46 / 73
第2章
今、その時 3
しおりを挟む
木漏れ日の中……眩しいほどの想いの籠った表情でジョウに見つめられ、甘い口づけを落とされれば、俺の心は幸せで満ち足りていく。
この先も君がいてくれるのなら、俺は人間らしく生きていける。
君が傍にいてくれ俺を想ってくれて、この世の色が変わった。
死んだように過ごしていた俺の日常は、君に口づけされたあの時から色づいた。
君に抱かれた時から、再び生きている喜びを感じ出した。
今、俺の時は穏やかに満ちている。多くは望まない……ジョウさえ傍にいてくれればいい。だから俺を置いて……絶対にどこへも行くな。
「離れがたいが、もう交代の時間だ。行くぞ」
ジョウと別れ一旦部屋に戻り、近衛隊の鎧を身につけ剣を持ち、王宮の警備に向かった。部下と交代の時が迫っている。ところが王宮の門を潜った途端、部下が俺を探していたらしく、血相を変え慌てて近づいて来た。
「隊長っ大変です!」
「一体どうした?」
「王様のお加減が悪いのです、先ほどから高熱でうなされております!」
「何だと!すぐ行く!」
昨夜はお元気そうだったのに……急変するにはまだ早い!それに周りに気が付かれてはならぬ!だが王の寝室へ足を踏み入れた途端背筋が凍った。なんと王様のすぐ横にキチがしたり顔で立っていたのだ。
なんてことだ!俺がジョウと会っている間に、とんでもない失敗を犯してしまった。
「これはこれは美人な近衛隊長殿、何処へおいででしたかな、あなたの到着が遅れたお陰で、私はとても有意義でしたよ」
「な……何を?」
ニヤニヤと絡みつく視線で俺を撫でまわすように見てくる視線を振り払い、キッと睨み返すが、動揺していた。
もしや王様のご病気を知られてしまったのか。ここの警備はどうなっていたのだ。
「誰がキチ殿をここに入れた?」
振り返って部下を見ると、皆蒼白な顔で首を横に振っている。だが一人足りない…?
「隊長殿が信頼している部下にだって裏切り者は存在するわけでねぇ。これはまぁ世の常だ。恨むでない。くくくっ」
笑いながらキチが告げる言葉に、怒りで気が狂いそうになる!何ということだ!
「くそっ!」
一歩また一歩……キチが俺を壁に追い詰めていく。
「王様は重病でしかも死期が近いようですな。私付きの医官が先ほどそう診察しましたよ。くくくっ、これで美人な隊長が私に抱かれる日も間近というわけだ。昨夜はお預けを喰らったわけだから、待ち遠しいものだな」
そう耳元で囁かれて、気が狂いそうになる。嫌だ!もうそのようなことは二度としたくない。ジョウに清められた躰を汚されるなんて、受け入れ難い!無理だ!
「やめろ!」
「諦めた方が賢いですぞ。次の王は私だ」
「まだ王様はご健在だ!」
「死期が近いでないか。もう死んだも同然だ!」
押し問答をしていると、あの赤い髪の女が部屋に押し入って来た。
「あなた達、やめなさい!!」
この先も君がいてくれるのなら、俺は人間らしく生きていける。
君が傍にいてくれ俺を想ってくれて、この世の色が変わった。
死んだように過ごしていた俺の日常は、君に口づけされたあの時から色づいた。
君に抱かれた時から、再び生きている喜びを感じ出した。
今、俺の時は穏やかに満ちている。多くは望まない……ジョウさえ傍にいてくれればいい。だから俺を置いて……絶対にどこへも行くな。
「離れがたいが、もう交代の時間だ。行くぞ」
ジョウと別れ一旦部屋に戻り、近衛隊の鎧を身につけ剣を持ち、王宮の警備に向かった。部下と交代の時が迫っている。ところが王宮の門を潜った途端、部下が俺を探していたらしく、血相を変え慌てて近づいて来た。
「隊長っ大変です!」
「一体どうした?」
「王様のお加減が悪いのです、先ほどから高熱でうなされております!」
「何だと!すぐ行く!」
昨夜はお元気そうだったのに……急変するにはまだ早い!それに周りに気が付かれてはならぬ!だが王の寝室へ足を踏み入れた途端背筋が凍った。なんと王様のすぐ横にキチがしたり顔で立っていたのだ。
なんてことだ!俺がジョウと会っている間に、とんでもない失敗を犯してしまった。
「これはこれは美人な近衛隊長殿、何処へおいででしたかな、あなたの到着が遅れたお陰で、私はとても有意義でしたよ」
「な……何を?」
ニヤニヤと絡みつく視線で俺を撫でまわすように見てくる視線を振り払い、キッと睨み返すが、動揺していた。
もしや王様のご病気を知られてしまったのか。ここの警備はどうなっていたのだ。
「誰がキチ殿をここに入れた?」
振り返って部下を見ると、皆蒼白な顔で首を横に振っている。だが一人足りない…?
「隊長殿が信頼している部下にだって裏切り者は存在するわけでねぇ。これはまぁ世の常だ。恨むでない。くくくっ」
笑いながらキチが告げる言葉に、怒りで気が狂いそうになる!何ということだ!
「くそっ!」
一歩また一歩……キチが俺を壁に追い詰めていく。
「王様は重病でしかも死期が近いようですな。私付きの医官が先ほどそう診察しましたよ。くくくっ、これで美人な隊長が私に抱かれる日も間近というわけだ。昨夜はお預けを喰らったわけだから、待ち遠しいものだな」
そう耳元で囁かれて、気が狂いそうになる。嫌だ!もうそのようなことは二度としたくない。ジョウに清められた躰を汚されるなんて、受け入れ難い!無理だ!
「やめろ!」
「諦めた方が賢いですぞ。次の王は私だ」
「まだ王様はご健在だ!」
「死期が近いでないか。もう死んだも同然だ!」
押し問答をしていると、あの赤い髪の女が部屋に押し入って来た。
「あなた達、やめなさい!!」
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
あなたの隣で初めての恋を知る
彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
【完結済】王子を嵌めて国中に醜聞晒してやったので殺されると思ってたら溺愛された。
うらひと
BL
学園内で依頼をこなしていた魔術師のクリスは大物の公爵の娘からの依頼が入る……依頼内容は婚約者である王子からの婚約破棄!!
高い報酬に目が眩んで依頼を受けてしまうが……18Rには※がついています。
ムーン様にも投稿してます。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる