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小学生編
Brand New Day 8
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「パパ、見て! まきくんは男の子だから、あーちゃんやゆみちゃんより大きいと思ったけど、やっぱり小さいんだね。ボクもあんなに小さかったの?」
「あぁ、芽生も小さくて可愛い赤ちゃんだったぞ」
「パパに似ていた?」
「あぁ、とても」
「そっか! ボク、パパに似ていてよかった」
芽生はさっきから夢中で生まれたばかりの赤ちゃんを見つめていた。
俺もケースの中でスヤスヤと眠る赤ちゃんを見ていると、芽生が産まれた日を思い出すよ。
手足をバタバタとよく動かす元気一杯の赤ちゃんで、俺によく似た顔だちで不思議な気分になり、父親となったことに感動していた。
いろいろあったが、芽生と巡り会えて良かった。
芽生がいない生活なんて、考えられないよ。
「あの、宗吾さん、何度見ても生命の誕生って神秘的ですね。僕、感動しました」
瑞樹が可憐な顔を上気させながら胸に手を当てて、うっとりしている。
もしも君が女性を愛していたら、今頃結婚して一児の父になっていただろう。
瑞樹は自分の血を受け継いだ子供に会いたくはないのだろうか。自分の子供を抱きしめてみたくならないのだろうか。
なんだ?
不安なのか……
こんな感情を抱くなんて――
俺の複雑な気持ちを瑞樹は察したようで、柔らかい笑顔を浮かべてくれた。
「あの……宗吾さん、僕は子供が大好きですが、女性をパートナーとしては愛せないので、一生子供とは縁がないと思っていました。でも宗吾さんのお陰で夢が叶いました。最愛の人の子供を抱きしめられる喜びを体験させてもらっています」
「そ、そうか……そんな風に言ってくれるのか」
不安を根こそぎ取り払ってくれる君の優しさが大好きだ。
瑞樹、瑞樹、瑞樹
君を心から愛しているよ!
こんなに人を好きになれるなんて――
君と過ごしていると、俺は本当に生きていて良かったと思える。
「僕は宗吾さんと芽生くんが愛おし過ぎて……あの……僕……重たくないですか」
「ありがとう! もっと重くてもいいぞ、俺は力持ちだ」
力こぶを作って見せると、瑞樹が可憐にくすっと笑ってくれた。
「うーん、相変わらず立派な力こぶですね。あの……僕こそ、ありがとうございます。もしも、もう一度天国の両親に逢えたら……芽生くんを僕たちの子供だと紹介してもいいですか」
「おぉ、本当か! 光栄だよ。もう芽生は俺たちの子だろう」
芽生も同じ気持ちだろう。
本当によく瑞樹に懐いている。
突然の離婚、突然陥った父子家庭。
お互いに必死に頑張った記憶があるから、俺に対して無邪気に甘えられないようだ。だがその分、瑞樹には素直に甘えている。
俺はそれで充分だ、むしろ嬉しいよ。
赤ちゃんを見ていたはずの芽生の視線は、いつしかいっくんと潤に移行していた。眩しそうな表情を浮かべているのを、瑞樹は見逃さなかった。
「芽生くん、こっちにおいでよ」
「うん! お兄ちゃん、赤ちゃんがよく見えないよぅ」
芽生が瑞樹の元に駆け寄ってくる。
「じゃあ抱っこしてあげようか」
「うん! して、して!」
流石にもうそろそろ抱っこは限界だろうが、もう少しだけ……
芽生もそれを知っているから、喜んで抱っこしてもらう。
「見える?」
「うん、あのね……」
「どうしたの?」
「あのね……お兄ちゃんも……潤くんみたいに……自分の赤ちゃん……ほしい?」
うぉ! やっぱり俺の息子だ。
同じこと考えていたなんて――
瑞樹はなんと答えるか。
瑞樹は少し驚き、一呼吸置いてから、芽生を深く抱きしめた。
「僕の赤ちゃんは芽生くんだよ、だからもう僕の夢は叶ったんだ」
「でもボク……もう9歳になっちゃったよ? あー 赤ちゃんに戻りたいよ」
「赤ちゃんはスクスク成長して今の芽生くんになりました! 芽生くん、君は僕の子供だ。そう思っても良いかな?」
「いい! すごくいい! お兄ちゃんの子になる!」
『お兄ちゃんの子』
そんな表現がいい。
芽生も安堵していたが、俺も心からほっとした。
瑞樹と芽生のいない生活なんて、やっぱり考えられない。
****
「パパ、いっくん、ママにあいたいよぅ」
「そうだよな。看護師さんに聞いてくるよ」
「しゅこしでいいからぁ」
「よし、掛け合ってくる」
いっくん、今日は沢山したいことを話してくれるんだな。
今まで我慢してでも良い子でいようという意識が強かったから、良い傾向だ。
もしかして……兄さんが背中を押してくれたのか。
兄さんもオレの家に来てからずっと聞き分けのよい子供だった。だから、きっと……いっくんの気持ちが分かるのだろう。
オレはそんな兄さんが面白くなくて意地悪をしてしまった。何をしても諦めたような寂しい笑顔で怒らないから、どんどんエスカレートしてしまった。
本当にオレは最低最悪の奴だった。兄さんの潤んだ瞳を見れば、嫌がっていることは、幼いオレでもちゃんと分かっていたのに。
兄さんが許してくれたから、今、同じ場所にいられる。
だからこそ、いっくんに同じ思いはさせたくはない。
看護師さんに必死に訴えると、なんとか許可をもらえた。
「いっくん、少しだけ面会できるぞ」
「パパ、しゅごい。パパ、ありがとう」
菫といっくんは一心同体だった。
菫もいっくんにすごく会いたいだろう。
病室に連れて行くと、菫は身体を起こしていた。
さっぱりした顔をしている。
今なら大丈夫そうだな。
「菫、いっくんを連れて来たよ」
「本当? 会いたかった。いっくん、いっくんどこ?」
いっくんは俺の後ろに隠れてしまった。
病室が苦手なのかもしれないな。
「ママの可愛いいっくんはどこ?」
優しい声に誘われるように、いっくんが可愛く微笑んで元気に手をあげた。
だからオレはその背中を優しく押してやる。
兄さんだったらこうするだろうと思ったから。
「はぁい、ここでしゅよ」
「いっくん! おいで」
「ママぁー だいじょうぶ? もう、ポンポンいたくない?」
「うんうん、もう大丈夫よ」
「ママがぶじでよかったぁ」
「いっくん……」
いっくんはそっと菫の手を握り、そこに顔を傾けてほっぺたをくっつけた。そして温もりを確かめるように目を閉じた。
これは、いっくんがママの愛情を確かめる仕草だ。
「ママぁ……ママぁ……まきくん、かわいかったよ。いっくん、おにいちゃんになったよぅ」
思わず涙が零れそうになった。
いっくんはまだ小さい。
心も体も小さい。
スクスク大きく成長できるように、オレがいっくんを大きな傘で守ってあげたい。
菫も同じ気持ちなのだろう。
「あのね、これだけは覚えておいてね。いっくんはお兄ちゃんになったけど、ママの大好きないっくんのままよ」
「ほんと? しょうなの? よかったぁ」
「家族が増えるって、もっともっと幸せが増えていくことなのよ。だから何もこわくないからね」
「うん!」
そうだな。その通りだ。
変化を怖がるいっくんに、そんな風に言ってくれてありがとう。
槙の誕生がもたらす変化は、そうでありたい。
家族で幸せを増やしていこう!
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「あぁ、芽生も小さくて可愛い赤ちゃんだったぞ」
「パパに似ていた?」
「あぁ、とても」
「そっか! ボク、パパに似ていてよかった」
芽生はさっきから夢中で生まれたばかりの赤ちゃんを見つめていた。
俺もケースの中でスヤスヤと眠る赤ちゃんを見ていると、芽生が産まれた日を思い出すよ。
手足をバタバタとよく動かす元気一杯の赤ちゃんで、俺によく似た顔だちで不思議な気分になり、父親となったことに感動していた。
いろいろあったが、芽生と巡り会えて良かった。
芽生がいない生活なんて、考えられないよ。
「あの、宗吾さん、何度見ても生命の誕生って神秘的ですね。僕、感動しました」
瑞樹が可憐な顔を上気させながら胸に手を当てて、うっとりしている。
もしも君が女性を愛していたら、今頃結婚して一児の父になっていただろう。
瑞樹は自分の血を受け継いだ子供に会いたくはないのだろうか。自分の子供を抱きしめてみたくならないのだろうか。
なんだ?
不安なのか……
こんな感情を抱くなんて――
俺の複雑な気持ちを瑞樹は察したようで、柔らかい笑顔を浮かべてくれた。
「あの……宗吾さん、僕は子供が大好きですが、女性をパートナーとしては愛せないので、一生子供とは縁がないと思っていました。でも宗吾さんのお陰で夢が叶いました。最愛の人の子供を抱きしめられる喜びを体験させてもらっています」
「そ、そうか……そんな風に言ってくれるのか」
不安を根こそぎ取り払ってくれる君の優しさが大好きだ。
瑞樹、瑞樹、瑞樹
君を心から愛しているよ!
こんなに人を好きになれるなんて――
君と過ごしていると、俺は本当に生きていて良かったと思える。
「僕は宗吾さんと芽生くんが愛おし過ぎて……あの……僕……重たくないですか」
「ありがとう! もっと重くてもいいぞ、俺は力持ちだ」
力こぶを作って見せると、瑞樹が可憐にくすっと笑ってくれた。
「うーん、相変わらず立派な力こぶですね。あの……僕こそ、ありがとうございます。もしも、もう一度天国の両親に逢えたら……芽生くんを僕たちの子供だと紹介してもいいですか」
「おぉ、本当か! 光栄だよ。もう芽生は俺たちの子だろう」
芽生も同じ気持ちだろう。
本当によく瑞樹に懐いている。
突然の離婚、突然陥った父子家庭。
お互いに必死に頑張った記憶があるから、俺に対して無邪気に甘えられないようだ。だがその分、瑞樹には素直に甘えている。
俺はそれで充分だ、むしろ嬉しいよ。
赤ちゃんを見ていたはずの芽生の視線は、いつしかいっくんと潤に移行していた。眩しそうな表情を浮かべているのを、瑞樹は見逃さなかった。
「芽生くん、こっちにおいでよ」
「うん! お兄ちゃん、赤ちゃんがよく見えないよぅ」
芽生が瑞樹の元に駆け寄ってくる。
「じゃあ抱っこしてあげようか」
「うん! して、して!」
流石にもうそろそろ抱っこは限界だろうが、もう少しだけ……
芽生もそれを知っているから、喜んで抱っこしてもらう。
「見える?」
「うん、あのね……」
「どうしたの?」
「あのね……お兄ちゃんも……潤くんみたいに……自分の赤ちゃん……ほしい?」
うぉ! やっぱり俺の息子だ。
同じこと考えていたなんて――
瑞樹はなんと答えるか。
瑞樹は少し驚き、一呼吸置いてから、芽生を深く抱きしめた。
「僕の赤ちゃんは芽生くんだよ、だからもう僕の夢は叶ったんだ」
「でもボク……もう9歳になっちゃったよ? あー 赤ちゃんに戻りたいよ」
「赤ちゃんはスクスク成長して今の芽生くんになりました! 芽生くん、君は僕の子供だ。そう思っても良いかな?」
「いい! すごくいい! お兄ちゃんの子になる!」
『お兄ちゃんの子』
そんな表現がいい。
芽生も安堵していたが、俺も心からほっとした。
瑞樹と芽生のいない生活なんて、やっぱり考えられない。
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「パパ、いっくん、ママにあいたいよぅ」
「そうだよな。看護師さんに聞いてくるよ」
「しゅこしでいいからぁ」
「よし、掛け合ってくる」
いっくん、今日は沢山したいことを話してくれるんだな。
今まで我慢してでも良い子でいようという意識が強かったから、良い傾向だ。
もしかして……兄さんが背中を押してくれたのか。
兄さんもオレの家に来てからずっと聞き分けのよい子供だった。だから、きっと……いっくんの気持ちが分かるのだろう。
オレはそんな兄さんが面白くなくて意地悪をしてしまった。何をしても諦めたような寂しい笑顔で怒らないから、どんどんエスカレートしてしまった。
本当にオレは最低最悪の奴だった。兄さんの潤んだ瞳を見れば、嫌がっていることは、幼いオレでもちゃんと分かっていたのに。
兄さんが許してくれたから、今、同じ場所にいられる。
だからこそ、いっくんに同じ思いはさせたくはない。
看護師さんに必死に訴えると、なんとか許可をもらえた。
「いっくん、少しだけ面会できるぞ」
「パパ、しゅごい。パパ、ありがとう」
菫といっくんは一心同体だった。
菫もいっくんにすごく会いたいだろう。
病室に連れて行くと、菫は身体を起こしていた。
さっぱりした顔をしている。
今なら大丈夫そうだな。
「菫、いっくんを連れて来たよ」
「本当? 会いたかった。いっくん、いっくんどこ?」
いっくんは俺の後ろに隠れてしまった。
病室が苦手なのかもしれないな。
「ママの可愛いいっくんはどこ?」
優しい声に誘われるように、いっくんが可愛く微笑んで元気に手をあげた。
だからオレはその背中を優しく押してやる。
兄さんだったらこうするだろうと思ったから。
「はぁい、ここでしゅよ」
「いっくん! おいで」
「ママぁー だいじょうぶ? もう、ポンポンいたくない?」
「うんうん、もう大丈夫よ」
「ママがぶじでよかったぁ」
「いっくん……」
いっくんはそっと菫の手を握り、そこに顔を傾けてほっぺたをくっつけた。そして温もりを確かめるように目を閉じた。
これは、いっくんがママの愛情を確かめる仕草だ。
「ママぁ……ママぁ……まきくん、かわいかったよ。いっくん、おにいちゃんになったよぅ」
思わず涙が零れそうになった。
いっくんはまだ小さい。
心も体も小さい。
スクスク大きく成長できるように、オレがいっくんを大きな傘で守ってあげたい。
菫も同じ気持ちなのだろう。
「あのね、これだけは覚えておいてね。いっくんはお兄ちゃんになったけど、ママの大好きないっくんのままよ」
「ほんと? しょうなの? よかったぁ」
「家族が増えるって、もっともっと幸せが増えていくことなのよ。だから何もこわくないからね」
「うん!」
そうだな。その通りだ。
変化を怖がるいっくんに、そんな風に言ってくれてありがとう。
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