僕何だかドキドキするなぁ……」
超人見知りの僕は朝からずっと落ち着きません。そんな僕の姿にお父さんは苦笑いを浮かべています。
「きっと伽月君も同じだと思うよ、何はともあれきちんとご挨拶しないとね」
「しないとねぇ♪」
お父さんの言葉に便乗して晋が茶化してきます、四歳になってからちょっとずつ生意気になってきてるんだよねぇ……。
「こら晋、茶化さないの」
お父さんにたしなめられた晋は、はぁい。と返事はしたけどちょっと拗ねてる。僕はお母さん似で可愛く育っている晋のぷにぷにしたほっぺたを突っつくと、イヤイヤして更に不機嫌になります。それでも兄としてはそんな姿が面白くてついつい笑っちゃうんです。
「ひどい、おにいちゃんわらったぁ!」
「さっきの仕返しだよ」
むううぅ~。晋の膨れっ面がピークになった時、勇はボソッと呟きました。
「星哉くんと波那ちゃんにそんなかお、見せないよね?」
七歳になった勇は時々クールな発言をするようになりました。学校の通信簿には「落ち着きがありすぎる」と書かれていたそうで、お母さんは苦笑いしていました。
「だったらここを上げておこうね」
勇は小さな指で晋のほっぺたを押して上に持ち上げると口の端が上がって、ちょっと不自然だけど笑顔になりました。勇はすぐに指を離すと、晋は面白がって自分で同じ事を始めました。
――一方の畠中家では――
今日はずっと前に話に出てた星哉お兄ちゃんの上司の息子さんが来る日なんだ。波那ちゃんは僕のリクエストでどら焼を作ってくれた。今は冷蔵庫で軽く冷やしてる最中で、あまり冷やし過ぎると今度は生地が固くなって美味しくなくなるんだって。
「早く来ないかなぁ?どら焼固くなっちゃうよ」
「大丈夫、まだ暑い時期じゃないからそうなる前にちゃんと取り出すよ」
波那ちゃんはどら焼の心配をする僕に優しく答えてくれる。
「お前ちょっと落ち着けよ、只でさえ体でかいんだからそんな態度じゃかえって怖がられるぞ」
すっかり待ち焦がれて家中をうろついている僕を泰地兄ちゃんがたしなめてくる。
「ちょっと、怖がるってどういう事!?同い年の子なんでしょ?」
「体格に差があるんだ、誠は小柄だからな」
「そうなの?どれくらい小さいの?」
「クラスで一番小さい子くらいだと思う」
そうなんだ……。僕最近百五十センチ台に突入したからなぁ……、横の方も順調にお肉付いてるし。相撲してるから横にも付いてくれないと当たり負けしちゃうもん(言い訳)。
そんな事を言ってると、ピンポン♪とチャイムが鳴って、星哉お兄ちゃんが玄関に向かうと、男性四人の家族がこんにちは。と訪ねてきた。
「今日はお招きありがとう」
「こちらこそ。どうぞ上がってください」
星哉お兄ちゃんに招かれて小田原さん一家が中に入ってきた。多分この子だ、僕は子供たちの中で一番大きな男の子を見た。確かにちっちゃい、百三十センチ前半くらいかな?色が黒くてくるっくるの髪の毛にくるっくるの目、イメージは子ザルなんだけどニホンザルじゃなくて外国の子ザル、ってかお父さんそっくり……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
星哉君の案内で自宅に上がらせてもらった僕たちは、緊張気味に中に入っていきます。この時珍しく晋も口数が少なく、落ち着かなさそうにキョロキョロしています。
それよりも伽月君は……多分この子だ。物凄く立派な体格で、身長も高い!同い年でこんなにも違うの?それに快活そうで人気者っぽい、同じクラスに居たらきっと仲良くなれないタイプだなぁ……。
僕がちょっと怖じ気付いて声を掛けるのをためらっていると、伽月君の方から初めまして。と僕に近付いてきました。
「畠中伽月って言います、よろしく」
彼は肉厚で大きな手を差し出してきました。
「初めまして、小田原誠と申します……」
僕は彼の大きな手を握ると、僕の手を見て、ちっちゃっ。と笑いました。でも馬鹿にしてる感じじゃなくて、僕の手を左手でくるんで優しく握り返してくれました。伽月君の手は同い年とは思えないくらいに大きくて温かかったです、僕は見た目だけで判断して偏見を持っちゃった事を反省しました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
相当緊張してるみたいだなぁ、ここは僕から心を開いた方が良さそうだな。ちょっと大人しすぎる印象だけど悪い子じゃなさそうだし。そう思って挨拶をして握手を求めたら小さくて冷たい手で僕の手を握った。落ち着いてくれると良いんだけど……僕は両手で包むように握手すると、ちょっと緊張が解けたみたいで僕に笑いかけてくれたんだ。笑うと結構可愛い、この日から僕たちの細く長い交流が始まった。
「僕何だかドキドキするなぁ……」
超人見知りの僕は朝からずっと落ち着きません。そんな僕の姿にお父さんは苦笑いを浮かべています。
「きっと伽月君も同じだと思うよ、何はともあれきちんとご挨拶しないとね」
「しないとねぇ♪」
お父さんの言葉に便乗して晋が茶化してきます、四歳になってからちょっとずつ生意気になってきてるんだよねぇ……。
「こら晋、茶化さないの」
お父さんにたしなめられた晋は、はぁい。と返事はしたけどちょっと拗ねてる。僕はお母さん似で可愛く育っている晋のぷにぷにしたほっぺたを突っつくと、イヤイヤして更に不機嫌になります。それでも兄としてはそんな姿が面白くてついつい笑っちゃうんです。
「ひどい、おにいちゃんわらったぁ!」
「さっきの仕返しだよ」
むううぅ~。晋の膨れっ面がピークになった時、勇はボソッと呟きました。
「星哉くんと波那ちゃんにそんなかお、見せないよね?」
七歳になった勇は時々クールな発言をするようになりました。学校の通信簿には「落ち着きがありすぎる」と書かれていたそうで、お母さんは苦笑いしていました。
「だったらここを上げておこうね」
勇は小さな指で晋のほっぺたを押して上に持ち上げると口の端が上がって、ちょっと不自然だけど笑顔になりました。勇はすぐに指を離すと、晋は面白がって自分で同じ事を始めました。
――一方の畠中家では――
今日はずっと前に話に出てた星哉お兄ちゃんの上司の息子さんが来る日なんだ。波那ちゃんは僕のリクエストでどら焼を作ってくれた。今は冷蔵庫で軽く冷やしてる最中で、あまり冷やし過ぎると今度は生地が固くなって美味しくなくなるんだって。
「早く来ないかなぁ?どら焼固くなっちゃうよ」
「大丈夫、まだ暑い時期じゃないからそうなる前にちゃんと取り出すよ」
波那ちゃんはどら焼の心配をする僕に優しく答えてくれる。
「お前ちょっと落ち着けよ、只でさえ体でかいんだからそんな態度じゃかえって怖がられるぞ」
すっかり待ち焦がれて家中をうろついている僕を泰地兄ちゃんがたしなめてくる。
「ちょっと、怖がるってどういう事!?同い年の子なんでしょ?」
「体格に差があるんだ、誠は小柄だからな」
「そうなの?どれくらい小さいの?」
「クラスで一番小さい子くらいだと思う」
そうなんだ……。僕最近百五十センチ台に突入したからなぁ……、横の方も順調にお肉付いてるし。相撲してるから横にも付いてくれないと当たり負けしちゃうもん(言い訳)。
そんな事を言ってると、ピンポン♪とチャイムが鳴って、星哉お兄ちゃんが玄関に向かうと、男性四人の家族がこんにちは。と訪ねてきた。
「今日はお招きありがとう」
「こちらこそ。どうぞ上がってください」
星哉お兄ちゃんに招かれて小田原さん一家が中に入ってきた。多分この子だ、僕は子供たちの中で一番大きな男の子を見た。確かにちっちゃい、百三十センチ前半くらいかな?色が黒くてくるっくるの髪の毛にくるっくるの目、イメージは子ザルなんだけどニホンザルじゃなくて外国の子ザル、ってかお父さんそっくり……。
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星哉君の案内で自宅に上がらせてもらった僕たちは、緊張気味に中に入っていきます。この時珍しく晋も口数が少なく、落ち着かなさそうにキョロキョロしています。
それよりも伽月君は……多分この子だ。物凄く立派な体格で、身長も高い!同い年でこんなにも違うの?それに快活そうで人気者っぽい、同じクラスに居たらきっと仲良くなれないタイプだなぁ……。
僕がちょっと怖じ気付いて声を掛けるのをためらっていると、伽月君の方から初めまして。と僕に近付いてきました。
「畠中伽月って言います、よろしく」
彼は肉厚で大きな手を差し出してきました。
「初めまして、小田原誠と申します……」
僕は彼の大きな手を握ると、僕の手を見て、ちっちゃっ。と笑いました。でも馬鹿にしてる感じじゃなくて、僕の手を左手でくるんで優しく握り返してくれました。伽月君の手は同い年とは思えないくらいに大きくて温かかったです、僕は見た目だけで判断して偏見を持っちゃった事を反省しました。
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相当緊張してるみたいだなぁ、ここは僕から心を開いた方が良さそうだな。ちょっと大人しすぎる印象だけど悪い子じゃなさそうだし。そう思って挨拶をして握手を求めたら小さくて冷たい手で僕の手を握った。落ち着いてくれると良いんだけど……僕は両手で包むように握手すると、ちょっと緊張が解けたみたいで僕に笑いかけてくれたんだ。笑うと結構可愛い、この日から僕たちの細く長い交流が始まった。
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