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第2章
時が満ちれば 8
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「診察結果を聞かせてくれ」
「本当に話してもいいの?」
赤い髪の女は、ちらりとジョウのことを見て同意を求めた。
「はい、隊長にはすべてを、包み隠さず話してください」
「話せ」
「うん……レントゲンなどの詳しい検査が出来ないけれども、私の見解では王様は『骨肉腫』という病気だと思うの」
「……その……骨肉腫とはどのような病気なのだ?」
聞いたことのない病名だった。
「骨肉腫は骨の悪性腫瘍なの。盛んに運動している活動性の高い少年期に発病することが多いのよ。王様のように膝関節近いところから発生することが多くて」
「それでっ!このままだと王様はどうなるというのだっ!」
つい声を荒らげてしまった。
「放置すると腫瘍の増大に伴って、腫瘍細胞が主に肺に到達して腫瘤を作ってしまって、臓器などに悪性の腫瘍細胞が移ってまうの。肺などに転移しちゃうと、正直もう手の施しようがないの」
「そうなのか……何か治療方法はないのか。この国の王様なのだ。大事なお方なのだ」
「私の国ではね、昔は早い段階で腕や足の切断術が行われていたの」
「何?足の切断だと!そんなの無理だ!王様のお身体にそのような真似は出来ぬ」
「そうよね。それにせっかく足を切断しても、その後に肺転移が現れたりして……そんなに効果がないことが分かって来てね。最近は化学療法といって抗がん薬の発達によって、骨肉腫の患者さんの生存率は著しく改善されて来ているの。だから必ずしも足を切らなくてよくなったの。でもこれはあくまでも私の国での方法なのよ」
「この国にそのような薬はあるのか。ジョウ教えてくれ」
治療法を提案されたことで縋るようにジョウのことを見てしまう。武術に関してならともかく、医学に関しては俺は素人同然だ。
「……いや……この国で出来るのはせいぜい足を切ることだろう。それもかなりの危険を伴う野蛮な行為だ。しかも王様のお身体に傷をつけるなんてご法度だ。だから……無理だ」
沈痛な面持ちでジョウは唸る様に呟いた。
「ああ駄目だ。お身体を傷つけずに治す方法が望ましいのだ」
俺達の様子を見て、赤い髪の女は困ったような顔で言葉を続けた。
「隊長さん分かって頂戴。この国では正直厳しいの。仮に足を切っても助からない確率の方が高い。まだ年若い可愛らしい王様なのに……でも……もしも私の国に一緒に来ることが出来るのなら、助けてあげられるかもしれない」
「何だって? そなたの国へは、どうやって行けばいい?」
「それが分からないの、私がどうやってこの国に来たのか分からない」
「では一体どうしたら良いのか」
「私だって帰りたい!」
一体どうしたら良いのか……これでは、八方塞がりだ。この赤い髪の女がすぐにでも王様を治療してくれると思っていた。それが叶わぬなんて……先ほどキチから受けた辱めを思い出し、唇を血が滲むほど噛みしめてしまった。
「ヨウ、そんなに噛みしめたら血が。やはり何かあったのか」
ジョウの温かい指先が俺の唇をすっと撫でていく。
途端にジョウの指先が赤く染まってしまった。
どこか不吉な光景だ。
「何でもないっ」
「ヨウ、少し落ち着け。今私たちに何が出来るかを考えてみよう。冷静に……」
「本当に話してもいいの?」
赤い髪の女は、ちらりとジョウのことを見て同意を求めた。
「はい、隊長にはすべてを、包み隠さず話してください」
「話せ」
「うん……レントゲンなどの詳しい検査が出来ないけれども、私の見解では王様は『骨肉腫』という病気だと思うの」
「……その……骨肉腫とはどのような病気なのだ?」
聞いたことのない病名だった。
「骨肉腫は骨の悪性腫瘍なの。盛んに運動している活動性の高い少年期に発病することが多いのよ。王様のように膝関節近いところから発生することが多くて」
「それでっ!このままだと王様はどうなるというのだっ!」
つい声を荒らげてしまった。
「放置すると腫瘍の増大に伴って、腫瘍細胞が主に肺に到達して腫瘤を作ってしまって、臓器などに悪性の腫瘍細胞が移ってまうの。肺などに転移しちゃうと、正直もう手の施しようがないの」
「そうなのか……何か治療方法はないのか。この国の王様なのだ。大事なお方なのだ」
「私の国ではね、昔は早い段階で腕や足の切断術が行われていたの」
「何?足の切断だと!そんなの無理だ!王様のお身体にそのような真似は出来ぬ」
「そうよね。それにせっかく足を切断しても、その後に肺転移が現れたりして……そんなに効果がないことが分かって来てね。最近は化学療法といって抗がん薬の発達によって、骨肉腫の患者さんの生存率は著しく改善されて来ているの。だから必ずしも足を切らなくてよくなったの。でもこれはあくまでも私の国での方法なのよ」
「この国にそのような薬はあるのか。ジョウ教えてくれ」
治療法を提案されたことで縋るようにジョウのことを見てしまう。武術に関してならともかく、医学に関しては俺は素人同然だ。
「……いや……この国で出来るのはせいぜい足を切ることだろう。それもかなりの危険を伴う野蛮な行為だ。しかも王様のお身体に傷をつけるなんてご法度だ。だから……無理だ」
沈痛な面持ちでジョウは唸る様に呟いた。
「ああ駄目だ。お身体を傷つけずに治す方法が望ましいのだ」
俺達の様子を見て、赤い髪の女は困ったような顔で言葉を続けた。
「隊長さん分かって頂戴。この国では正直厳しいの。仮に足を切っても助からない確率の方が高い。まだ年若い可愛らしい王様なのに……でも……もしも私の国に一緒に来ることが出来るのなら、助けてあげられるかもしれない」
「何だって? そなたの国へは、どうやって行けばいい?」
「それが分からないの、私がどうやってこの国に来たのか分からない」
「では一体どうしたら良いのか」
「私だって帰りたい!」
一体どうしたら良いのか……これでは、八方塞がりだ。この赤い髪の女がすぐにでも王様を治療してくれると思っていた。それが叶わぬなんて……先ほどキチから受けた辱めを思い出し、唇を血が滲むほど噛みしめてしまった。
「ヨウ、そんなに噛みしめたら血が。やはり何かあったのか」
ジョウの温かい指先が俺の唇をすっと撫でていく。
途端にジョウの指先が赤く染まってしまった。
どこか不吉な光景だ。
「何でもないっ」
「ヨウ、少し落ち着け。今私たちに何が出来るかを考えてみよう。冷静に……」
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