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本編
15 親友②【エルベルト視点】
俺は今、領地の森の奥の魔物討伐に来ている。今日が三日目の最終日。順調に倒せているので夕方には家に戻れそうだ。
クリスと身も心も結ばれてから、俺はより一層彼女が愛おしくて堪らなくなった。可愛くて仕方がない。そして甘い彼女を余すことなく愛したい。
今まで我慢していた反動なのか、十代のガキのように盛っている自分に呆れてしまう。華奢な彼女の身体にあまり負担をかけてはいけないと思うが……クリスを前にすると堪えきれなくなるのだ。
「しつこいと嫌われないようにしないとな」
俺は彼女に嫌われたくない。毎日逢っている時は大丈夫だが、数日逢わないとより愛が暴走してしまう。とりあえず落ち着いて……今夜は優しく彼女を愛そうと心に決めて家に帰った。
「旦那様、お帰りなさいませ」
「ああ、オリバー。今、帰った。クリスはどうしたんだ?」
いつも笑顔で出迎えてくれる彼女がいない。それだけで俺の気分は滅入ってしまう。そして……一体どうしたのかと心配になった。
「奥様は来客対応中でございます」
「……来客?」
「はい、ジェフリー様が旦那様に会いに来られていらっしゃいます」
ジェフが来ているだと!? そしてクリスと二人で話していると言うのか。
「ジェフが? チッ……あいつ何の連絡もよこさず、しかも俺がいないタイミングで来やがって」
「旦那様を驚かせたかったそうです」
「あいつらしいな。客間か?」
「はい」
ジェフに会えるのは素直に嬉しい。数年ぶりの親友との再会だし、あいつはクリスとのことを応援してくれていたから。でも、あいつは女たらしだ。クリスに手を出すとは思えないが、それでも二人でいて欲しくない!
俺はドスドスと音を立てながら、急いで客間に向かった。
「んっ……ジェフ様、痛いです」
「初めは痛いんだ、我慢だよ。何度もしてたら柔らかくなるからね」
「ふっ……んんっ……できました」
ちょっと待て。客間から聴こえてくるこの艶かしい妻の声はなんだ?
「ああ、とても上手だよ。でもエルは教えてくれなかったのか?」
何が上手なんだ。何が? まさかジェフの奴……クリスに変なことしてないだろうな。最悪の想像をして俺はサーっと青ざめた。
「教えて……もらってません」
「あいつはだめだな。いいよ、俺が手取り足取り教えてあげる」
俺はそこで我慢できず、バンと扉を開けた。
「クリス! 一体何をしてる…………んだ?」
そこにはクリスが男装のようなパンツスタイルで立っていて、武道の組み合いのようなことをジェフとしていた。もちろん近くには使用人達もいる。
「あ! エル、お帰りなさいませ。ごめんなさい、こんな姿な上にお出迎えもできずに」
彼女はぱぱっと身だしなみを整え、恥ずかしそうに俯いた。
――可愛い。彼女のパンツスタイルは初めて見たがこれはこれでグッとくる。
俺がジーッと見惚れていると、ジェフに背中を強く叩かれた。
「エル、久々の親友にお帰りの言葉ないわけ?」
「……久しぶりだな。だが、なに勝手に来てんだよ。クリスに近付くな。何やってんだ?」
「つれないね。何って護身術だよ。お前なんで教えとかないんだよ。結局いつでも女や子どもが狙われるんだぜ? 身を守るために必要だろ」
俺はギロリとジェフを睨みつけた。とりあえず変なことをしてなくて良かった。
「不機嫌じゃね? あ……俺とクリスティンちゃんが、二人でいけないことしてると思って妬いたんだろー? やらしーな」
「いけないこと?」
クリスはポカンとして首を捻っている。うん……可愛いクリスは何も知らなくていい。ジェフが俺の頬を指でつんつん突きながら、ニヤニヤと笑っているのが腹が立つ。
「クリスには、護衛をつけてるから必要ない。一緒にいる時は俺が守る」
「そーかい、そーかい。でも知っていて損はない。クリスティンちゃん、暴漢に襲われたら攻撃に怯んじゃダメだ。そしてあとはひたすら逃げろ。男なら絶対に下半身、あとは目を狙え」
「は、はい!」
クリスはなかなか物騒なことを教わっているらしい。しかし、確かに知っていてもいいかもしれない。
「抱きつかれた時に腕から抜けるやり方は、さっき練習した通りだからね」
「はい」
「エル! 後ろから抱きつけ。さあ、クリスティンちゃんは復習だよ」
俺は言われるがままそっと後ろから彼女を抱きしめるとひゅっと彼女がしゃがんだと思った瞬間、こつんと顎に頭突きをされた。痛い……
「上手い、上手い! 本来ならここで足を思いっきり踏み抜けば完璧だ。暴漢じゃなくても、これで旦那がまとわりついてうざい時にも逃げられるよ」
こいつはそんな恐ろしいことを言って、ケラケラと笑っている。毎回これをされたら、俺の心が折れる。
「エルにそんなことしませんわ」
「ははは、喧嘩した時に使えるから」
「……お願いだからやめてくれ」
三人で笑い合い、それからクリスは服を着替えてくると部屋に戻って行った。
二人きりになると、ジェフは急に真面目な顔になった。
「おめでとう。お前が幸せそうで安心した」
「ありがとう。お前に一番に伝えられなかったのが、残念だった。長い任務ご苦労だったな」
「ああ。居場所を言うわけには行かなかったからな。クリスティンちゃんには、俺は陛下の側近とだけ言ってある」
「わかった」
この男は、陛下の側近なことは間違いない。だが、本当は王家の密偵だ。今回は他国に数年潜入していた。
ジェフリー・ヒューストンは俺と同じ年で、歴史ある公爵家の三男。剣の腕と社交性の高さ、そして見目麗しい容姿でいくつもの顔と名を使い分け密偵をしている男だ。
そしてその職業柄、堕とせない女はいないと言うほどのプレイボーイだ。色んなことを探る上で『女』が一番大事らしく、調べたい男の女に近付くのが一番手っ取り早いそうだ。男は惚れた女には何でも話してる……らしい。
「でももっと彼女を気をつけてやれ。もし俺が敵でお前の情報を得たいなら、絶対にクリスティンちゃんを狙う。人質としても価値があるしな」
「……わかった。護衛も強化する」
「よかったな。絶対結ばれるのは無理だと思ってたわ」
「ああ。結局……陛下の口添えだがな」
「そうか。でも始まりなんて、なんでもいいじゃねぇか。可愛い嫁が来てこの家も華やかになった。使用人達もみんな嬉しそうだ」
ジェフはニッと笑った後「俺も若い嫁が欲しいわ」と思ってもいないことを言っていた。
クリスと身も心も結ばれてから、俺はより一層彼女が愛おしくて堪らなくなった。可愛くて仕方がない。そして甘い彼女を余すことなく愛したい。
今まで我慢していた反動なのか、十代のガキのように盛っている自分に呆れてしまう。華奢な彼女の身体にあまり負担をかけてはいけないと思うが……クリスを前にすると堪えきれなくなるのだ。
「しつこいと嫌われないようにしないとな」
俺は彼女に嫌われたくない。毎日逢っている時は大丈夫だが、数日逢わないとより愛が暴走してしまう。とりあえず落ち着いて……今夜は優しく彼女を愛そうと心に決めて家に帰った。
「旦那様、お帰りなさいませ」
「ああ、オリバー。今、帰った。クリスはどうしたんだ?」
いつも笑顔で出迎えてくれる彼女がいない。それだけで俺の気分は滅入ってしまう。そして……一体どうしたのかと心配になった。
「奥様は来客対応中でございます」
「……来客?」
「はい、ジェフリー様が旦那様に会いに来られていらっしゃいます」
ジェフが来ているだと!? そしてクリスと二人で話していると言うのか。
「ジェフが? チッ……あいつ何の連絡もよこさず、しかも俺がいないタイミングで来やがって」
「旦那様を驚かせたかったそうです」
「あいつらしいな。客間か?」
「はい」
ジェフに会えるのは素直に嬉しい。数年ぶりの親友との再会だし、あいつはクリスとのことを応援してくれていたから。でも、あいつは女たらしだ。クリスに手を出すとは思えないが、それでも二人でいて欲しくない!
俺はドスドスと音を立てながら、急いで客間に向かった。
「んっ……ジェフ様、痛いです」
「初めは痛いんだ、我慢だよ。何度もしてたら柔らかくなるからね」
「ふっ……んんっ……できました」
ちょっと待て。客間から聴こえてくるこの艶かしい妻の声はなんだ?
「ああ、とても上手だよ。でもエルは教えてくれなかったのか?」
何が上手なんだ。何が? まさかジェフの奴……クリスに変なことしてないだろうな。最悪の想像をして俺はサーっと青ざめた。
「教えて……もらってません」
「あいつはだめだな。いいよ、俺が手取り足取り教えてあげる」
俺はそこで我慢できず、バンと扉を開けた。
「クリス! 一体何をしてる…………んだ?」
そこにはクリスが男装のようなパンツスタイルで立っていて、武道の組み合いのようなことをジェフとしていた。もちろん近くには使用人達もいる。
「あ! エル、お帰りなさいませ。ごめんなさい、こんな姿な上にお出迎えもできずに」
彼女はぱぱっと身だしなみを整え、恥ずかしそうに俯いた。
――可愛い。彼女のパンツスタイルは初めて見たがこれはこれでグッとくる。
俺がジーッと見惚れていると、ジェフに背中を強く叩かれた。
「エル、久々の親友にお帰りの言葉ないわけ?」
「……久しぶりだな。だが、なに勝手に来てんだよ。クリスに近付くな。何やってんだ?」
「つれないね。何って護身術だよ。お前なんで教えとかないんだよ。結局いつでも女や子どもが狙われるんだぜ? 身を守るために必要だろ」
俺はギロリとジェフを睨みつけた。とりあえず変なことをしてなくて良かった。
「不機嫌じゃね? あ……俺とクリスティンちゃんが、二人でいけないことしてると思って妬いたんだろー? やらしーな」
「いけないこと?」
クリスはポカンとして首を捻っている。うん……可愛いクリスは何も知らなくていい。ジェフが俺の頬を指でつんつん突きながら、ニヤニヤと笑っているのが腹が立つ。
「クリスには、護衛をつけてるから必要ない。一緒にいる時は俺が守る」
「そーかい、そーかい。でも知っていて損はない。クリスティンちゃん、暴漢に襲われたら攻撃に怯んじゃダメだ。そしてあとはひたすら逃げろ。男なら絶対に下半身、あとは目を狙え」
「は、はい!」
クリスはなかなか物騒なことを教わっているらしい。しかし、確かに知っていてもいいかもしれない。
「抱きつかれた時に腕から抜けるやり方は、さっき練習した通りだからね」
「はい」
「エル! 後ろから抱きつけ。さあ、クリスティンちゃんは復習だよ」
俺は言われるがままそっと後ろから彼女を抱きしめるとひゅっと彼女がしゃがんだと思った瞬間、こつんと顎に頭突きをされた。痛い……
「上手い、上手い! 本来ならここで足を思いっきり踏み抜けば完璧だ。暴漢じゃなくても、これで旦那がまとわりついてうざい時にも逃げられるよ」
こいつはそんな恐ろしいことを言って、ケラケラと笑っている。毎回これをされたら、俺の心が折れる。
「エルにそんなことしませんわ」
「ははは、喧嘩した時に使えるから」
「……お願いだからやめてくれ」
三人で笑い合い、それからクリスは服を着替えてくると部屋に戻って行った。
二人きりになると、ジェフは急に真面目な顔になった。
「おめでとう。お前が幸せそうで安心した」
「ありがとう。お前に一番に伝えられなかったのが、残念だった。長い任務ご苦労だったな」
「ああ。居場所を言うわけには行かなかったからな。クリスティンちゃんには、俺は陛下の側近とだけ言ってある」
「わかった」
この男は、陛下の側近なことは間違いない。だが、本当は王家の密偵だ。今回は他国に数年潜入していた。
ジェフリー・ヒューストンは俺と同じ年で、歴史ある公爵家の三男。剣の腕と社交性の高さ、そして見目麗しい容姿でいくつもの顔と名を使い分け密偵をしている男だ。
そしてその職業柄、堕とせない女はいないと言うほどのプレイボーイだ。色んなことを探る上で『女』が一番大事らしく、調べたい男の女に近付くのが一番手っ取り早いそうだ。男は惚れた女には何でも話してる……らしい。
「でももっと彼女を気をつけてやれ。もし俺が敵でお前の情報を得たいなら、絶対にクリスティンちゃんを狙う。人質としても価値があるしな」
「……わかった。護衛も強化する」
「よかったな。絶対結ばれるのは無理だと思ってたわ」
「ああ。結局……陛下の口添えだがな」
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