15 / 38
第2章 成人祝いのパーティ
13話 目覚めの時間
しおりを挟む
レーカに褒められることなんて滅多にないからステップを踏み間違えちゃって。けど、レーカはちゃんと着いてきてくれた。
「おい」
「ごめん」
「まぁ、突貫練習の割には踊れてる方だけどな」
「え、なんで知ってるの?」
思わずレーカを見たら、レーカもこっちを見ていて。
いたずらな笑みで見ていて。
「勘だ」
可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて。
全身の血がぶわっと上半身に集まって、赤くなる前の顔を慌てて逸らした。
「れ、レーカは、その、凄い綺麗だね」
思わず本心が口から溢れ出て、焦った。
ダンスを乱さないように気をつけてるせいでいつもより口下手だ僕。
「あ、色、色が凄く綺麗で、似合ってる……!海風に靡いた君の髪の色みたいで」
「……ありがとう」
握った手の熱から、飛び出しそうな心臓の音から、君への想いが伝わってしまいそう。
僕今、どんな顔してる?
「凄い大人っぽいし、凄い格好いいね」
「お前もあと2ヶ月で成人だろ?」
「うん」
「偉業とやらはクリアできそうなのか?」
「うん、問題ないよ。お披露目には招待してもいい?」
突然、レーカの足が止まった。
そして彼女が、僕から1歩離れる。
手が、腕が、体が1歩分遠ざかる。
まるで僕たちの間に壁でもあるみたいに。
「それについては」
「失礼いたします!!」
緊迫感のある声に何事かと振り返る。
レーカの声を遮ったのは、ノイマンの船服を着た人だった。
確か彼は航海省の……。
「陛下に緊急のご報告です!死の海にて正体不明の船影あり!入港を希望している模様!」
レーカの父君であるノーマン王は、報告を受け厳しい顔をした。
各国のお客人が一斉にざわめき立つ。
「国旗は?」
「未だ確認できておりません!しかし船影から武装はしていない可能性が高く」
「ご報告申し上げます!」
またまた駆け込んできた同じ格好の人。
彼は顔見知りだ。しかも若いけれど力のある、頼りになる船員だ。
「ロッツランド王国の国旗を掲げた船が入港を求めています!いかがいたしましょう?」
「速やかに許可を」
「「はっ!」」
船員2人が走って行くのを追いかけるように、レーカはノーマン王へ駆け寄った。
風に乗ってふわりと、彼女の香りだけが僕に届く。
ユーリィ王妃が使者を宥め始める向こう側で、レーカはノーマン王と少し言葉を交わし、そして二人で城の方へと歩いていった。
おそらく、船に乗って来たであろうロッツランド王国からのお客様をお迎えする為。
ノイマンの船しか渡れなかったはずの「死の海」を超えてきた相手を、見定めに行くため。
------
城のすぐ目の前にあるこの国唯一の港。
そこに着港したその船は、我が国最大の船よりひと回り大きく、変わった形の帆を付けていた。
真新しい船体から降りてくる船員。
そしてその中に、見逃す事の出来ない顔があった。
「シモン・ロッツランド。第2王子です」
「……分かった」
小さく囁きお父様に伝えながら、体裁は保った。
第2王子とはいえ、相手方は大国の皇太子。
噂によると御年20で、以前の婚約はお相手の国政を鑑みて破棄されたとか。そして現在は、婚約相手を選り好みされているとか。
歳以外は真偽が不明だが、婚約者が居ないという事実だけは確認している。
「入港許可を頂き感謝いたします。こちら」
「シモン・ロッツランドです、ノーマン王。突然のお伺いにも関わらずお出迎えいただき心より感謝いたします」
従者を押しのけるようにしてお父様に握手を求めるシモン様は、金の髪に金の目といういかにもなお姿であられた。
下船したばかりであるのに正装をされていらっしゃるのも、父の手を握った直後にハグをされるのも、板に着いた仰々しさでいらっしゃった。
「こちらこそ、わざわざおいで下さり歓迎いたします、シモン様」
お父様は動じない。
一国の王として相応しき貫禄で返答されておられ、どこかの馬鹿にも見習って貰いたいものだ。
「姫君の成人を祝うパーティと伺い、支度に少し手間取ってしまいました。遅ればせながら祝いの席に参加させていただいても?」
「もちろんです。ですが、その前に紹介をさせて下さい。娘のレーカです」
お父様の導きで、金の目がこちらを向く。
朗らかな表情とは裏腹に、鋭く、人を値踏みするかのような目が。
「初めまして、レーカ・ノイマンと申します。以後お見知り置き下さいませ」
スカートの裾をつまみ、膝を少し曲げ、相手を真っ直ぐに見ながら挨拶をした。
頭は下げなかった。それが最適だと判断したから。
「おい」
「ごめん」
「まぁ、突貫練習の割には踊れてる方だけどな」
「え、なんで知ってるの?」
思わずレーカを見たら、レーカもこっちを見ていて。
いたずらな笑みで見ていて。
「勘だ」
可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて。
全身の血がぶわっと上半身に集まって、赤くなる前の顔を慌てて逸らした。
「れ、レーカは、その、凄い綺麗だね」
思わず本心が口から溢れ出て、焦った。
ダンスを乱さないように気をつけてるせいでいつもより口下手だ僕。
「あ、色、色が凄く綺麗で、似合ってる……!海風に靡いた君の髪の色みたいで」
「……ありがとう」
握った手の熱から、飛び出しそうな心臓の音から、君への想いが伝わってしまいそう。
僕今、どんな顔してる?
「凄い大人っぽいし、凄い格好いいね」
「お前もあと2ヶ月で成人だろ?」
「うん」
「偉業とやらはクリアできそうなのか?」
「うん、問題ないよ。お披露目には招待してもいい?」
突然、レーカの足が止まった。
そして彼女が、僕から1歩離れる。
手が、腕が、体が1歩分遠ざかる。
まるで僕たちの間に壁でもあるみたいに。
「それについては」
「失礼いたします!!」
緊迫感のある声に何事かと振り返る。
レーカの声を遮ったのは、ノイマンの船服を着た人だった。
確か彼は航海省の……。
「陛下に緊急のご報告です!死の海にて正体不明の船影あり!入港を希望している模様!」
レーカの父君であるノーマン王は、報告を受け厳しい顔をした。
各国のお客人が一斉にざわめき立つ。
「国旗は?」
「未だ確認できておりません!しかし船影から武装はしていない可能性が高く」
「ご報告申し上げます!」
またまた駆け込んできた同じ格好の人。
彼は顔見知りだ。しかも若いけれど力のある、頼りになる船員だ。
「ロッツランド王国の国旗を掲げた船が入港を求めています!いかがいたしましょう?」
「速やかに許可を」
「「はっ!」」
船員2人が走って行くのを追いかけるように、レーカはノーマン王へ駆け寄った。
風に乗ってふわりと、彼女の香りだけが僕に届く。
ユーリィ王妃が使者を宥め始める向こう側で、レーカはノーマン王と少し言葉を交わし、そして二人で城の方へと歩いていった。
おそらく、船に乗って来たであろうロッツランド王国からのお客様をお迎えする為。
ノイマンの船しか渡れなかったはずの「死の海」を超えてきた相手を、見定めに行くため。
------
城のすぐ目の前にあるこの国唯一の港。
そこに着港したその船は、我が国最大の船よりひと回り大きく、変わった形の帆を付けていた。
真新しい船体から降りてくる船員。
そしてその中に、見逃す事の出来ない顔があった。
「シモン・ロッツランド。第2王子です」
「……分かった」
小さく囁きお父様に伝えながら、体裁は保った。
第2王子とはいえ、相手方は大国の皇太子。
噂によると御年20で、以前の婚約はお相手の国政を鑑みて破棄されたとか。そして現在は、婚約相手を選り好みされているとか。
歳以外は真偽が不明だが、婚約者が居ないという事実だけは確認している。
「入港許可を頂き感謝いたします。こちら」
「シモン・ロッツランドです、ノーマン王。突然のお伺いにも関わらずお出迎えいただき心より感謝いたします」
従者を押しのけるようにしてお父様に握手を求めるシモン様は、金の髪に金の目といういかにもなお姿であられた。
下船したばかりであるのに正装をされていらっしゃるのも、父の手を握った直後にハグをされるのも、板に着いた仰々しさでいらっしゃった。
「こちらこそ、わざわざおいで下さり歓迎いたします、シモン様」
お父様は動じない。
一国の王として相応しき貫禄で返答されておられ、どこかの馬鹿にも見習って貰いたいものだ。
「姫君の成人を祝うパーティと伺い、支度に少し手間取ってしまいました。遅ればせながら祝いの席に参加させていただいても?」
「もちろんです。ですが、その前に紹介をさせて下さい。娘のレーカです」
お父様の導きで、金の目がこちらを向く。
朗らかな表情とは裏腹に、鋭く、人を値踏みするかのような目が。
「初めまして、レーカ・ノイマンと申します。以後お見知り置き下さいませ」
スカートの裾をつまみ、膝を少し曲げ、相手を真っ直ぐに見ながら挨拶をした。
頭は下げなかった。それが最適だと判断したから。
10
あなたにおすすめの小説
花言葉は「私のものになって」
岬 空弥
恋愛
(婚約者様との会話など必要ありません。)
そうして今日もまた、見目麗しい婚約者様を前に、まるで人形のように微笑み、私は自分の世界に入ってゆくのでした。
その理由は、彼が私を利用して、私の姉を狙っているからなのです。
美しい姉を持つ思い込みの激しいユニーナと、少し考えの足りない美男子アレイドの拗れた恋愛。
青春ならではのちょっぴり恥ずかしい二人の言動を「気持ち悪い!」と吐き捨てる姉の婚約者にもご注目ください。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
俺の可愛い幼馴染
SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。
ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。
連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。
感想もご自由にどうぞ。
ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。
【完結】言いつけ通り、夫となる人を自力で見つけました!
まりぃべる
恋愛
エーファ=バルヒェットは、父から十七歳になったからお見合い話を持ってこようかと提案された。
人に決められた人とより、自分が見定めた人と結婚したい!
そう思ったエーファは考え抜いた結果、引き籠もっていた侯爵領から人の行き交いが多い王都へと出向く事とした。
そして、思わぬ形で友人が出来、様々な人と出会い結婚相手も無事に見つかって新しい生活をしていくエーファのお話。
☆まりぃべるの世界観です。現実世界とは似ているもの、違うものもあります。
☆現実世界で似たもしくは同じ人名、地名があるかもしれませんが、全く関係ありません。
☆現実世界とは似ているようで違う世界です。常識も現実世界と似ているようで違います。それをご理解いただいた上で、楽しんでいただけると幸いです。
☆この世界でも季節はありますが、現実世界と似ているところと少し違うところもあります。まりぃべるの世界だと思って楽しんでいただけると幸いです。
☆書き上げています。
その途中間違えて投稿してしまいました…すぐ取り下げたのですがお気に入り入れてくれた方、ありがとうございます。ずいぶんとお待たせいたしました。
魔性の女に幼馴染を奪われたのですが、やはり真実の愛には敵わないようですね。
Hibah
恋愛
伯爵の息子オスカーは容姿端麗、若き騎士としての名声が高かった。幼馴染であるエリザベスはそんなオスカーを恋い慕っていたが、イザベラという女性が急に現れ、オスカーの心を奪ってしまう。イザベラは魔性の女で、男を誘惑し、女を妬ませることが唯一の楽しみだった。オスカーを奪ったイザベラの真の目的は、社交界で人気のあるエリザベスの心に深い絶望を与えることにあった。
仮面王の花嫁
松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。
しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。
これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。
でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。
もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……?
表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。
全年齢作品です。
ベリーズカフェ公開日 2022/09/21
アルファポリス公開日 2025/06/19
作品の無断転載はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる