冥土の土産に一杯どうだい?

谷内 朋

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第一話

死に別れた大切な人との再会を願う魂 -6-

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 「おぅおぅ、珍しい光景じぇねぇか」

 「「うげっ!ゾン!」」

 褐色の肌を持つ大男の登場に、従業員のクロノスとネプテューヌの顔色が変わる。

 「ネプテューヌはともかく、クロノスが顧客の乾杯に付き合ってるたぁな……おめえさんがシェリーかい?」

 はい。シェリーはジョッキを置いてゾンに一礼する。

 「挨拶はそれくれぇで。クロノスが居るからてっきり時間が来たのかと思っちまっただけさ」

 「いえ、まだまだ余裕はございます」
 
 クロノスは店長相手に若干緊張をしている様だ。一方のネプテューヌはあっという間に自由人そのもの、誰よりも緊張感無くビールを煽る。

 「ついでだから先に済ましちまおうか。クロノス、契約書は?」

 「準備出来ております」
 
 クロノスはスーツの内ポケットから紙とペンを取り出した。

 「そいじゃ、お二人さんは席を外してくれ」
 
 はいよ。事情を分かっている二人はビールを片手にさっさと席を移動する。シェリーはいよいよ次の行き先が決まるのかと緊張が走る。

 「まぁそう固くなりなさんな、おめえさんの希望はほぼ・・叶うからな」

 「と言う事は……」

 「元伴侶のジンは新人類の女性として転生している。“ナオス系”の惑星“パックボ星”で最近二人目の子の体外受精に成功したそうだ。おめえさんにはそこに入ってもらう事になった」

 ゾンの言葉にシェリーは感慨極まって涙をこぼす。将来の伴侶としての転生ではなくとも、再び愛する人と同じ時代を生きられるだけで十分幸せな事であった。

 「……ありがとうございます……来世でも精一杯生きてまいります……」

 「そうさな、おめえさんは次で人類修行を終える。因みに元伴侶……未来の母と共に有終の美を飾る生き方をするといいさ」

 「良がったねぇ……ぐずっ……いい人生をねぇ」

 感激屋のネプテューヌはシェリーの手を握って貰い泣きしている。すっかり仲良くなった二人は手を取り合って大泣きする始末だった。

 「おぅおぅそれは後にしてくれよ」

 「ネプテューヌ、紙は汚さないでくださいよ」

 「何で私だけぇ……?」

 ネプテューヌは泣き腫らした目でクロノスを睨み付けるが、契約書の重要性は肝に銘じているのでそっとシェリーから手を離した。

 「契約内容をよーく読んでくれ、納得出来てからサインして欲しい」

 シェリーは紙を手に取って一文字一文字丁寧に文字を追う。ゆっくりと時間を掛けてそれを読み終えると、納得したかの様に頷いてからサラサラと達筆のサインを施した。

 「契約内容に同意致しました」

 「これで契約完了だ、まだ時間はたっぷりあるから楽しんでってくれ。クロノスは次の契約書の準備、ネプテューヌはシェリーと酒を楽しんでな」
 
 「畏まりました」

 「りょおかぁい」

 クロノスは店内奥に引っ込み、ネプテューヌは再び酒とつまみを用意する。ヴィスキーオとヴィーンも合流し、四人は時間いっぱいになるまで楽しいひと時を過ごす事にする。
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