冥土の土産に一杯どうだい?

谷内 朋

文字の大きさ
20 / 39
第二話

志半ばで夢を断たれた魂 -8-

しおりを挟む
 『“草餅”?聞いた事がありますね。ただどの植物の葉を入れるのかまでは分かりませんが』

 「これですって」

 ヴィニエーラは“ヨモギ”の葉をシンエモンに見せている。彼には“ヨモギ”が分からなかったらしく首を傾げる。

 『……見た事の無い植物ですね、何と言う名前で?』

 「“アース星”では“ヨモギ”と言うそうよ」

 へぇ。シンエモンが葉っぱを凝視している隣にポロスも“ヨモギ”を見にやって来た。

 『これは“アボング”だね、僕の記憶では入浴剤として利用されてたよ』

 「“アボング”?入浴剤?」

 サアヤは独り言のつもりだったのがポロスにそうだよと返事をされて思わず慌ててしまう。

 「うわぁっ!!!は、話し掛けてないよ!」

 『うん知ってる。僕は大丈夫だよ、修行魂じゃないから。シンエモンさんはダメだけど。
  ところで君の住んでた惑星ではこれを食べるの?』

 ポロスはさも意外と言う風に訊ねてきた。サアヤはサアヤで入浴剤って……と思っていたのだが口には出さない。

 「うん、“アース星地球”では食用だったもん」

 『そうなんだ、薬草って食べられるんだね。星によっては犯罪にもなるらしくて食用って発想は無かったなぁ』

 「へぇ〜、惑星によって同じ物でも使い方が違うんだね。”アース星地球”の常識って何だったんだろう」

 『それはどこだって同じだよ、同じ惑星内でもそういう事はいっぱいあったじゃない?』

 確かにそうだね。サアヤは懐きまくる“ポッキー”をあやしながら頷いた。



 「この調子ですと案外大丈夫なんじゃないでしょうか?」 

 遠巻きにサアヤの動きを監察しているゾンとクロノス。

 「いやまだだ、肝心な事が終わっちゃいねぇ」

 「確かに。あとはヴィニエーラと“ポッキー”を信じましょう」

 「そうさな、閻魔さんも『質は悪くない』っつってたからな」

 「なるほど、そこに懸けていらっしゃるのかも知れませんね、普通であれば『闇歩き千年刑』でしょうから」

 クロノスは懐中時計を手にしてそろそろです、と言った。

 「私は暫く席を外します」

 「おぅ、頼んだぞ。」

 畏まりました。クロノスはシュールな状態になっている四人席に近付いていった。


 
 「今度はこれを食べてみて」

 ヴィニエーラは小皿に入った白い物をサアヤの前に置く。

 「何コレ?“枝豆”?」

 その食べ物はサアヤの言う“枝豆”が真っ白になった物だった。

 「“枝豆”は緑色でしょう、取り敢えず中も見て」

 サアヤは言われた通り白い“枝豆”を摘んで中身を皿に出すと、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の豆粒が飛び出してきた。

 「うひゃ、もろ虹色じゃん」

 「“アース星”ではそうよね、これは“ジャック”って言う名前なんだけど……」

 ヴィニエーラは言いにくそうにサアヤの顔色を窺う。サアヤもまた嫌な予感が的中したかの様な微妙な表情を浮かべていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

処理中です...