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1章 導入
1話 到着初日
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気温は約25℃。
湿度は70%と蒸し暑く、日本の夏を彷彿とさせる。
尤も、ガイドによるとこれでも涼しい方、らしいけど。
「アレダヨ」
ガイドのタナイさんが満面の笑みで指し示す先、熱帯雨林の先に見えてきたのは高床式の建物。
どうやら目的地に到着したようだ。
「あー!ヤバい疲れたー!」
「美子大丈夫?おぶろうか?」
「ありがとー隼くん!」
友達の美子には、「心配だから」と着いてきてくれた事だけは感謝してる。
でも、彼氏におぶって貰うくらいなら着いて来なくていいのに。とも、思ってしまう。
「重くなぁい?」
「全然!まだ乗ってないかと思った」
こんな僻地に来てまでイチャつくなんて。
いや、もしかしたらイチャつく為にわざわざ彼氏を連れてきたのか・・・?
なんて邪推してしまう自分が嫌になる。
「アシモト、キィツケテ」
「ありがとうございます」
ずんずん歩いて行ってくれるタナイさんに続いて、粘土質の地面を踏みしめながら歩いていく。
美子達は勝手に追いついて来るだろうから。
近づくにつれて、村の全容が見えてくる。
開けた場所に、雑然と立ち並ぶ幾つもの高床式の家。
放し飼いの鶏がチョロつく地面は、歩きやすいように砂が敷かれているらしい。
あぁ、住人も見えて来た。巻き付け式の植物繊維の服との話だったけど、思っていたより肌の露出は低いんだなぁ。それに前開きの服はどこか和服にも類似している。
「梨菜」
煙の匂いがするのは昼食の準備だろうか?
それとも、彼らが作るという陶器?
ついでに見学、させてくれると嬉しいんだけど・・・。
「おい、梨菜!」
肩をいきなりグイッと引かれて、体制を崩しそうになる。
ちょっと乱暴過ぎない?流石にさ。
「痛いんですけど?」
嫌さを全面に出しながら少し睨みつける。
でも彼、広木先輩はそれくらいじゃあ気にも止めてくれないのだ。
「お前そういうスタンドプレイ止めろよ。もっと皆とコミュニケーションとろうぜ」
「勝手に来といてそういうの止めてください、鬱陶しいんで」
肩に置かれた手を振り払い、タナイさんの背を追う。
本来、このフィールドワークには私一人で来るつもりだったのだ。
美子が心配して着いて来てくれたのは分かるけど、その彼氏の隼君が美子を心配して着いて来たのは分かるけど。
でも絶対、広木先輩が着いて来るのは変過ぎるのだ。
目的地だった先住少数民族「キニータ族」の村は、想像以上に快適だった。
日本の気候に近いからというのもあるが、伝統的な生活の中に上手く近代社会のテクノロジーを取り入れていたのだ。
今夜の宿となる建物だって、明かりも付けばそこそこ綺麗な水も使う事が出来たくらい。
この場所が特殊だと言うのもあるけれど、世界的に見ても珍しい暮らしぶりだ。これを体験できただけで成果はあったと言える。
その上、宿で一息ついた後に通された建物では、メインイベントが行われるのだ。
「ねぇ梨菜ちゃん、本当に大丈夫かなぁ?」
村の一番奥の建物の、ど真ん中。布で明かりもほとんど入らなくなっている部屋の中に、私達はいた。
「心配しなくても、取って食われたりはしないらしいよ」
隣の美子は、突然部屋の中を満たした香の煙に戸惑っているようだった。
部屋の向こう側、布で仕切られた場所に人影が動くのが見えるから、あそこで焚いてるんだろう。
こういう儀式を行う際のテンプレートみたいなものだし、匂いからして変な薬ではない。・・・と思う。
「やっぱ変わってくれたりしない?」
今回、キニータ族の「祓いの儀」を行ってもらうのは美子になっている。
彼女が「やりたい!」と言い、彼女の名前で申し込んだのだ。
この国の政府公認の、Webサイトから。
先住民族の儀式をネット経由なんて怪しさ満点過ぎたけど、物は試しと申し込んだら申し込めた。
そして、今、その儀式が始まろうとしている。
「私はしっかり観察したいから無理。それとも中止にしてもらう?」
どこからか、オカリナのような笛の音も聞こえてきて、あちらの準備も整い初めて来たようで。
泣き顔の美子は、それでもしぶとく悩んでいるようだった。
「ダイジョブ、ミンナヤッテル」
タナイさんの言葉は、私には逆に怪しくも聞こえた。
でも美子には効いたらしい。
「じゃあガンバル!」
なんて言って、布の向こうに向き直る。
それを計ったかのように、太鼓の音が聞こえ始めた。
湿度は70%と蒸し暑く、日本の夏を彷彿とさせる。
尤も、ガイドによるとこれでも涼しい方、らしいけど。
「アレダヨ」
ガイドのタナイさんが満面の笑みで指し示す先、熱帯雨林の先に見えてきたのは高床式の建物。
どうやら目的地に到着したようだ。
「あー!ヤバい疲れたー!」
「美子大丈夫?おぶろうか?」
「ありがとー隼くん!」
友達の美子には、「心配だから」と着いてきてくれた事だけは感謝してる。
でも、彼氏におぶって貰うくらいなら着いて来なくていいのに。とも、思ってしまう。
「重くなぁい?」
「全然!まだ乗ってないかと思った」
こんな僻地に来てまでイチャつくなんて。
いや、もしかしたらイチャつく為にわざわざ彼氏を連れてきたのか・・・?
なんて邪推してしまう自分が嫌になる。
「アシモト、キィツケテ」
「ありがとうございます」
ずんずん歩いて行ってくれるタナイさんに続いて、粘土質の地面を踏みしめながら歩いていく。
美子達は勝手に追いついて来るだろうから。
近づくにつれて、村の全容が見えてくる。
開けた場所に、雑然と立ち並ぶ幾つもの高床式の家。
放し飼いの鶏がチョロつく地面は、歩きやすいように砂が敷かれているらしい。
あぁ、住人も見えて来た。巻き付け式の植物繊維の服との話だったけど、思っていたより肌の露出は低いんだなぁ。それに前開きの服はどこか和服にも類似している。
「梨菜」
煙の匂いがするのは昼食の準備だろうか?
それとも、彼らが作るという陶器?
ついでに見学、させてくれると嬉しいんだけど・・・。
「おい、梨菜!」
肩をいきなりグイッと引かれて、体制を崩しそうになる。
ちょっと乱暴過ぎない?流石にさ。
「痛いんですけど?」
嫌さを全面に出しながら少し睨みつける。
でも彼、広木先輩はそれくらいじゃあ気にも止めてくれないのだ。
「お前そういうスタンドプレイ止めろよ。もっと皆とコミュニケーションとろうぜ」
「勝手に来といてそういうの止めてください、鬱陶しいんで」
肩に置かれた手を振り払い、タナイさんの背を追う。
本来、このフィールドワークには私一人で来るつもりだったのだ。
美子が心配して着いて来てくれたのは分かるけど、その彼氏の隼君が美子を心配して着いて来たのは分かるけど。
でも絶対、広木先輩が着いて来るのは変過ぎるのだ。
目的地だった先住少数民族「キニータ族」の村は、想像以上に快適だった。
日本の気候に近いからというのもあるが、伝統的な生活の中に上手く近代社会のテクノロジーを取り入れていたのだ。
今夜の宿となる建物だって、明かりも付けばそこそこ綺麗な水も使う事が出来たくらい。
この場所が特殊だと言うのもあるけれど、世界的に見ても珍しい暮らしぶりだ。これを体験できただけで成果はあったと言える。
その上、宿で一息ついた後に通された建物では、メインイベントが行われるのだ。
「ねぇ梨菜ちゃん、本当に大丈夫かなぁ?」
村の一番奥の建物の、ど真ん中。布で明かりもほとんど入らなくなっている部屋の中に、私達はいた。
「心配しなくても、取って食われたりはしないらしいよ」
隣の美子は、突然部屋の中を満たした香の煙に戸惑っているようだった。
部屋の向こう側、布で仕切られた場所に人影が動くのが見えるから、あそこで焚いてるんだろう。
こういう儀式を行う際のテンプレートみたいなものだし、匂いからして変な薬ではない。・・・と思う。
「やっぱ変わってくれたりしない?」
今回、キニータ族の「祓いの儀」を行ってもらうのは美子になっている。
彼女が「やりたい!」と言い、彼女の名前で申し込んだのだ。
この国の政府公認の、Webサイトから。
先住民族の儀式をネット経由なんて怪しさ満点過ぎたけど、物は試しと申し込んだら申し込めた。
そして、今、その儀式が始まろうとしている。
「私はしっかり観察したいから無理。それとも中止にしてもらう?」
どこからか、オカリナのような笛の音も聞こえてきて、あちらの準備も整い初めて来たようで。
泣き顔の美子は、それでもしぶとく悩んでいるようだった。
「ダイジョブ、ミンナヤッテル」
タナイさんの言葉は、私には逆に怪しくも聞こえた。
でも美子には効いたらしい。
「じゃあガンバル!」
なんて言って、布の向こうに向き直る。
それを計ったかのように、太鼓の音が聞こえ始めた。
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