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本編
1 鬼の花嫁
伯爵家の娘であるクリスティン・エメットは、今まさに結婚式を迎えていた。
「いついかなる時も、彼を夫として慈しみ愛する事を誓いますか?」
「はい」
確かに私は「はい」と返事をしたが、正直言うと愛せるかどうかはわからない。だって今日初めて会った知らない人だ。でもせっかくの縁があって夫婦になるのだから『愛し愛されたい』とは思っている。
貴族の娘として生まれた以上、政略結婚は覚悟していた。しかし、私が王家から紹介を受けるとは思わなかった。
『クリスティン嬢、今日は君にどうしても直接お願いしたいことがあって呼んだのだ。来てもらってすまないね』
ニコリと微笑んだ陛下にそのように言われ、私は恐縮して緊張していた。隣にいるお父様も何の話なのかと不安に思っているようでソワソワしていた。
『とんでもないことでございます。私にお役に立てることならば、なんなりとお申し付けください』
『時間もないので、本題を言おう。辺境伯エルベルトと結婚してくれないか?』
――結婚……エルベルト様と?
私はすぐに反応できず、呆然としていた。お父様も目を見開いて驚いている。
『あやつの強さはこの国の宝だ。後継のこともあるし、そろそろあいつにも妻を持って欲しくてね』
それは理解できる。しかし、なぜ私なのか? エルベルト様とは話したこともないのに。
『な、なぜ私なのですか?』
『あいつが望んだのだ。君が良いと』
彼が望んだと言うのはとても信じられなかったが、陛下からの勅命をただの伯爵家が無視できるはずもなく結婚することはすでに決定事項だった。
ふわふわのストロベリーブロンドの髪に、ピンク色の大きめな瞳。体型は細身で胸は平均。私はクラスの中では、それなりに可愛いかな程度の見た目なので、正直一目惚れされるほど優れた容姿ではない。男性から声をかけられたこともない。もっともっと綺麗な御令嬢はたくさんいるのだ。
それなりに真面目に勉強はしてきたし、貴族令嬢としてのマナーや教育は身についている。でもそれは他の御令嬢達も同じこと。
「なぜ私なの……?」
私の疑問をよそに、王家からは過ぎたお祝いの品をいただいた。そして結婚の持参金も一切不要という我が家にとってはありがたすぎる条件で、あっという間に結婚することになった。
『国の宝だというのはわかるが鬼と呼ばれる騎士に、可愛い娘を嫁がせるのは心配だ』
両親やお兄様、使用人達は私の結婚をとても心配し嘆いていた。でも……断れば家に迷惑がかかる。私は『向こうが私を望んでくださったのよ? きっと幸せになれるわ』となるべく明るく言った。
しかし……さすがに当日まで顔を合わせないのは珍しい。何回か手紙のやりとりはしていたものの、会えなかったのには理由がある。
私の旦那様になるエルベルト・セルバンテス様は辺境伯。王都から馬車で休憩なしでも五日はかかるような遠く離れた地で、国の安全を守ってくださっているため顔合わせのためだけにこちらに来ることができなかったのだ。
「初めまして。クリスティン・エメットと申します。末永くよろしくお願い致します」
結婚式当日、ドレスに着替える前にご挨拶に伺った。できるだけ丁寧に挨拶をした。
「ああ、エルベルト・セルバンテスだ……よろしく頼む」
彼は私をチラリと見て、ぶっきらぼうにそう言った。
ギロリと光る金色の瞳と凛々しい眉毛、漆黒の髪……そして筋肉質の屈強な体には沢山の刀傷が見えた。彼はこの国である意味とても有名な人物だ。
ものすごく強い騎士だが、無口で冷徹な『鬼』のようだと恐れられている。彼が現れただけで、魔物も怯えて逃げ帰るとか逃げ帰らないとか。
そして私より十歳年上の二十八歳。驚くほどではないが、少し年の差がある。
――すごく怖そう。
初めて見る彼にそう思ってしまった。我が家は文官の家系で、大きな身体の人を近くで見たことがないので驚いたのだ。
お互い誓いの言葉を終えて、彼はヴェールをあげ僅かに触れるだけのキスをした。私のファーストキス。ドキドキして頬が染まったが、彼は怖い顔のままだった。
キスの時くらい微笑んでくれてもいいのに、と内心哀しくなったが仕方がない。
そのまま式は終わり、私はもう馬車に揺られている。結婚式はとても簡素なものだった。最低限の人数で、最低限の内容。
「どう考えても、愛されてないわね」
私は「はぁ」とため息をついた。結婚したというのに私は彼と違う馬車に乗っている。彼が私をなぜ伴侶に望んだのかはわからない。しかし、愛や恋ではなさそうだと思った。何か別の理由があるのだろう。
そうでなければ、今頃一緒の馬車に乗ってお互いのことを知るために話し合っているはずだ。趣味とかお仕事のこととか、これからのこととかいーっぱい話題はあるはずだ。なのに別々……なぜか。
私は本音を言うと結婚式にはもっと憧れを抱いていた。乙女思考と言われるだろうが、私はまだ十八歳。初恋もまだなので、夢見がちだったのだ。
跪いてのプロポーズで婚約指輪を貰い、二人で相談しながらウェディングドレスを特注で作り……美しい教会で『愛してる』と言われながら甘いキスをする。ぜーんぶ無かった。政略結婚なのだから、あるわけがない。
ファーストキスもよくわからないうちに終わってしまった。学生時代の友達は、大好きな先輩と恋仲になり、親や侍女の目を盗んでそれはそれは素敵な口付けをしたと自慢していた。たしか……夕日の見える海辺で甘く蕩けるようなキスをしたらしい。
その話を聞いて私はそんなことが現実にあるのだと、驚きつつもときめいていた。自分にもそんなロマンスがあるかも、と思いながら全く何もないまま嫁いだのだ。こんなことなら、私も恋をしてキスの一つや二つ本当に好きな人と済ましておくべきだった。
まあ、そんなことを言っても好きな人なんていなかったのだけど。でも恋をしてみたかった。舞踏会だっていつもパートナーはお兄様だった。お兄様は素敵な人だけど、一度くらい別の男性と行ってみたかったな。
いや、暗くなってもしょうがない。これからが大事だ。小説のような燃える愛でなくてもお互いを尊敬し、支え合うような夫婦になれれば幸せではないか。私はもうエルベルト様の妻なのだから、これからゆっくり関係を築いていくぞと気合をいれた。
貴族令嬢としては、純潔を保ったことは正しいし誇らしいことだ。キスもそれ以上も旦那様が初めてだなんて胸をはれるはずだ。これからエルベルト様を徐々に好きになればいいなと思った。
しかし、嫁いで数ヶ月……私の心は早くも折れかけていた。エルベルト様と仲良くなれる気がしないのだ。仲良くなるどころか、彼が怖い。ここから逃げたい。
「いついかなる時も、彼を夫として慈しみ愛する事を誓いますか?」
「はい」
確かに私は「はい」と返事をしたが、正直言うと愛せるかどうかはわからない。だって今日初めて会った知らない人だ。でもせっかくの縁があって夫婦になるのだから『愛し愛されたい』とは思っている。
貴族の娘として生まれた以上、政略結婚は覚悟していた。しかし、私が王家から紹介を受けるとは思わなかった。
『クリスティン嬢、今日は君にどうしても直接お願いしたいことがあって呼んだのだ。来てもらってすまないね』
ニコリと微笑んだ陛下にそのように言われ、私は恐縮して緊張していた。隣にいるお父様も何の話なのかと不安に思っているようでソワソワしていた。
『とんでもないことでございます。私にお役に立てることならば、なんなりとお申し付けください』
『時間もないので、本題を言おう。辺境伯エルベルトと結婚してくれないか?』
――結婚……エルベルト様と?
私はすぐに反応できず、呆然としていた。お父様も目を見開いて驚いている。
『あやつの強さはこの国の宝だ。後継のこともあるし、そろそろあいつにも妻を持って欲しくてね』
それは理解できる。しかし、なぜ私なのか? エルベルト様とは話したこともないのに。
『な、なぜ私なのですか?』
『あいつが望んだのだ。君が良いと』
彼が望んだと言うのはとても信じられなかったが、陛下からの勅命をただの伯爵家が無視できるはずもなく結婚することはすでに決定事項だった。
ふわふわのストロベリーブロンドの髪に、ピンク色の大きめな瞳。体型は細身で胸は平均。私はクラスの中では、それなりに可愛いかな程度の見た目なので、正直一目惚れされるほど優れた容姿ではない。男性から声をかけられたこともない。もっともっと綺麗な御令嬢はたくさんいるのだ。
それなりに真面目に勉強はしてきたし、貴族令嬢としてのマナーや教育は身についている。でもそれは他の御令嬢達も同じこと。
「なぜ私なの……?」
私の疑問をよそに、王家からは過ぎたお祝いの品をいただいた。そして結婚の持参金も一切不要という我が家にとってはありがたすぎる条件で、あっという間に結婚することになった。
『国の宝だというのはわかるが鬼と呼ばれる騎士に、可愛い娘を嫁がせるのは心配だ』
両親やお兄様、使用人達は私の結婚をとても心配し嘆いていた。でも……断れば家に迷惑がかかる。私は『向こうが私を望んでくださったのよ? きっと幸せになれるわ』となるべく明るく言った。
しかし……さすがに当日まで顔を合わせないのは珍しい。何回か手紙のやりとりはしていたものの、会えなかったのには理由がある。
私の旦那様になるエルベルト・セルバンテス様は辺境伯。王都から馬車で休憩なしでも五日はかかるような遠く離れた地で、国の安全を守ってくださっているため顔合わせのためだけにこちらに来ることができなかったのだ。
「初めまして。クリスティン・エメットと申します。末永くよろしくお願い致します」
結婚式当日、ドレスに着替える前にご挨拶に伺った。できるだけ丁寧に挨拶をした。
「ああ、エルベルト・セルバンテスだ……よろしく頼む」
彼は私をチラリと見て、ぶっきらぼうにそう言った。
ギロリと光る金色の瞳と凛々しい眉毛、漆黒の髪……そして筋肉質の屈強な体には沢山の刀傷が見えた。彼はこの国である意味とても有名な人物だ。
ものすごく強い騎士だが、無口で冷徹な『鬼』のようだと恐れられている。彼が現れただけで、魔物も怯えて逃げ帰るとか逃げ帰らないとか。
そして私より十歳年上の二十八歳。驚くほどではないが、少し年の差がある。
――すごく怖そう。
初めて見る彼にそう思ってしまった。我が家は文官の家系で、大きな身体の人を近くで見たことがないので驚いたのだ。
お互い誓いの言葉を終えて、彼はヴェールをあげ僅かに触れるだけのキスをした。私のファーストキス。ドキドキして頬が染まったが、彼は怖い顔のままだった。
キスの時くらい微笑んでくれてもいいのに、と内心哀しくなったが仕方がない。
そのまま式は終わり、私はもう馬車に揺られている。結婚式はとても簡素なものだった。最低限の人数で、最低限の内容。
「どう考えても、愛されてないわね」
私は「はぁ」とため息をついた。結婚したというのに私は彼と違う馬車に乗っている。彼が私をなぜ伴侶に望んだのかはわからない。しかし、愛や恋ではなさそうだと思った。何か別の理由があるのだろう。
そうでなければ、今頃一緒の馬車に乗ってお互いのことを知るために話し合っているはずだ。趣味とかお仕事のこととか、これからのこととかいーっぱい話題はあるはずだ。なのに別々……なぜか。
私は本音を言うと結婚式にはもっと憧れを抱いていた。乙女思考と言われるだろうが、私はまだ十八歳。初恋もまだなので、夢見がちだったのだ。
跪いてのプロポーズで婚約指輪を貰い、二人で相談しながらウェディングドレスを特注で作り……美しい教会で『愛してる』と言われながら甘いキスをする。ぜーんぶ無かった。政略結婚なのだから、あるわけがない。
ファーストキスもよくわからないうちに終わってしまった。学生時代の友達は、大好きな先輩と恋仲になり、親や侍女の目を盗んでそれはそれは素敵な口付けをしたと自慢していた。たしか……夕日の見える海辺で甘く蕩けるようなキスをしたらしい。
その話を聞いて私はそんなことが現実にあるのだと、驚きつつもときめいていた。自分にもそんなロマンスがあるかも、と思いながら全く何もないまま嫁いだのだ。こんなことなら、私も恋をしてキスの一つや二つ本当に好きな人と済ましておくべきだった。
まあ、そんなことを言っても好きな人なんていなかったのだけど。でも恋をしてみたかった。舞踏会だっていつもパートナーはお兄様だった。お兄様は素敵な人だけど、一度くらい別の男性と行ってみたかったな。
いや、暗くなってもしょうがない。これからが大事だ。小説のような燃える愛でなくてもお互いを尊敬し、支え合うような夫婦になれれば幸せではないか。私はもうエルベルト様の妻なのだから、これからゆっくり関係を築いていくぞと気合をいれた。
貴族令嬢としては、純潔を保ったことは正しいし誇らしいことだ。キスもそれ以上も旦那様が初めてだなんて胸をはれるはずだ。これからエルベルト様を徐々に好きになればいいなと思った。
しかし、嫁いで数ヶ月……私の心は早くも折れかけていた。エルベルト様と仲良くなれる気がしないのだ。仲良くなるどころか、彼が怖い。ここから逃げたい。
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