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第二話
志半ばで夢を断たれた魂 -8-
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『“草餅”?聞いた事がありますね。ただどの植物の葉を入れるのかまでは分かりませんが』
「これですって」
ヴィニエーラは“ヨモギ”の葉をシンエモンに見せている。彼には“ヨモギ”が分からなかったらしく首を傾げる。
『……見た事の無い植物ですね、何と言う名前で?』
「“アース星”では“ヨモギ”と言うそうよ」
へぇ。シンエモンが葉っぱを凝視している隣にポロスも“ヨモギ”を見にやって来た。
『これは“アボング”だね、僕の記憶では入浴剤として利用されてたよ』
「“アボング”?入浴剤?」
サアヤは独り言のつもりだったのがポロスにそうだよと返事をされて思わず慌ててしまう。
「うわぁっ!!!は、話し掛けてないよ!」
『うん知ってる。僕は大丈夫だよ、修行魂じゃないから。シンエモンさんはダメだけど。
ところで君の住んでた惑星ではこれを食べるの?』
ポロスはさも意外と言う風に訊ねてきた。サアヤはサアヤで入浴剤って……と思っていたのだが口には出さない。
「うん、“アース星”では食用だったもん」
『そうなんだ、薬草って食べられるんだね。星によっては犯罪にもなるらしくて食用って発想は無かったなぁ』
「へぇ〜、惑星によって同じ物でも使い方が違うんだね。”アース星”の常識って何だったんだろう」
『それはどこだって同じだよ、同じ惑星内でもそういう事はいっぱいあったじゃない?』
確かにそうだね。サアヤは懐きまくる“ポッキー”をあやしながら頷いた。
「この調子ですと案外大丈夫なんじゃないでしょうか?」
遠巻きにサアヤの動きを監察しているゾンとクロノス。
「いやまだだ、肝心な事が終わっちゃいねぇ」
「確かに。あとはヴィニエーラと“ポッキー”を信じましょう」
「そうさな、閻魔さんも『質は悪くない』っつってたからな」
「なるほど、そこに懸けていらっしゃるのかも知れませんね、普通であれば『闇歩き千年刑』でしょうから」
クロノスは懐中時計を手にしてそろそろです、と言った。
「私は暫く席を外します」
「おぅ、頼んだぞ。」
畏まりました。クロノスはシュールな状態になっている四人席に近付いていった。
「今度はこれを食べてみて」
ヴィニエーラは小皿に入った白い物をサアヤの前に置く。
「何コレ?“枝豆”?」
その食べ物はサアヤの言う“枝豆”が真っ白になった物だった。
「“枝豆”は緑色でしょう、取り敢えず中も見て」
サアヤは言われた通り白い“枝豆”を摘んで中身を皿に出すと、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の豆粒が飛び出してきた。
「うひゃ、もろ虹色じゃん」
「“アース星”ではそうよね、これは“ジャック”って言う名前なんだけど……」
ヴィニエーラは言いにくそうにサアヤの顔色を窺う。サアヤもまた嫌な予感が的中したかの様な微妙な表情を浮かべていた。
「これですって」
ヴィニエーラは“ヨモギ”の葉をシンエモンに見せている。彼には“ヨモギ”が分からなかったらしく首を傾げる。
『……見た事の無い植物ですね、何と言う名前で?』
「“アース星”では“ヨモギ”と言うそうよ」
へぇ。シンエモンが葉っぱを凝視している隣にポロスも“ヨモギ”を見にやって来た。
『これは“アボング”だね、僕の記憶では入浴剤として利用されてたよ』
「“アボング”?入浴剤?」
サアヤは独り言のつもりだったのがポロスにそうだよと返事をされて思わず慌ててしまう。
「うわぁっ!!!は、話し掛けてないよ!」
『うん知ってる。僕は大丈夫だよ、修行魂じゃないから。シンエモンさんはダメだけど。
ところで君の住んでた惑星ではこれを食べるの?』
ポロスはさも意外と言う風に訊ねてきた。サアヤはサアヤで入浴剤って……と思っていたのだが口には出さない。
「うん、“アース星”では食用だったもん」
『そうなんだ、薬草って食べられるんだね。星によっては犯罪にもなるらしくて食用って発想は無かったなぁ』
「へぇ〜、惑星によって同じ物でも使い方が違うんだね。”アース星”の常識って何だったんだろう」
『それはどこだって同じだよ、同じ惑星内でもそういう事はいっぱいあったじゃない?』
確かにそうだね。サアヤは懐きまくる“ポッキー”をあやしながら頷いた。
「この調子ですと案外大丈夫なんじゃないでしょうか?」
遠巻きにサアヤの動きを監察しているゾンとクロノス。
「いやまだだ、肝心な事が終わっちゃいねぇ」
「確かに。あとはヴィニエーラと“ポッキー”を信じましょう」
「そうさな、閻魔さんも『質は悪くない』っつってたからな」
「なるほど、そこに懸けていらっしゃるのかも知れませんね、普通であれば『闇歩き千年刑』でしょうから」
クロノスは懐中時計を手にしてそろそろです、と言った。
「私は暫く席を外します」
「おぅ、頼んだぞ。」
畏まりました。クロノスはシュールな状態になっている四人席に近付いていった。
「今度はこれを食べてみて」
ヴィニエーラは小皿に入った白い物をサアヤの前に置く。
「何コレ?“枝豆”?」
その食べ物はサアヤの言う“枝豆”が真っ白になった物だった。
「“枝豆”は緑色でしょう、取り敢えず中も見て」
サアヤは言われた通り白い“枝豆”を摘んで中身を皿に出すと、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の豆粒が飛び出してきた。
「うひゃ、もろ虹色じゃん」
「“アース星”ではそうよね、これは“ジャック”って言う名前なんだけど……」
ヴィニエーラは言いにくそうにサアヤの顔色を窺う。サアヤもまた嫌な予感が的中したかの様な微妙な表情を浮かべていた。
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