冥土の土産に一杯どうだい?

谷内 朋

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第二話

志半ばで夢を断たれた魂 -7-

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 「くぅ〜ん」

 “ポッキー”は物欲しそうな表情でサアヤを見上げ、細い脚に擦り寄ってくる。その体は温かく、通信画面から出てきた画像とは思えない。

 「えっ!?この子生きてんの!?」

 「あらそうみたいね、懐かれてるじゃない」

 ヴィニエーラは事も無さげに言って一旦奥に引っ込む。

 「原種の“ポッキー”は愛玩用っす、だから人懐っこいんす」

 「へっ?食用じゃないの?」

 「昔の話っす。今は新種の方が食用っす、そっちはもっとデカイっす」

 あっそう……サアヤは懐いてくる“ポッキー”の頭を撫でてみる。意外と毛が固くてチクチクするが、逆撫でしなければ案外つるつるしていて段々と癒やされてくる。

 「くぅ〜くぅ〜」

 「お待たせ、これを与えてみて」

 ヴィニエーラは葉っぱらしきものを入れているカゴを持って戻ってきた。サアヤはそれを受け取って中を覗くと、彼女自身も見慣れている薬草がこんもりと盛られている。

 「ヨモギにドクダミにスギナにセンブリ……全部“ニッポン”にある薬草だぁ」

 「えぇ、“アース星”に限らずかなり多くの星で自生しているわ。呼び名は様々だし用途も様々よ」

 サアヤは早速“ポッキー”に薬草を与えてみると、鼻を近付けてすんすんと匂いを嗅いでから嬉しそうにもさもさと食べ始めた。

 「そう言えばさっきのお団子、“草餅”ってあるの?」

 「“草餅”?聞いた事はあるけど食べた事は無いわね……もしかしてソレ入れるの?」

 「うん、ヨモギを入れるんだよ。ほんのり苦味があって青い匂いが鼻に抜ける感じが良いのよね」

 ヴィニエーラはある程度惑星の食には精通しているが、すべての惑星の料理を完璧に網羅している訳でもない様だ。

 「食べるにしてもせいぜい薬としてだと思ってた……じゃあ早速シンエモンさんにあなたの話伝えるわ」

 ヴィニエーラはプルートーが出していた画面にこんにちはと声を掛けると、着物姿のゴリラが画面に登場してきた。

 『こんにちはヴィニエーラ、あっしの串刺団子はいかがでしたか?』

 「今回も美味しく頂いたわ。ところで今“アース星”から来た【顧客】の女の子がウチに来てるんだけど……」

 その様子を見ていたサアヤは目を見開いて固まってしまう。そんな彼女を心配してか、“ポッキー”は体によじ登って顎に鼻面を擦り付けてくる。それで我に返ったは良かったが、サアヤはシンエモンを見て再び絶叫してしまった。

 「ゴ、ゴ、ゴリラが服着て喋ってる〜っ!!!」

 「……それもういい加減慣れてほしいっす」

 プルートーの呆れコメントにサアヤが気付く事はなかった。
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