118 / 145
やっとこさ本編
違うってだけの事……
しおりを挟む
「遵斗、それって……」
「いや、見方にもよるけど俺は恐喝されてたって認識は無かったな。転校を機にケータイは解約するし、打ち上げ以来連絡取ってないから。それにそろそろあの連中終わりだし」
そろそろ逮捕か?まぁ自業自得だろ。
「どう終わりなんだ?」
「今朝のニュース見なかったのか?当て逃げ事故起こしちまったんだと。通りすがりの人が救急車呼んでる間に逃げちまったらしくて、車種とナンバーも覚えてたとかで捕まるのも時間の問題だろうって。怪我してたって話だから大人しく病院に運ばれてた方が可愛げあったのに」
可愛げって……まぁ逃げたら罪は加算されるからな、例え過失だったとしても。
「あいつらの逮捕は免れないだろうし、薬物の事もバレるだろうな。その一端に俺も加勢してたけど、今は治療も受けてて現物も持ってない。何か我ながら上手いこと逃げたもんだなって、これって多分卑劣と言えるのかもな」
卑劣……どっか別のグループにこっそり溶け込んでドラッグを使い続けてるのならそう言えると思う。確かに遵斗は事態が表面化する前に上手くフェイドアウトしたと思うけど、逃げた訳ではなく決別を図った訳だからその表現はちょっと違う気がする。
「卑劣……は違うと思うな」
「……そうかな?」
「一緒にお縄になる事が実直だとは思わねぇもん」
「……」
「遵斗は自分で気付いて治療する選択をした、ΧΧΧはそこから抜け出さずに事故を引き起こし、更にバレるのを恐れて逃亡中。選択した物が違ってたから進む道が違ってきただけの事だと思うけど」
「そんな単純で良いのかよ……?」
「良いんだよ。俺らはただの高校生、青二才のクソガキだ」
考えたって分かりゃしねぇんだよ、それに伴った知識も経験も大人に比べりゃ明らかに足んねぇんだからさ。遵斗は頭が良いし変に感受性も鋭かったりするから、相手の気持ちにまで寄り添って問題を難しくしてる様な気がする。
「……フフッ、お前やっぱ面白ぇや」
「は?面白い事なんて一言も言ってねぇぞ」
オイ、俺何で笑われてんだ?
「脳ミソの思考回路がだよ、単純なのか入り組んでんのかよく分かんねぇ。そこが俺には面白く感じるんだ」
……俺何一つ難しい事言ってねぇんだけどな。それでも遵斗は俺の顔を見てニタニタしてる。
「俺伽月の事最初は『結構な不良なんじゃねぇの?』って思ってたんだ、細いけどガタイ良いしピアス付けて見た目派手だしさ」
あ~ピアスは父さんの形見なんだよな、捨てるの忍びなくて洗浄して高校入学を機に穴開けたんだ、左耳に一つ。校則?そこまで煩くない、先生方も気付いてるけど注意はされない。一年生で付けてるのは俺とあと数人くらいだけど、上級生だとチラホラ見掛けるしそれで絡まれた事は一度も無い。
「そうかと思えば授業態度は至って真面目、クラブ活動時は図書室に入り浸って人体図鑑読み漁る、そのギャップは何なんだ?って戸惑いもあったんだ」
「学校は勉強する所だろ?」
「まぁそうなんだけど……それ真顔で言ってる奴初めて見たよ」
う~ん……それに関しては中学の同級生にも言われた事がある。
『お前何でそんなにクソ真面目なんだ?』
クソ真面目……か。そんなつもり無かったけど物心付いた頃から片親だったし、長距離トラックの運ちゃんだった父さんは週に二度くらいしか家に帰ってこなかった。そのせいか何なのかは知らないが妙な監視に近い視線を常に感じてて、ちょっとした事でも他の子より怒られてた記憶があるから迷惑掛けない程度に真面目にしとこう的な防衛本能が働いてた様に思う、分かんねぇけど。
「でも俺はお前の事嫌いじゃねぇ」
「へっ?どうしたんだ急に」
「いや……言ってみたくなっただけ。俺は親が立派過ぎて周囲の視線が重荷だったから、状況は違えど好奇の目に晒される気疲れってのは理解出来る」
「そうか……ありがとな」
「礼を言うのは俺の方、伽月と話せて良かったよ」
んじゃな。遵斗はトレーを持って立ち上がる。
「ちょっと待て遵斗!」
俺は鞄からペンとノートを出して自宅の住所とケータイ番号を書く。多分メールは無理だろう、転校先のルール次第だと思うけどここでフェイドアウトするのは絶対に嫌だ。俺はノートをピッと破って遵斗に渡す。
「家の住所とケータイ番号、気が向いたら連絡くれよ」
戸惑ってはいたけど遵斗はそれを受け取ってくれた。
「審査があるらしいから何とも言えないけど……通ったら連絡する、多分葉書になると思う」
「何だって良いよ。んじゃ、終業式には学校来いよ」
分かった。遵斗は晴れやかな笑顔を見せて店を出て行った。俺も氷で薄くなったジュースを飲み干し、空梅雨の晴天の中自転車をこいで家路に向かった。
「いや、見方にもよるけど俺は恐喝されてたって認識は無かったな。転校を機にケータイは解約するし、打ち上げ以来連絡取ってないから。それにそろそろあの連中終わりだし」
そろそろ逮捕か?まぁ自業自得だろ。
「どう終わりなんだ?」
「今朝のニュース見なかったのか?当て逃げ事故起こしちまったんだと。通りすがりの人が救急車呼んでる間に逃げちまったらしくて、車種とナンバーも覚えてたとかで捕まるのも時間の問題だろうって。怪我してたって話だから大人しく病院に運ばれてた方が可愛げあったのに」
可愛げって……まぁ逃げたら罪は加算されるからな、例え過失だったとしても。
「あいつらの逮捕は免れないだろうし、薬物の事もバレるだろうな。その一端に俺も加勢してたけど、今は治療も受けてて現物も持ってない。何か我ながら上手いこと逃げたもんだなって、これって多分卑劣と言えるのかもな」
卑劣……どっか別のグループにこっそり溶け込んでドラッグを使い続けてるのならそう言えると思う。確かに遵斗は事態が表面化する前に上手くフェイドアウトしたと思うけど、逃げた訳ではなく決別を図った訳だからその表現はちょっと違う気がする。
「卑劣……は違うと思うな」
「……そうかな?」
「一緒にお縄になる事が実直だとは思わねぇもん」
「……」
「遵斗は自分で気付いて治療する選択をした、ΧΧΧはそこから抜け出さずに事故を引き起こし、更にバレるのを恐れて逃亡中。選択した物が違ってたから進む道が違ってきただけの事だと思うけど」
「そんな単純で良いのかよ……?」
「良いんだよ。俺らはただの高校生、青二才のクソガキだ」
考えたって分かりゃしねぇんだよ、それに伴った知識も経験も大人に比べりゃ明らかに足んねぇんだからさ。遵斗は頭が良いし変に感受性も鋭かったりするから、相手の気持ちにまで寄り添って問題を難しくしてる様な気がする。
「……フフッ、お前やっぱ面白ぇや」
「は?面白い事なんて一言も言ってねぇぞ」
オイ、俺何で笑われてんだ?
「脳ミソの思考回路がだよ、単純なのか入り組んでんのかよく分かんねぇ。そこが俺には面白く感じるんだ」
……俺何一つ難しい事言ってねぇんだけどな。それでも遵斗は俺の顔を見てニタニタしてる。
「俺伽月の事最初は『結構な不良なんじゃねぇの?』って思ってたんだ、細いけどガタイ良いしピアス付けて見た目派手だしさ」
あ~ピアスは父さんの形見なんだよな、捨てるの忍びなくて洗浄して高校入学を機に穴開けたんだ、左耳に一つ。校則?そこまで煩くない、先生方も気付いてるけど注意はされない。一年生で付けてるのは俺とあと数人くらいだけど、上級生だとチラホラ見掛けるしそれで絡まれた事は一度も無い。
「そうかと思えば授業態度は至って真面目、クラブ活動時は図書室に入り浸って人体図鑑読み漁る、そのギャップは何なんだ?って戸惑いもあったんだ」
「学校は勉強する所だろ?」
「まぁそうなんだけど……それ真顔で言ってる奴初めて見たよ」
う~ん……それに関しては中学の同級生にも言われた事がある。
『お前何でそんなにクソ真面目なんだ?』
クソ真面目……か。そんなつもり無かったけど物心付いた頃から片親だったし、長距離トラックの運ちゃんだった父さんは週に二度くらいしか家に帰ってこなかった。そのせいか何なのかは知らないが妙な監視に近い視線を常に感じてて、ちょっとした事でも他の子より怒られてた記憶があるから迷惑掛けない程度に真面目にしとこう的な防衛本能が働いてた様に思う、分かんねぇけど。
「でも俺はお前の事嫌いじゃねぇ」
「へっ?どうしたんだ急に」
「いや……言ってみたくなっただけ。俺は親が立派過ぎて周囲の視線が重荷だったから、状況は違えど好奇の目に晒される気疲れってのは理解出来る」
「そうか……ありがとな」
「礼を言うのは俺の方、伽月と話せて良かったよ」
んじゃな。遵斗はトレーを持って立ち上がる。
「ちょっと待て遵斗!」
俺は鞄からペンとノートを出して自宅の住所とケータイ番号を書く。多分メールは無理だろう、転校先のルール次第だと思うけどここでフェイドアウトするのは絶対に嫌だ。俺はノートをピッと破って遵斗に渡す。
「家の住所とケータイ番号、気が向いたら連絡くれよ」
戸惑ってはいたけど遵斗はそれを受け取ってくれた。
「審査があるらしいから何とも言えないけど……通ったら連絡する、多分葉書になると思う」
「何だって良いよ。んじゃ、終業式には学校来いよ」
分かった。遵斗は晴れやかな笑顔を見せて店を出て行った。俺も氷で薄くなったジュースを飲み干し、空梅雨の晴天の中自転車をこいで家路に向かった。
0
あなたにおすすめの小説
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
学校一のイケメンとひとつ屋根の下
おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった!
学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……?
キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子
立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。
全年齢
イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話
タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。
瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。
笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる