冥土の土産に一杯どうだい?

谷内 朋

文字の大きさ
7 / 39
第一話

死に別れた大切な人との再会を願う魂 -3-

しおりを挟む
 シェリーとネプテューヌはすっかり打ち解けて色々な話に花を咲かせていた。

 「そう言えばシェリー、アナタ一度結婚してるわよねぇ?」

 「えぇ、でも百五十年前に死別したの。もちろん再婚の話も何度かあったけれど、どうしても夫の事が忘れられなくて。とても思いやりがあって、頼もしい方だったから」

 「まぁ“リヴィール星”は国策がしっかりしてるしぃ、片親でも困らないとは思うけどぉ。人肌恋しくはならなかったのぉ?」

 「そぉねぇ……私は四人の子供たちで充分だったわ。孫、曾孫、玄孫にも恵まれたから幸せだったわよ。それに子供たちも再婚を望んでいた訳ではなかったみたいだし」

 そう話すシェリーの顔は幸せそうだった。

 「私の星では珍しくお見合い結婚だったけれど、彼と夫婦になれて良かったと思ってる。生まれ変わっても彼と家庭を築きたいわ」

 「それがシェリーの願いかしらぁ?」

 「そうね、彼の分も精一杯生きようと思っての二百二十六年だから……我ながらよく頑張ったと思うわ」

 「そう思うわぁ、アナタならわざわざ願わなくてもご主人と会えるんじゃないかしらぁ……って立場上無責任な事は言えないんだけどぉ」

 「そのお言葉だけで光栄よ。ここでアナタにお会い出来て良かったわ、ネプテューヌさん」

 「呼び捨てで構わないわよぉ」

 ネプテューヌは嬉しそうに酒を飲む。シェリーにとってもこんなに楽しい酒は久し振りだ。
 シェリーは元々酒好きだった。彼女の国では飲酒出来る日が法律で制限されていた。慣れてしまえば制限されても問題無かったのだが、厄介な事に二百歳を超えると飲酒そのものが禁じられてしまうのだった。
 彼女は真面目に法律を守り、二十六年間一滴も酒を飲まなかった。法の目を掻い潜って飲酒している者もいたのだが、彼女は真面目に生きていれば来世で亡夫に会える。と信じていたのでここまで我慢出来たのだ。

 「どうも、俺たちも混ぜてもらっていいか?」

 声を掛けられて顔を上げると、多少の違いはあるもののシェリーと同じ猫人類の男性二人組がジョッキを片手に立っている。

 「アンタ見たところ“リヴィール星”の猫人類みたいだな。俺たちは“ラガヌム星”の猫人類なんだ」

 「“ラガヌム星”……確かリング型の地下国家、でしたよね?」

 「あぁ、“ベクルックス系”の惑星さ」

 「お会いするのは初めてですね、お互いに距離があり過ぎて通信のみでの交流でしたもの」

 「さすがに片道百年じゃあな。“ラガヌム星”の生命体は何せ寿命が短いから先ずはそっちの対策だ」

 「“リヴィール星”の方はもう少し宇宙飛行技術を上げていかないと……まだまだ課題が残っていますね」

 「おうよ、なだけにこの出会いは貴重だとは思わねぇか?」

 「そうですね、お二人のお話も伺いたいわ」

 シェリーは二人組に相席を勧めると、ネプテューヌは新しい酒持ってくるぅ。と一旦席を立つ。二人組はシェリーの向かいの椅子に座り、早速自己紹介を始めた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

処理中です...