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4 不貞の証
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ハビエルは、婚約者のマルティナにエスコート以外で触れたことはなかった。
生粋の御令嬢である彼女に結婚前に気軽に触れるのはいけないと考えていたし、王族の妻としてちゃんと大切にしたいという気持ちもあった。
しかし、一度ビビアナに触れると止まらなかった。彼女の身分の低さが触れることへのハードルを下げていたのかもしれない。
ビビアナの温かさや柔らかさ、そして触れ合うことで生まれる心の充足感。ハビエルは彼女なしの生活など考えられなくなった。
さすがに一線を越えることはなかったが、その寸前までは済んでいた。
「あっ……ハビ……これ以上はだめです」
「大丈夫。誰も見ていないよ」
「は、恥ずかしいです。んんっ……あぅ」
「恥ずかしい? おかしいな、気持ちよさそうな顔に見えるのに」
「うう……意地悪ですね」
「ふふ、ごめんね。でも声を抑えて。君の可愛い声を、誰にも聞かせたくない」
二人は誰もいない空き教室に鍵をかけて、逢引きをしていた。しかし、外からは他の生徒たちの声が聞こえてくる。その背徳感が、より一層関係を深いものにしていった。
ハビエルに服の上から胸や足を撫でられ、濃厚な口付けをされるとビビアナは恥ずかしさと気持ちよさで身体が震えた。
「好きだよ、ビビアナ」
♢♢♢
「ハビエル殿下は、やはりビビアナのような女性が好みなのね」
ハビエルの心変わりを知ったマルティナは、一筋の涙を溢した。
もしかしたら、ハビエルは『婚約者がいるから』と関係を断ってくれるかもしれないと期待していた。しかし、そんな期待は粉々に砕け散った。
今まではどんな美しい御令嬢が近付いて来ても、ハビエルははっきり断ってくれていた。しかし、それは好みの御令嬢ではなかったからなのかもしれない。
ビビアナは自分とは似てもにつかぬ可愛らしい見た目に、愛らしく素直な性格。
ハビエルはマルティナを大事にしてくれたが、エスコート以外で触れてくれなかった。一度もあんな風に激しく求められたことなどなかった。女として完敗だった。
彼女はハビエルとビビアナの密会現場を、王家にリークした。そうすれば必ずこの関係が公になることがわかっていたから。
残念ながら、ハビエルはビビアナとは幸せになれないことは決まっていた。
だってビビアナはマルティナが用意したハニートラップだから。
つまりは全てがマルティナの計画通りだった。
マルティナが婚約を破棄するにはこれより他には仕方がなかった。家同士が決めた婚約は、よっぽどのことがない限り絶対なのだから。
ハビエルもこの浮気の責任を取らされる可能性もあるが、彼の能力があれば王家を追放などはされないだろう。いや、されないように後で上手くマルティナがフォローをするつもりだった。
元々マルティナは完璧なハビエル殿下の婚約者としては相応しくないと思われている。
きっと婚約破棄をすれば、彼好みの御令嬢から山程アプローチがあるはずだ。王族以外で一番家格の高いマルティナが婚約破棄されれば、公爵家以下の御令嬢も婚約者の対象になる。
マルティナより家格が下でも、可愛くて素敵な御令嬢は沢山いるのだから。
「これから本当に好きな人を見つけてくださいませ。さようなら」
マルティナは涙目で自分の唇を指でそっとなぞり、別れの言葉を呟いた。
♢♢♢
ハビエルとビビアナが逢えるのは人目のつかない場所ばかり。今回も、舞踏会をこっそり抜け出して人気のない裏庭で愛を確かめ合っていた。
「んんっ……ふっ……」
「はぁ、なんて可愛いんだ。ビビアナは私のものだ」
「殿下」
「そんな呼び方やめてくれ。いつも通りハビと」
「ハビ……」
抱き合い、何度もキスを交わす様子は誰がどう見ても仲睦まじい恋人同士だった。その瞬間がきっと二人にとって一番幸せな時間だったに違いない。
この後すぐに二人の関係が、公になってしまうのだから。
「……ハビエル、これはどういうことだ」
冷たい声で二人を睨みつけたのは、ハビエルの父である国王陛下だった。
「ち、父上。なぜ……ここに……」
青ざめたハビエルは、身体を離しビビアナを背中に隠した。
「匿名の手紙が届いた。お前が今夜ここでマルティナ嬢ではない女性と密会をしていると」
「誰がそのようなことを」
「……ただの悪戯であって欲しいと願っていたが、まさか本当だったとはな」
陛下の声は哀しみと怒り、そして失望の色が含まれていた。
「父上、これは全て私の責任です。ビビアナは帰してください」
「ハビ、でも……!」
「いいんだ。私は父上と話をする。君はここにいてはいけない」
この状況でもビビアナを庇おうとするハビエルを、父親である国王陛下は複雑な気持ちで眺めていた。
「まずはお前から話を聞こう。そちらの女性への処罰は後だ」
「……罰なら私一人にしてください」
「お前にそんなことを言う権利はない。今すぐ王宮に戻れ。こんな醜聞が他に漏れたらどうするのだ!」
オロオロとするビビアナに「大丈夫だから」と微笑み、ハビエルは父親と共に王宮内に消えていった。
無言のまま歩く廊下はとても長く、永遠に着かないのではないかと感じるほどだった。
「すぐに話を聞きたいところだが、このまま騒ぎにならぬように自室に戻れ。明日の朝一番に私の部屋に来い」
「……はい」
「マルティナ嬢にも事実を話す。彼女には知る権利があるだろう」
それを聞いたハビエルは、慌ててそれを止めようとした。
「父上、待ってください。それは……!」
「今夜は自分のしたことを悔い、反省しろ。マルティナ嬢が許してくれることを祈るんだな」
バタン
ハビエルは逃げ出さないように扉の前の警備の数を倍にされ、外に出られないように魔法でバリアを張られた。
ベッドに寝転がったハビエルは「はぁ」と大きなため息をついた。目を閉じると、浮かんでくるのはビビアナとマルティナの二人の女性の顔だった。
「どうしたものか」
ハビエルは自分がこれからどうしたいのかを、一晩考えることにした。
生粋の御令嬢である彼女に結婚前に気軽に触れるのはいけないと考えていたし、王族の妻としてちゃんと大切にしたいという気持ちもあった。
しかし、一度ビビアナに触れると止まらなかった。彼女の身分の低さが触れることへのハードルを下げていたのかもしれない。
ビビアナの温かさや柔らかさ、そして触れ合うことで生まれる心の充足感。ハビエルは彼女なしの生活など考えられなくなった。
さすがに一線を越えることはなかったが、その寸前までは済んでいた。
「あっ……ハビ……これ以上はだめです」
「大丈夫。誰も見ていないよ」
「は、恥ずかしいです。んんっ……あぅ」
「恥ずかしい? おかしいな、気持ちよさそうな顔に見えるのに」
「うう……意地悪ですね」
「ふふ、ごめんね。でも声を抑えて。君の可愛い声を、誰にも聞かせたくない」
二人は誰もいない空き教室に鍵をかけて、逢引きをしていた。しかし、外からは他の生徒たちの声が聞こえてくる。その背徳感が、より一層関係を深いものにしていった。
ハビエルに服の上から胸や足を撫でられ、濃厚な口付けをされるとビビアナは恥ずかしさと気持ちよさで身体が震えた。
「好きだよ、ビビアナ」
♢♢♢
「ハビエル殿下は、やはりビビアナのような女性が好みなのね」
ハビエルの心変わりを知ったマルティナは、一筋の涙を溢した。
もしかしたら、ハビエルは『婚約者がいるから』と関係を断ってくれるかもしれないと期待していた。しかし、そんな期待は粉々に砕け散った。
今まではどんな美しい御令嬢が近付いて来ても、ハビエルははっきり断ってくれていた。しかし、それは好みの御令嬢ではなかったからなのかもしれない。
ビビアナは自分とは似てもにつかぬ可愛らしい見た目に、愛らしく素直な性格。
ハビエルはマルティナを大事にしてくれたが、エスコート以外で触れてくれなかった。一度もあんな風に激しく求められたことなどなかった。女として完敗だった。
彼女はハビエルとビビアナの密会現場を、王家にリークした。そうすれば必ずこの関係が公になることがわかっていたから。
残念ながら、ハビエルはビビアナとは幸せになれないことは決まっていた。
だってビビアナはマルティナが用意したハニートラップだから。
つまりは全てがマルティナの計画通りだった。
マルティナが婚約を破棄するにはこれより他には仕方がなかった。家同士が決めた婚約は、よっぽどのことがない限り絶対なのだから。
ハビエルもこの浮気の責任を取らされる可能性もあるが、彼の能力があれば王家を追放などはされないだろう。いや、されないように後で上手くマルティナがフォローをするつもりだった。
元々マルティナは完璧なハビエル殿下の婚約者としては相応しくないと思われている。
きっと婚約破棄をすれば、彼好みの御令嬢から山程アプローチがあるはずだ。王族以外で一番家格の高いマルティナが婚約破棄されれば、公爵家以下の御令嬢も婚約者の対象になる。
マルティナより家格が下でも、可愛くて素敵な御令嬢は沢山いるのだから。
「これから本当に好きな人を見つけてくださいませ。さようなら」
マルティナは涙目で自分の唇を指でそっとなぞり、別れの言葉を呟いた。
♢♢♢
ハビエルとビビアナが逢えるのは人目のつかない場所ばかり。今回も、舞踏会をこっそり抜け出して人気のない裏庭で愛を確かめ合っていた。
「んんっ……ふっ……」
「はぁ、なんて可愛いんだ。ビビアナは私のものだ」
「殿下」
「そんな呼び方やめてくれ。いつも通りハビと」
「ハビ……」
抱き合い、何度もキスを交わす様子は誰がどう見ても仲睦まじい恋人同士だった。その瞬間がきっと二人にとって一番幸せな時間だったに違いない。
この後すぐに二人の関係が、公になってしまうのだから。
「……ハビエル、これはどういうことだ」
冷たい声で二人を睨みつけたのは、ハビエルの父である国王陛下だった。
「ち、父上。なぜ……ここに……」
青ざめたハビエルは、身体を離しビビアナを背中に隠した。
「匿名の手紙が届いた。お前が今夜ここでマルティナ嬢ではない女性と密会をしていると」
「誰がそのようなことを」
「……ただの悪戯であって欲しいと願っていたが、まさか本当だったとはな」
陛下の声は哀しみと怒り、そして失望の色が含まれていた。
「父上、これは全て私の責任です。ビビアナは帰してください」
「ハビ、でも……!」
「いいんだ。私は父上と話をする。君はここにいてはいけない」
この状況でもビビアナを庇おうとするハビエルを、父親である国王陛下は複雑な気持ちで眺めていた。
「まずはお前から話を聞こう。そちらの女性への処罰は後だ」
「……罰なら私一人にしてください」
「お前にそんなことを言う権利はない。今すぐ王宮に戻れ。こんな醜聞が他に漏れたらどうするのだ!」
オロオロとするビビアナに「大丈夫だから」と微笑み、ハビエルは父親と共に王宮内に消えていった。
無言のまま歩く廊下はとても長く、永遠に着かないのではないかと感じるほどだった。
「すぐに話を聞きたいところだが、このまま騒ぎにならぬように自室に戻れ。明日の朝一番に私の部屋に来い」
「……はい」
「マルティナ嬢にも事実を話す。彼女には知る権利があるだろう」
それを聞いたハビエルは、慌ててそれを止めようとした。
「父上、待ってください。それは……!」
「今夜は自分のしたことを悔い、反省しろ。マルティナ嬢が許してくれることを祈るんだな」
バタン
ハビエルは逃げ出さないように扉の前の警備の数を倍にされ、外に出られないように魔法でバリアを張られた。
ベッドに寝転がったハビエルは「はぁ」と大きなため息をついた。目を閉じると、浮かんでくるのはビビアナとマルティナの二人の女性の顔だった。
「どうしたものか」
ハビエルは自分がこれからどうしたいのかを、一晩考えることにした。
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