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第六章 恋と愛の違い
第四十三話 恋と愛の違い
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「一松が自分で話せるまで待つのは駄目なんですか?」
「お美代様に危害を加えてからとなっても良いのであらば、待とう」
「お美代さんに!?」
どうしてそんな話になるのか、もう訳が分からない。
そう言えば、お美代さんから一松が託児所の手伝いに来てくれると聞いた事があった気がするけど、それが接点ってこと?
で、一松が色欲を我慢できなくてお美代さんに危害を加えるの?
一松が??
いや。ないでしょ。一松いい子だもん。
何故か一松は自分を弁護しないけど、私は一松の味方だからね。
「でも道明様」
「小瑠璃」
まさかの遮られてしまった。しかも道明様真剣な顔で、目がキリッとしてる。
好き。
じゃなかった。今はそういう時間じゃなかった。
負けじとキリッとした顔をして見せる。
「何でしょう?」
「私がそなたを初めて泣かせてしまった折を覚えておるか?」
「・・・はい」
「あれと同じ様な事を一松もしでかしてしまうやもしれぬのだぞ?」
あの日の事は、今でもハッキリと思い出せる。
落ち込んでた私を慰める体で、道明様に誘惑されたのだ。
この体での初めてのキスだった。最低なキスだった。
けど、彼は途中で止めてくれた。
あぁそうか・・・あれが彼の色欲と理性だったのか。
あの時の道明様のように、愛を知らない一松も、色欲を愛と囁いてしまうかもしれないのか。
それは確かに止めてあげたい。
大切な人が大切な人を傷つけてしまうかもしれないのは、放ってはおけない。
子犬みたいな目で怯える一松。
怯えてるのはきっと、心を読まれるからではなく、読まれたせいで自分の心を拒絶されるかもしれないからだ。
その怖さを、私もよく知っている。
だから、安心させてあげるために優しく微笑んだ。
「一松」
「・・・はい」
「今一松が困っている所だけ思い浮かべて。それ以外は見ないから」
「ですが・・・」
「男の子がみんなスケベなのは知ってるから大丈夫だよ」
聖女感を出したからか、少しだけ体から力が抜けたように見える一松。
もう一押しってところか。
「ちなみに、道明様は私の力を確かめる為に『心を読め』って言ってから卑猥な事考えたからね」
さすがにこれは効果てきめんだったらしくて、一松は驚き顔でバッと道明様を見た。
道明様は、笑ってらっしゃった。
とても楽しそうに。
あれはあの時の私の反応を思い出してるんだと思う。性格悪いからあの人。
「お嫌では、なかったのでございますか?」
普通はこういう風に気を使ってくれるよね。やっぱり一松はいい子だ。
「『馬鹿だなぁ』って思う。でもまあ、『これが健全な男の子なのかな』って感じ」
「そう、なのですか・・・」
「そうなの。じゃあ、読んでもいい?」
「・・・はい」
覚悟を決めましたって感じでグッと目を閉じる一松の、その胸元当たりを見て、意識を集中させて。
彼の中に意識を入り込ませるようにして、心の中を見せてもらった。
すぐそこに見えたのは、お美代さんとのシーンだった。
お美代さんに呼び出される光景。
人気のないところで、お美代さんが一松にこっそりお菓子を渡している光景。
「秘密ですよ」と笑う、彼女の柔らかい笑顔。
そしてそのさ中、ずっと一松の心はお美代さんへの想いで溢れていた。
それも私でさえ気恥ずかしくなってしまうほど初心な感じの想いで。
ここまで見れれば十分すぎる。一松から意識を断ち切り、心を落ち着かせるために息を吐いた。
「どうであった?」
すかさず聞いてくる道明様の表情が意地悪に見えるのは・・・深読みし過ぎだろうか?
「分かるには分かりましたけど・・・私から話しても大丈夫?」
「・・・はい」
一松の姿は、さながら刑の執行を待つ囚人だ。
そんなに自分を嫌わなくたっていいのになぁ。
「一松はお美代さんに恋をしているようですね」
「そうか」
道明様はどうやら多少予想はしていたようで、何の事はない感じでいらっしゃった。
可愛い一松はこんなにも驚いた顔をしているというのに、この人色恋にこなれ過ぎだと思う。
お坊様の身でありながら色恋に慣れてるなんて、とんだ生臭坊主だ。
「で、ですが、私は・・・」
ほら、こんな感じの初心な反応が普通なんだよ。
「お美代さんに対して感じる気持ちを、他の人には感じないんでしょ?」
「はい」
「なら、それは普通に普通の恋心だよ」
触れたいとか、キスしたいとか、抱きしめたいとか、そんな可愛らしい恋心を一松は感じていた。
ほんの少しの乱暴な気持ちもなくはなかったけど、それ以上に彼女を悲しませたくないと、そう思っていた。
恋をしているのに、愛で自制しているんだ。
不器用だけど思いやりに溢れた立派な紳士なんだ。
「好きな人に対して色欲を覚えるのは普通で、おかしなことじゃないよ。私だって道明様の事襲っちゃいたいって思うもん」
子どもみたいに「アッハッハッハ」と笑い声を上げる道明様を見て、一松は何とも言えないような顔をしていた。
ちょっと淑女としてはぶっちゃけすぎたかもしれないけど、一松の自己嫌悪は終わったみたいだから結果オーライかな?
「お美代様に危害を加えてからとなっても良いのであらば、待とう」
「お美代さんに!?」
どうしてそんな話になるのか、もう訳が分からない。
そう言えば、お美代さんから一松が託児所の手伝いに来てくれると聞いた事があった気がするけど、それが接点ってこと?
で、一松が色欲を我慢できなくてお美代さんに危害を加えるの?
一松が??
いや。ないでしょ。一松いい子だもん。
何故か一松は自分を弁護しないけど、私は一松の味方だからね。
「でも道明様」
「小瑠璃」
まさかの遮られてしまった。しかも道明様真剣な顔で、目がキリッとしてる。
好き。
じゃなかった。今はそういう時間じゃなかった。
負けじとキリッとした顔をして見せる。
「何でしょう?」
「私がそなたを初めて泣かせてしまった折を覚えておるか?」
「・・・はい」
「あれと同じ様な事を一松もしでかしてしまうやもしれぬのだぞ?」
あの日の事は、今でもハッキリと思い出せる。
落ち込んでた私を慰める体で、道明様に誘惑されたのだ。
この体での初めてのキスだった。最低なキスだった。
けど、彼は途中で止めてくれた。
あぁそうか・・・あれが彼の色欲と理性だったのか。
あの時の道明様のように、愛を知らない一松も、色欲を愛と囁いてしまうかもしれないのか。
それは確かに止めてあげたい。
大切な人が大切な人を傷つけてしまうかもしれないのは、放ってはおけない。
子犬みたいな目で怯える一松。
怯えてるのはきっと、心を読まれるからではなく、読まれたせいで自分の心を拒絶されるかもしれないからだ。
その怖さを、私もよく知っている。
だから、安心させてあげるために優しく微笑んだ。
「一松」
「・・・はい」
「今一松が困っている所だけ思い浮かべて。それ以外は見ないから」
「ですが・・・」
「男の子がみんなスケベなのは知ってるから大丈夫だよ」
聖女感を出したからか、少しだけ体から力が抜けたように見える一松。
もう一押しってところか。
「ちなみに、道明様は私の力を確かめる為に『心を読め』って言ってから卑猥な事考えたからね」
さすがにこれは効果てきめんだったらしくて、一松は驚き顔でバッと道明様を見た。
道明様は、笑ってらっしゃった。
とても楽しそうに。
あれはあの時の私の反応を思い出してるんだと思う。性格悪いからあの人。
「お嫌では、なかったのでございますか?」
普通はこういう風に気を使ってくれるよね。やっぱり一松はいい子だ。
「『馬鹿だなぁ』って思う。でもまあ、『これが健全な男の子なのかな』って感じ」
「そう、なのですか・・・」
「そうなの。じゃあ、読んでもいい?」
「・・・はい」
覚悟を決めましたって感じでグッと目を閉じる一松の、その胸元当たりを見て、意識を集中させて。
彼の中に意識を入り込ませるようにして、心の中を見せてもらった。
すぐそこに見えたのは、お美代さんとのシーンだった。
お美代さんに呼び出される光景。
人気のないところで、お美代さんが一松にこっそりお菓子を渡している光景。
「秘密ですよ」と笑う、彼女の柔らかい笑顔。
そしてそのさ中、ずっと一松の心はお美代さんへの想いで溢れていた。
それも私でさえ気恥ずかしくなってしまうほど初心な感じの想いで。
ここまで見れれば十分すぎる。一松から意識を断ち切り、心を落ち着かせるために息を吐いた。
「どうであった?」
すかさず聞いてくる道明様の表情が意地悪に見えるのは・・・深読みし過ぎだろうか?
「分かるには分かりましたけど・・・私から話しても大丈夫?」
「・・・はい」
一松の姿は、さながら刑の執行を待つ囚人だ。
そんなに自分を嫌わなくたっていいのになぁ。
「一松はお美代さんに恋をしているようですね」
「そうか」
道明様はどうやら多少予想はしていたようで、何の事はない感じでいらっしゃった。
可愛い一松はこんなにも驚いた顔をしているというのに、この人色恋にこなれ過ぎだと思う。
お坊様の身でありながら色恋に慣れてるなんて、とんだ生臭坊主だ。
「で、ですが、私は・・・」
ほら、こんな感じの初心な反応が普通なんだよ。
「お美代さんに対して感じる気持ちを、他の人には感じないんでしょ?」
「はい」
「なら、それは普通に普通の恋心だよ」
触れたいとか、キスしたいとか、抱きしめたいとか、そんな可愛らしい恋心を一松は感じていた。
ほんの少しの乱暴な気持ちもなくはなかったけど、それ以上に彼女を悲しませたくないと、そう思っていた。
恋をしているのに、愛で自制しているんだ。
不器用だけど思いやりに溢れた立派な紳士なんだ。
「好きな人に対して色欲を覚えるのは普通で、おかしなことじゃないよ。私だって道明様の事襲っちゃいたいって思うもん」
子どもみたいに「アッハッハッハ」と笑い声を上げる道明様を見て、一松は何とも言えないような顔をしていた。
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