冥土の土産に一杯どうだい?

谷内 朋

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第一話

死に別れた大切な人との再会を願う魂 -3-

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 シェリーとネプテューヌはすっかり打ち解けて色々な話に花を咲かせていた。

 「そう言えばシェリー、アナタ一度結婚してるわよねぇ?」

 「えぇ、でも百五十年前に死別したの。もちろん再婚の話も何度かあったけれど、どうしても夫の事が忘れられなくて。とても思いやりがあって、頼もしい方だったから」

 「まぁ“リヴィール星”は国策がしっかりしてるしぃ、片親でも困らないとは思うけどぉ。人肌恋しくはならなかったのぉ?」

 「そぉねぇ……私は四人の子供たちで充分だったわ。孫、曾孫、玄孫にも恵まれたから幸せだったわよ。それに子供たちも再婚を望んでいた訳ではなかったみたいだし」

 そう話すシェリーの顔は幸せそうだった。

 「私の星では珍しくお見合い結婚だったけれど、彼と夫婦になれて良かったと思ってる。生まれ変わっても彼と家庭を築きたいわ」

 「それがシェリーの願いかしらぁ?」

 「そうね、彼の分も精一杯生きようと思っての二百二十六年だから……我ながらよく頑張ったと思うわ」

 「そう思うわぁ、アナタならわざわざ願わなくてもご主人と会えるんじゃないかしらぁ……って立場上無責任な事は言えないんだけどぉ」

 「そのお言葉だけで光栄よ。ここでアナタにお会い出来て良かったわ、ネプテューヌさん」

 「呼び捨てで構わないわよぉ」

 ネプテューヌは嬉しそうに酒を飲む。シェリーにとってもこんなに楽しい酒は久し振りだ。
 シェリーは元々酒好きだった。彼女の国では飲酒出来る日が法律で制限されていた。慣れてしまえば制限されても問題無かったのだが、厄介な事に二百歳を超えると飲酒そのものが禁じられてしまうのだった。
 彼女は真面目に法律を守り、二十六年間一滴も酒を飲まなかった。法の目を掻い潜って飲酒している者もいたのだが、彼女は真面目に生きていれば来世で亡夫に会える。と信じていたのでここまで我慢出来たのだ。

 「どうも、俺たちも混ぜてもらっていいか?」

 声を掛けられて顔を上げると、多少の違いはあるもののシェリーと同じ猫人類の男性二人組がジョッキを片手に立っている。

 「アンタ見たところ“リヴィール星”の猫人類みたいだな。俺たちは“ラガヌム星”の猫人類なんだ」

 「“ラガヌム星”……確かリング型の地下国家、でしたよね?」

 「あぁ、“ベクルックス系”の惑星さ」

 「お会いするのは初めてですね、お互いに距離があり過ぎて通信のみでの交流でしたもの」

 「さすがに片道百年じゃあな。“ラガヌム星”の生命体は何せ寿命が短いから先ずはそっちの対策だ」

 「“リヴィール星”の方はもう少し宇宙飛行技術を上げていかないと……まだまだ課題が残っていますね」

 「おうよ、なだけにこの出会いは貴重だとは思わねぇか?」

 「そうですね、お二人のお話も伺いたいわ」

 シェリーは二人組に相席を勧めると、ネプテューヌは新しい酒持ってくるぅ。と一旦席を立つ。二人組はシェリーの向かいの椅子に座り、早速自己紹介を始めた。
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