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2章 不思議な男の子
11話 翻訳アプリ
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ちょっと心配していると、廊下の突き当りの部屋に着く。
布をくぐると、そこは小さめの執務室のようだった。
正面の机の上にはパソコンがあり、机の向こうには大きめの本棚がある。
本棚に並んでいる本は、背表紙がしっかりしていて高価そうに見えた。
部屋に入ってアズー君が手に取ったのは、パソコンの隣にあったスマホ。
しかもどう見ても新しい感じの機種で、指紋認証のやつだった。
繋いだ手を離し、彼は慣れたようにスマホを操作し始める。
この部屋、もしかして彼のお父さんとかおじいちゃんとかの、身内の部屋だろうか?
それだったら彼が役場のおじさんたちの制止を無視できるのも分からなくはない。
キニータ族ってそこそこ厳しい階級社会らしく、彼がもしお偉いさんの家の子だったら、一般家庭のおじさん達から怒られるなんてあり得ない事のはずだから。
「Rina.」
部屋を見渡していた私に、アズー君の優しい声がかかる。
そちらを見ると、彼のスマホの画面をこちらに向けていた。
QRコードだった。だから「もしかして延泊分の支払いかな?」なんて思いつつ自分のスマホで読み取った。
でも開いたのは決済画面じゃなくて、よく分からないサイト。
「Tani Sia-ma.」
私にはよく分からなかったけど、アズー君は分かるのか私のスマホを取られてしまった。
私のスマホを握る彼の手元を覗き込んでみると、よく分からないサイトのよく分からないボタンを押して、そして何かをインストール・・・して、る??
「え、なんで??」
「Warina-de.」
スマホを奪い返そうとした手を、握られてしまった。
「大丈夫」というようにニコリと笑うアズー君。
自分のスマホによく分からないソフトをインストールされるなんて、ほぼ犯罪の手法でしかない。
なのに、彼の笑顔を見ていると大丈夫な気がしてきてしまう、不思議。
私の手を握る彼の手は優しくて暖かくて、こんなに近い距離にいるのに全く嫌じゃないのも、不思議だった。
インストールが完了した音が私のスマホから聞こえて来て、アズー君の手が離れてしまう。
ちょっとだけ残念。・・・じゃなかった!え、何インストールしたの??
インストールしたてのアプリを、アズー君は開いて、やっぱりよく分からない画面を操作していた。
シンプルな作りの、操作性重視といった画面。
よく分からないけど一般的な歯車のマークを押したから、設定を変更していそうだというのだけは分かった。
変更が終わると、違う画面が表示されて、そしてその画面がズイッと私の目の前に差し出された。
「Kor-de Wa-ri Yuma Azuu-a Yan-ra?」
アズー君がそう言うと、ほとんど何も表示されていなかった画面に文字が表示された。
しかも日本語で。
「え、これって・・・」
画面上の「僕の言葉が分かる?」に我が目を疑った。
もしかしてもしかすると、にわかには信じられない事だけど、これって翻訳アプリだったりする??
アズー君の笑みはどこか得意げで、可愛い。
それに、もし万が一彼らとアプリで会話ができるならとてつもなく革新的な事だ。
「これ、アズー君が作ったの?」
ゆっくり目に話すと、画面上に今度は見慣れない文字が並んだ。
それを確認したアズー君は満足そうだった。
「Nai. Wa denai. Wali Rakia-o shi-ta.」
「違う、私以外。やってくれた」の文字に、会話が出来ている事を確信する。
嬉しい。嬉し過ぎる。
彼と、こうやって会話ができるなんて・・・!
「Sor-a Yuma-reba Warina-de ra. Sia Te Kiran-a shi-luan.」
感動に打ち震える私の手を、アズー君はまた引いて歩き出した。
スマホの画面には「これで大丈夫。じゃあ行こう」と表示されていた。
再度、役場の部屋を通って向かったのは、外にある作業場みたいな所。
そこでは、女の人が5人、縫い物をしていた。
「Azuu Sia Wali.」
「Azuu Sia Wali, Na Azuu-o shi-ta-ra?」
「Lun Sia-o Sia Rakia-de Warina. Tani Azuu-ni Sia Kiran-a shi-luan.」
女の人の言葉は表示されなかったけど、アズー君が「この子をお願い。後で迎えに来る」と言っているのは分かった。
どうやら私はここで待機しないといけないらしい。
「Koco-ni Tani Wali-a shi-ma.」
ニッコリ笑うアズー君はやっぱり「ここにいて」と言っているようだ。
「分かった」
頷くと、頷き返してくれて、役場の方へ引き返して行く。
彼にも何かしらの仕事があるのだろう。村の仕事や、今日のツアー客の為の何かしらとかが。
布をくぐると、そこは小さめの執務室のようだった。
正面の机の上にはパソコンがあり、机の向こうには大きめの本棚がある。
本棚に並んでいる本は、背表紙がしっかりしていて高価そうに見えた。
部屋に入ってアズー君が手に取ったのは、パソコンの隣にあったスマホ。
しかもどう見ても新しい感じの機種で、指紋認証のやつだった。
繋いだ手を離し、彼は慣れたようにスマホを操作し始める。
この部屋、もしかして彼のお父さんとかおじいちゃんとかの、身内の部屋だろうか?
それだったら彼が役場のおじさんたちの制止を無視できるのも分からなくはない。
キニータ族ってそこそこ厳しい階級社会らしく、彼がもしお偉いさんの家の子だったら、一般家庭のおじさん達から怒られるなんてあり得ない事のはずだから。
「Rina.」
部屋を見渡していた私に、アズー君の優しい声がかかる。
そちらを見ると、彼のスマホの画面をこちらに向けていた。
QRコードだった。だから「もしかして延泊分の支払いかな?」なんて思いつつ自分のスマホで読み取った。
でも開いたのは決済画面じゃなくて、よく分からないサイト。
「Tani Sia-ma.」
私にはよく分からなかったけど、アズー君は分かるのか私のスマホを取られてしまった。
私のスマホを握る彼の手元を覗き込んでみると、よく分からないサイトのよく分からないボタンを押して、そして何かをインストール・・・して、る??
「え、なんで??」
「Warina-de.」
スマホを奪い返そうとした手を、握られてしまった。
「大丈夫」というようにニコリと笑うアズー君。
自分のスマホによく分からないソフトをインストールされるなんて、ほぼ犯罪の手法でしかない。
なのに、彼の笑顔を見ていると大丈夫な気がしてきてしまう、不思議。
私の手を握る彼の手は優しくて暖かくて、こんなに近い距離にいるのに全く嫌じゃないのも、不思議だった。
インストールが完了した音が私のスマホから聞こえて来て、アズー君の手が離れてしまう。
ちょっとだけ残念。・・・じゃなかった!え、何インストールしたの??
インストールしたてのアプリを、アズー君は開いて、やっぱりよく分からない画面を操作していた。
シンプルな作りの、操作性重視といった画面。
よく分からないけど一般的な歯車のマークを押したから、設定を変更していそうだというのだけは分かった。
変更が終わると、違う画面が表示されて、そしてその画面がズイッと私の目の前に差し出された。
「Kor-de Wa-ri Yuma Azuu-a Yan-ra?」
アズー君がそう言うと、ほとんど何も表示されていなかった画面に文字が表示された。
しかも日本語で。
「え、これって・・・」
画面上の「僕の言葉が分かる?」に我が目を疑った。
もしかしてもしかすると、にわかには信じられない事だけど、これって翻訳アプリだったりする??
アズー君の笑みはどこか得意げで、可愛い。
それに、もし万が一彼らとアプリで会話ができるならとてつもなく革新的な事だ。
「これ、アズー君が作ったの?」
ゆっくり目に話すと、画面上に今度は見慣れない文字が並んだ。
それを確認したアズー君は満足そうだった。
「Nai. Wa denai. Wali Rakia-o shi-ta.」
「違う、私以外。やってくれた」の文字に、会話が出来ている事を確信する。
嬉しい。嬉し過ぎる。
彼と、こうやって会話ができるなんて・・・!
「Sor-a Yuma-reba Warina-de ra. Sia Te Kiran-a shi-luan.」
感動に打ち震える私の手を、アズー君はまた引いて歩き出した。
スマホの画面には「これで大丈夫。じゃあ行こう」と表示されていた。
再度、役場の部屋を通って向かったのは、外にある作業場みたいな所。
そこでは、女の人が5人、縫い物をしていた。
「Azuu Sia Wali.」
「Azuu Sia Wali, Na Azuu-o shi-ta-ra?」
「Lun Sia-o Sia Rakia-de Warina. Tani Azuu-ni Sia Kiran-a shi-luan.」
女の人の言葉は表示されなかったけど、アズー君が「この子をお願い。後で迎えに来る」と言っているのは分かった。
どうやら私はここで待機しないといけないらしい。
「Koco-ni Tani Wali-a shi-ma.」
ニッコリ笑うアズー君はやっぱり「ここにいて」と言っているようだ。
「分かった」
頷くと、頷き返してくれて、役場の方へ引き返して行く。
彼にも何かしらの仕事があるのだろう。村の仕事や、今日のツアー客の為の何かしらとかが。
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