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第1章 変わっていく僕ら
プロローグ
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目をつぶれば、いつだってはっきりと思い出せる。
君は忘れてしまったのだろうか?
僕たちのあの約束を。
------
休憩を終え木陰から出ると、照りつける日差しの強さに思わず目を細めた。
日が長く、高くなり、そろそろ暑さも最盛期を迎える。
あと3日。1年のうち日中が最も長くなるその日に、君に会える。
「緊張、してきたな……」
剣の稽古で上がった体温はもう平温に戻ったはずなのに、3日後のことを考えると一瞬で血が沸騰したかのように顔が熱くなる。
それに加え動悸とめまいと息切れと、おまけに思考能力の低下までついてきて、もうこれはそういう病気なのかもしれないと思う。
現に、巷では最近この症状を病になぞらえた歌が大流行中だ。
あと3日、いやあと67時間。
1年ぶりに会えるんだ、君に。
僕の、大好きな人に。
剣を握る手のひらにグッと力を入れて、もう一度構えの体勢を取った。
あと少しだけ、自主練しておこう。
きっと君はまた強くなってしまっているから。
侍女のハルナが「ご帰国されてますよ」なんて言ってきたのは、67時間どころか20時間後で。
つまり予定より丸2日も早い、朝だった。
「え、いつ?今朝?」
「はい、つい先ほどご帰港されたようです」
嬉しさから、勢いよく立ち上がり過ぎて椅子が倒れてしまった。
慌てて拾い上げ、壊れていない事を確認してから元の位置に戻す。
木材は貴重だから壊しでもしたら大目玉だ。
「ガンダーには行くの遅れるって伝えといて……あ、やっぱり今日は行けないかもって伝えといて」
幸いにも今日は重要な予定は入ってなかったはずだし、急ぎの要件もなかったはずだし。
と言うか、これ以上重要で急ぎの事なんてあるはずがないし。
ワクワクを胸に机の上の書類を片付けて引き出しにしまう。鍵も念のためかけておこうか。
「伝えるのは良いですが、その恰好で向かわれるんですか?」
「……あ!」
鍵をポケットにしまおうとしながら、自分がほとんど平服でいたことを思い出した。
普段は重宝するけれど、一応王族の身で他国の王族に会いに行くのにはこの格好はよろしくない。と言うか、不敬だ。
「着替えは……」
「もちろんご用意していますよ」
得意顔のハルナの手には、国の紋章があしらわれた正式な訪問着があった。
流石ハルナ。幼い頃からの世話係はいつも用意周到で物凄く頼りになる。
「急いで着替えるね」
「馬と護衛は正門前におります。お気をつけて」
「うん、ありがとう!」
ハルナを見送ってから、お行儀悪く服を脱ぎ捨てた。
嬉しくて叫び出したくて、叫ぶ代わりにベッドに飛び込んだ。
嬉しくて嬉しくて嬉しくて、心臓がドキドキと爆発しそうに脈打って。
でも君に1秒でも早く会う為に、急いで支度をする事にした。
馬を走らせると10分もすれば隣国との国境。そこからさらに10分で見えてきたのは赤を基調とした王城だった。
このノイマン公国の、王がおわす王城だ。
そしてここには……。
「レーカ!」
見つけた背中に声を掛け、走り寄った。
振り向いた君は、1年前よりも少し大人びて、そして綺麗で。
「会いたかった!」
公務だからかドレスを着て、髪を下ろして、化粧をしていて、レーカはとても綺麗だった。
馬から下りると、少し低い所にある胡桃色の目が僕を見上げてくる。
「レーカ……」
「相変わらずだなシュン」
大人っぽい笑みは、美人なレーカの魅力をいっそう引き立てて、力強いハスキーな声が僕の名を呼ぶのが叫びたいくらい嬉しかった。
「お帰り」
抱きつきたいのを堪えて、右手を差し出す。
「ただいま」
握り返してくれるレーカの手は硬かったけど小さくて、女の子の手ってこんなに小さかったっけ?ってときめいてしまったんだ。
君は忘れてしまったのだろうか?
僕たちのあの約束を。
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休憩を終え木陰から出ると、照りつける日差しの強さに思わず目を細めた。
日が長く、高くなり、そろそろ暑さも最盛期を迎える。
あと3日。1年のうち日中が最も長くなるその日に、君に会える。
「緊張、してきたな……」
剣の稽古で上がった体温はもう平温に戻ったはずなのに、3日後のことを考えると一瞬で血が沸騰したかのように顔が熱くなる。
それに加え動悸とめまいと息切れと、おまけに思考能力の低下までついてきて、もうこれはそういう病気なのかもしれないと思う。
現に、巷では最近この症状を病になぞらえた歌が大流行中だ。
あと3日、いやあと67時間。
1年ぶりに会えるんだ、君に。
僕の、大好きな人に。
剣を握る手のひらにグッと力を入れて、もう一度構えの体勢を取った。
あと少しだけ、自主練しておこう。
きっと君はまた強くなってしまっているから。
侍女のハルナが「ご帰国されてますよ」なんて言ってきたのは、67時間どころか20時間後で。
つまり予定より丸2日も早い、朝だった。
「え、いつ?今朝?」
「はい、つい先ほどご帰港されたようです」
嬉しさから、勢いよく立ち上がり過ぎて椅子が倒れてしまった。
慌てて拾い上げ、壊れていない事を確認してから元の位置に戻す。
木材は貴重だから壊しでもしたら大目玉だ。
「ガンダーには行くの遅れるって伝えといて……あ、やっぱり今日は行けないかもって伝えといて」
幸いにも今日は重要な予定は入ってなかったはずだし、急ぎの要件もなかったはずだし。
と言うか、これ以上重要で急ぎの事なんてあるはずがないし。
ワクワクを胸に机の上の書類を片付けて引き出しにしまう。鍵も念のためかけておこうか。
「伝えるのは良いですが、その恰好で向かわれるんですか?」
「……あ!」
鍵をポケットにしまおうとしながら、自分がほとんど平服でいたことを思い出した。
普段は重宝するけれど、一応王族の身で他国の王族に会いに行くのにはこの格好はよろしくない。と言うか、不敬だ。
「着替えは……」
「もちろんご用意していますよ」
得意顔のハルナの手には、国の紋章があしらわれた正式な訪問着があった。
流石ハルナ。幼い頃からの世話係はいつも用意周到で物凄く頼りになる。
「急いで着替えるね」
「馬と護衛は正門前におります。お気をつけて」
「うん、ありがとう!」
ハルナを見送ってから、お行儀悪く服を脱ぎ捨てた。
嬉しくて叫び出したくて、叫ぶ代わりにベッドに飛び込んだ。
嬉しくて嬉しくて嬉しくて、心臓がドキドキと爆発しそうに脈打って。
でも君に1秒でも早く会う為に、急いで支度をする事にした。
馬を走らせると10分もすれば隣国との国境。そこからさらに10分で見えてきたのは赤を基調とした王城だった。
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そしてここには……。
「レーカ!」
見つけた背中に声を掛け、走り寄った。
振り向いた君は、1年前よりも少し大人びて、そして綺麗で。
「会いたかった!」
公務だからかドレスを着て、髪を下ろして、化粧をしていて、レーカはとても綺麗だった。
馬から下りると、少し低い所にある胡桃色の目が僕を見上げてくる。
「レーカ……」
「相変わらずだなシュン」
大人っぽい笑みは、美人なレーカの魅力をいっそう引き立てて、力強いハスキーな声が僕の名を呼ぶのが叫びたいくらい嬉しかった。
「お帰り」
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