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第2章
今、その時 2
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上手くいかない……焦る思いに心が追い詰められていく。こんな風にじわじわと追い詰められていくのは、もう嫌だ。あの前王との苦痛の日々を思い出してしまう。誰にも言えず夜警の度に前王から躰のつながりを求められた日々。傷ついた躰をどう自分で処置したらよいのか分からず誰にも言えず、耐えて悩み続けた日々のことを……
「くそっ!」
何度挑戦しても、額当てはほとんど動かない。
「一体どうしたらいい?」
途方に暮れ疲れ果て、地面に膝をつき項垂れていると、遠くから草を踏みしめる足音がした。
「……ジョウか」
草むらの茂みから姿を現したのは、やはり俺の想い人のジョウだった。医官の純白の衣が山の木々に映え、精悍な男らしさが満ちている。お前は本当に穢れていない。眩しい位、真っすぐな男だ。
「ヨウどうした?こんなに早くから」
「あぁ……実はお前に知って欲しいことがあってな」
「何だ?」
「今から俺が起こす力を驚かないで見てくれ。これは『雷攻』という秘技だ」
ジョウの前で再び指先から小さな雷を作り、それを腕を通して躰全体に巡らせ、丹田に強く力を込めれば心臓が赤く灯り、それを雷光として一気に放出する。
「はうっ!」
その刹那、俺の躰から稲光が飛び散り、辺りが白く光り輝き、額当てがふわっとその衝撃で動いた。その様子を見ていたジョウは驚いた表情を浮かべた。
「ヨウ……これは一体?」
「俺には生まれつきこのような力が備わっていた」
「何ということだ。そうだったのか……この王国には生まれつき風を起こす力や氷をつくる力、炎を起こす力、そんな様々な力を宿した者がいるのは知っていたが、君もだったのか」
「ジョウ、俺はこの力を師匠からも亡くなった両親からも隠すように言われてきたので秘密にしてきた。ジョウにやっと話すことが出来てほっとしている」
「そうだったのか。私は幼い頃、沢山の異国を父と旅したから、そういう能力の人間が存在することは知っていたよ。それにしても、ヨウ……君の力が『雷攻』とは。やはり何かの縁を感じてしまうな…」
「あぁ……あの赤い髪の女も言っていたな。雷に包まれてこの俺達の世界にやってきたという」
「そうだ。あの赤い髪の女を元の世界へ帰すには、雷の力が必要だと思った。だが自然天候の雷とどうやって歩調を合わせればよいのか分からず、昨日も悩んでいた。あれから様々な異国の書物も読み漁ったが、まだ答えは見つかっていない」
「流石だな、既に調べていたのか。では雷攻の使い方ついて書かれている書物があるかもしれないから、それも調べてくれぬか」
「あぁそうしよう」
その時一陣の風が吹き抜け、俺の額当てが空高く舞った。
「あっ」
飛んでしまう!近衛隊長の証の濃紺の額当てを失くすわけにはいかない。額当ては天高く駆け上がった後、すぅーっと落下して、木の枝にひっかかった。それを取ろうと手を伸ばすと、背後からジョウが手を伸ばし取ってくれた。
「ジョウ、ありがとう」
背後にジョウの温もりを感じるだけで、胸が高鳴ってしまう。それを見越してかジョウもふっと笑って俺の躰を回転させ、木の幹にドンっと押し付けた。
「おい? 何を」
そのまま唇を重ねられた。目を閉じ深呼吸すれば、深い緑の森の湿った空気が俺の胸を満たしてくれた。
清々しい気で満ちてくる。ジョウという男はいつも俺に清らかな気を送ってくれる。ジョウに触れれば触れるほど、躰を繋げればつなげるほど、俺は浄化されていく。
木漏れ日の下でジョウをそっと見上げれば、温かいまなざしと交差した。
「ありがとう……お前はいつも俺の不安を消し去ってくれるな」
「大丈夫だ、ヨウ。共に考えよう。君はもう一人ではないのだから」
「くそっ!」
何度挑戦しても、額当てはほとんど動かない。
「一体どうしたらいい?」
途方に暮れ疲れ果て、地面に膝をつき項垂れていると、遠くから草を踏みしめる足音がした。
「……ジョウか」
草むらの茂みから姿を現したのは、やはり俺の想い人のジョウだった。医官の純白の衣が山の木々に映え、精悍な男らしさが満ちている。お前は本当に穢れていない。眩しい位、真っすぐな男だ。
「ヨウどうした?こんなに早くから」
「あぁ……実はお前に知って欲しいことがあってな」
「何だ?」
「今から俺が起こす力を驚かないで見てくれ。これは『雷攻』という秘技だ」
ジョウの前で再び指先から小さな雷を作り、それを腕を通して躰全体に巡らせ、丹田に強く力を込めれば心臓が赤く灯り、それを雷光として一気に放出する。
「はうっ!」
その刹那、俺の躰から稲光が飛び散り、辺りが白く光り輝き、額当てがふわっとその衝撃で動いた。その様子を見ていたジョウは驚いた表情を浮かべた。
「ヨウ……これは一体?」
「俺には生まれつきこのような力が備わっていた」
「何ということだ。そうだったのか……この王国には生まれつき風を起こす力や氷をつくる力、炎を起こす力、そんな様々な力を宿した者がいるのは知っていたが、君もだったのか」
「ジョウ、俺はこの力を師匠からも亡くなった両親からも隠すように言われてきたので秘密にしてきた。ジョウにやっと話すことが出来てほっとしている」
「そうだったのか。私は幼い頃、沢山の異国を父と旅したから、そういう能力の人間が存在することは知っていたよ。それにしても、ヨウ……君の力が『雷攻』とは。やはり何かの縁を感じてしまうな…」
「あぁ……あの赤い髪の女も言っていたな。雷に包まれてこの俺達の世界にやってきたという」
「そうだ。あの赤い髪の女を元の世界へ帰すには、雷の力が必要だと思った。だが自然天候の雷とどうやって歩調を合わせればよいのか分からず、昨日も悩んでいた。あれから様々な異国の書物も読み漁ったが、まだ答えは見つかっていない」
「流石だな、既に調べていたのか。では雷攻の使い方ついて書かれている書物があるかもしれないから、それも調べてくれぬか」
「あぁそうしよう」
その時一陣の風が吹き抜け、俺の額当てが空高く舞った。
「あっ」
飛んでしまう!近衛隊長の証の濃紺の額当てを失くすわけにはいかない。額当ては天高く駆け上がった後、すぅーっと落下して、木の枝にひっかかった。それを取ろうと手を伸ばすと、背後からジョウが手を伸ばし取ってくれた。
「ジョウ、ありがとう」
背後にジョウの温もりを感じるだけで、胸が高鳴ってしまう。それを見越してかジョウもふっと笑って俺の躰を回転させ、木の幹にドンっと押し付けた。
「おい? 何を」
そのまま唇を重ねられた。目を閉じ深呼吸すれば、深い緑の森の湿った空気が俺の胸を満たしてくれた。
清々しい気で満ちてくる。ジョウという男はいつも俺に清らかな気を送ってくれる。ジョウに触れれば触れるほど、躰を繋げればつなげるほど、俺は浄化されていく。
木漏れ日の下でジョウをそっと見上げれば、温かいまなざしと交差した。
「ありがとう……お前はいつも俺の不安を消し去ってくれるな」
「大丈夫だ、ヨウ。共に考えよう。君はもう一人ではないのだから」
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