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cinqante et un
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そんなこんなで二泊三日の家族旅行を終え、翌日(月曜祝日)は幼馴染六人にお土産行脚。取り敢えず一番遠い有砂から攻め、げんとく君もさっき渡し終えてお次はてつこん家。
「こんにちは、旅土産持ってきた」
ほれ。私は当初の予定通りF県産の白ワインを差し出す。あぁ、一応受け取ってはくれたが何だか表情が暗い。
「何湿気た顔してんの?」
「ん?そうか?」
元々クールな方だから喜怒哀楽をはっきり見せないにしても、店に出てる時はちゃんと営業スマイルしてるので案外分かり易いと思う。
「野太いファンに襲われんぞ、秋都に知れたら……」
「やめんか、聞いてるだけでぞっとする」
てつこは笑顔を作って身震いしてる、通常運転ちっくにしてるけど明らかにおかしい。
「何かあったの?」
そう問い質してはみたがまぁお茶を濁して終わりでしょうな。
「いや、大した事じゃないさ」
あっそう。私はそれ以上の追求はやめておく。てつこはしつこく聞くと意固地になって答えようとしなくなるので、仲間内では一度聞いてちゃんとした返答の無いものは触れてやらないのが暗黙の了解となっている。
「来週、杏璃の事宜しくな」
「うん、んじゃまた」
おぅ。私はてつこと別れ、お次はまこっちゃん家へと向かおうとしたところにぐっちーと遭遇。
「?何やってんだ?」
「旅土産渡してんの、はいあんたの」
もう面倒いからぐっちーにも渡しておく。
「ワインか……」
この男ワインがかなり苦手だ。とは言えそれは赤ワインの話、白なら大丈夫だと思ったんだけど。
「ぐっちーだとスプーン一杯が限度だね」
「そこまで弱くねぇわ!けど多分親父が飲むな」
「良いよ飲んでくれるんなら誰でもさ」
ってかお前また誰かに店番押し付けたな。
「次どこ行くんだ?」
まこっちゃん家、そう答えると何故かぐっちーも付いてくる。だからお前は仕事しろって。
「あんた仕事は?」
「今日は姉貴が店番、俺は休みみたいなもん」
「それほぼ毎日じゃない……」
そんな会話をしながらあっという間に『後藤テーラー』に到着。そしてそこにも付いてくるぐっちー、何か用でもあんの?
「こんにちは」
いらっしゃい、彼は細身で色白の物腰柔らかい雰囲気の男なのでそれなりにモテる。只今婚約中なので売約済みなのだが、多分この五人の中では一番の優良物件だったと言えるだろう。私?いや無いな、だって服飾絡みの事以外は秋都レベルのお馬鹿なんだもん。いえね、性格は良いんだよ、ただ自県の県庁所在地も分かってないってどうよ?なだけあって特に地理のレベルは壊滅的、隣県が何県でいくつあるのかさえも分かんないんだから。
「はい旅土産」
私は特に何の説明もせずワインを手渡す。の割に一応ラベルはちゃんと読んでる。
「ありがとう……F県かぁ、何処だっけ?」
お隣だ馬鹿もんが。
「結構な遠出してきたんだね」
「いや車で二時間もあれば」
「えっ!?近いじゃん!」
だからお隣なんだって。嫁さんの出身地だぞ、そんなんで良いのかお前?
「まこっちゃん、F県は嫁さんの出身地なんだからいい加減覚えろって」
「そうなんだけど僕には難しいよ」
いえね、得手不得手は仕方無い。にしたって自分とこの県と嫁さんの出身県(しかもお隣)くらいは把握しとこうや。しかしコイツは見た目でかなり得をしてる、服飾絡みの事……つまりファッションセンス一つで賢く魅せる術を知ってる分アホ丸出しではないのが質悪い。
「あっそうそう、ぐっちーに渡す物があったんだ」
まこっちゃんはぐっちーにノートサイズの白い封書を手渡した。ぐっちーは中身を簡単に目測するとサンキュ、と言ってそれを小脇に抱えた。
「んじゃ俺は帰るわ、ついでだからこうたの分渡しとくぞ」
「うん、頼むわ」
私はこうたの分のワインをぐっちーに渡す。ここからだと自宅から逆方向になるから手間が省けた、まこっちゃんにも渡し終えてるし帰るかと思って店をあとにしようとすると……。
「なつ、ちょっと時間取れない?」
……私はこの後、まこっちゃんの口からとんでもない事を聞かされたのだった。
それからビミョーにモヤモヤした気持ちを残したまま週が明け、いつもの様に職場に入ると水無子さん、東さん、弥生ちゃん、睦美ちゃんの四人が給湯室でギュウギュウに詰まって何やらこそこそと話していた。
「おはようございます、何やってんです?」
「あ~夏絵さぁん、こっちこっち」
睦美ちゃんに呼ばれてギュウギュウの中に混じった私に何やら冊子を見せてきた。
「来月これ行ってみませんかぁ?クリスマスまでに彼氏どころか未来の旦那をゲットですっ!」
ん?その冊子をよく読んでみると……何何、婚活パーティーの案内状ですか。あ~弥生ちゃん以外は行きそうだし面白そうだから行ってみようかな?
「うん、私は良いよ全然」
「じゃ弥生以外四人、決定だね」
じゃ早速申し込もう。水無子さんはシャッとケータイを取り出し、そのサイトに入って申し込みを始めている。この人仕事も含め何事も早業だわ。
「おはようございます……って何やってんです?女五人固まって」
と女の聖域(?)に入り込んできた仲谷君、今取り込み中なんだ、就業前だから大目に見てくれ。
「女の裏側は見ない方がいい」
「……ですね、何か怖そうですもん。婚活に必死な奴は男女問わず犬も食わず、ですね」
と捨て台詞ちっくに言ってそそくさと逃げやがる後輩。それ夫婦喧嘩、だよな?
「……仲谷後デ殺ス」
とドスを利かせまくった水無子さんの声、はい仲谷君ご愁傷様~。
「こんにちは、旅土産持ってきた」
ほれ。私は当初の予定通りF県産の白ワインを差し出す。あぁ、一応受け取ってはくれたが何だか表情が暗い。
「何湿気た顔してんの?」
「ん?そうか?」
元々クールな方だから喜怒哀楽をはっきり見せないにしても、店に出てる時はちゃんと営業スマイルしてるので案外分かり易いと思う。
「野太いファンに襲われんぞ、秋都に知れたら……」
「やめんか、聞いてるだけでぞっとする」
てつこは笑顔を作って身震いしてる、通常運転ちっくにしてるけど明らかにおかしい。
「何かあったの?」
そう問い質してはみたがまぁお茶を濁して終わりでしょうな。
「いや、大した事じゃないさ」
あっそう。私はそれ以上の追求はやめておく。てつこはしつこく聞くと意固地になって答えようとしなくなるので、仲間内では一度聞いてちゃんとした返答の無いものは触れてやらないのが暗黙の了解となっている。
「来週、杏璃の事宜しくな」
「うん、んじゃまた」
おぅ。私はてつこと別れ、お次はまこっちゃん家へと向かおうとしたところにぐっちーと遭遇。
「?何やってんだ?」
「旅土産渡してんの、はいあんたの」
もう面倒いからぐっちーにも渡しておく。
「ワインか……」
この男ワインがかなり苦手だ。とは言えそれは赤ワインの話、白なら大丈夫だと思ったんだけど。
「ぐっちーだとスプーン一杯が限度だね」
「そこまで弱くねぇわ!けど多分親父が飲むな」
「良いよ飲んでくれるんなら誰でもさ」
ってかお前また誰かに店番押し付けたな。
「次どこ行くんだ?」
まこっちゃん家、そう答えると何故かぐっちーも付いてくる。だからお前は仕事しろって。
「あんた仕事は?」
「今日は姉貴が店番、俺は休みみたいなもん」
「それほぼ毎日じゃない……」
そんな会話をしながらあっという間に『後藤テーラー』に到着。そしてそこにも付いてくるぐっちー、何か用でもあんの?
「こんにちは」
いらっしゃい、彼は細身で色白の物腰柔らかい雰囲気の男なのでそれなりにモテる。只今婚約中なので売約済みなのだが、多分この五人の中では一番の優良物件だったと言えるだろう。私?いや無いな、だって服飾絡みの事以外は秋都レベルのお馬鹿なんだもん。いえね、性格は良いんだよ、ただ自県の県庁所在地も分かってないってどうよ?なだけあって特に地理のレベルは壊滅的、隣県が何県でいくつあるのかさえも分かんないんだから。
「はい旅土産」
私は特に何の説明もせずワインを手渡す。の割に一応ラベルはちゃんと読んでる。
「ありがとう……F県かぁ、何処だっけ?」
お隣だ馬鹿もんが。
「結構な遠出してきたんだね」
「いや車で二時間もあれば」
「えっ!?近いじゃん!」
だからお隣なんだって。嫁さんの出身地だぞ、そんなんで良いのかお前?
「まこっちゃん、F県は嫁さんの出身地なんだからいい加減覚えろって」
「そうなんだけど僕には難しいよ」
いえね、得手不得手は仕方無い。にしたって自分とこの県と嫁さんの出身県(しかもお隣)くらいは把握しとこうや。しかしコイツは見た目でかなり得をしてる、服飾絡みの事……つまりファッションセンス一つで賢く魅せる術を知ってる分アホ丸出しではないのが質悪い。
「あっそうそう、ぐっちーに渡す物があったんだ」
まこっちゃんはぐっちーにノートサイズの白い封書を手渡した。ぐっちーは中身を簡単に目測するとサンキュ、と言ってそれを小脇に抱えた。
「んじゃ俺は帰るわ、ついでだからこうたの分渡しとくぞ」
「うん、頼むわ」
私はこうたの分のワインをぐっちーに渡す。ここからだと自宅から逆方向になるから手間が省けた、まこっちゃんにも渡し終えてるし帰るかと思って店をあとにしようとすると……。
「なつ、ちょっと時間取れない?」
……私はこの後、まこっちゃんの口からとんでもない事を聞かされたのだった。
それからビミョーにモヤモヤした気持ちを残したまま週が明け、いつもの様に職場に入ると水無子さん、東さん、弥生ちゃん、睦美ちゃんの四人が給湯室でギュウギュウに詰まって何やらこそこそと話していた。
「おはようございます、何やってんです?」
「あ~夏絵さぁん、こっちこっち」
睦美ちゃんに呼ばれてギュウギュウの中に混じった私に何やら冊子を見せてきた。
「来月これ行ってみませんかぁ?クリスマスまでに彼氏どころか未来の旦那をゲットですっ!」
ん?その冊子をよく読んでみると……何何、婚活パーティーの案内状ですか。あ~弥生ちゃん以外は行きそうだし面白そうだから行ってみようかな?
「うん、私は良いよ全然」
「じゃ弥生以外四人、決定だね」
じゃ早速申し込もう。水無子さんはシャッとケータイを取り出し、そのサイトに入って申し込みを始めている。この人仕事も含め何事も早業だわ。
「おはようございます……って何やってんです?女五人固まって」
と女の聖域(?)に入り込んできた仲谷君、今取り込み中なんだ、就業前だから大目に見てくれ。
「女の裏側は見ない方がいい」
「……ですね、何か怖そうですもん。婚活に必死な奴は男女問わず犬も食わず、ですね」
と捨て台詞ちっくに言ってそそくさと逃げやがる後輩。それ夫婦喧嘩、だよな?
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