わたしの“おとうさん”

谷内 朋

文字の大きさ
27 / 31

人が動けば埃立つ

しおりを挟む
 「ところで神戸さん、どうして恋人同士でもなかったふゆみさんのヒモ状態だったんです?」

 あっ……長野さんからすれば気になることだよね?

「俺一遍結婚しててさ、離婚に応じてくれない元妻から逃げてたんだよ。なつひんとこだと足付いちまうからふゆみに頼った、大体十五年くらい前だからガキンチョだったはるなとは面識があるんだよ」

「お陰でこっちはいい迷惑だよ、毎日のように家に来られて『夫を出せ夫を出せ』ってマントラみたいに言い続けてさ。さっさと蹴りつけてくれりゃ済むものを調停に持ち込むのに二年近くかけやがって」

「そうは言うけど阿修羅化した女ってめちゃくちゃ恐いんだぞ。話が噛み合わなくて堂々巡りしかできない状況じゃほとぼり冷めるまで距離置くしかねぇだろうが」

 少なくとも当時から仲を疑われる間柄だったんだね、この二人。にしたって普通女友達の所に身を寄せる? ましてウチ子持ちだったのに。

「普通男友達の所行かない?」

 さくらも同じことを考えていたようだ。

「最初はそうしてたけど、ほとんどの奴が既婚でまぁ……」

「ヘタに家庭的だから惚れられてしまうんでしょうね」

「住まわせてもらってる礼のつもりだったんだけどなぁ」

 神戸さんは当時を思い出したみたいで渋い表情を浮かべていた。彼は母と同い年だが芸能の世界の人だから結構な美男子だ。さっき来てた実父なんかよりも遥かに若々しいし……って千葉さんも長野さんも年齢を考えると十分イケてるけど。そう考えてみたら私のルックスでこの三人の娘ってあり得ないよね?

「お母さんデブ専だったのかな?」

「いや。アレはあいつが変わりすぎだ、昔はもっと細くていかにも御曹司様みたいな感じだったんだぞ」

「まぁ整形だけどな、顔はほぼいじってるし太りやすいから脂肪吸引手術なんかもやってたらしいよ」

 叔母はまたしても凄い情報を披露してきた。つまり財力で見た目を磨いてきたクチか。

「まぁ何にせよ三人ともが姉さんの遺志を汲み取ってくれたことには感謝だね、私も随分助けられたよ」

「ふゆみは娘が予想以上に馬鹿だったことにあの世で頭抱えてたと思うけどな」

 神戸さんはキツ~いひと言を私に投げかけてくる。多分その馬鹿ぶりも実父に似たんだと思う。

「結構頑固ですしね」

「人の話聞かないし」

「大事なとこで気が利かない」

「割と欲しがり女だよね」

 千葉さん、長野さん、リョウ、さくらの順で私を査定してくる。私そんなにひどい?

「野良犬しつける方がマシだな」

 叔母のひと言が一番キツかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...