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第3章
優しい音 2
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夢現で聴いた雪を踏みしめ近づいてくる足音は、俺の部屋の前でぴたりと止まった。部屋の窓をはっと見ると、そこに映る人影に息を呑んだ。
まさか……これは現実なのか。
その人影はそのままもっと近くまでやって来た。
「ヨウ……そこにいるのか」
扉の向こうから懐かしい声が聞こえてくる。
信じられない。間違いない。
あの日俺の腕から抜け落ちるように突然姿を消してしまったジョウ!
君にまた会えるなんて!
俺は……俺は最近もう諦めていたよ。
君を待つ自信がなくなるような辛い日々だったから。
キチはあれから俺の躰を弄び続けている。
俺の持つ雷攻を奪い取ろうと必死になって躰を求めて。
キチが求めるのは俺の力だけ、乱暴に抱かれ俺の躰は悲鳴をあげた。
こんな躰でジョウにもう一度会ってもいいのか。
俺はますます汚れてしまったのに……
そう思うと扉を開けることが出来ない。
扉が重たいんだ……
「ヨウ……私だ、ジョウだ。どうした? そこにいるのだろう? 早くこの扉を開けてくれ」
「……本当に……ジョウなのか」
「あぁ。私だ」
「ジョウ……ジョウ……」
それでもジョウを見たい。触れたい気持ちが溢れ出す。
「ヨウ……扉を開けてくれ。やっと帰って来られたよ。君の元に」
今すぐ扉を開けてジョウの胸に飛び込みたい。そんな衝動に駆られるが、自分の躰に付けられたキチの印を思い出し躊躇してしまう。
俺は結局、近衛隊長として新しい王・キチの命に背くことは出来ず、前王と同じように躰を求められるがままに差し出すしか術がなかった。この身を呪った。何故逆らえない。何故……何故なんだ。
せっかくお前が救ってくれた俺の躰は、また汚れきってしまっている。だから、こんな姿……見せる資格なんてない。
「駄目だ。お前に合わせる顔がない……俺の躰はもう」
「ヨウ……大丈夫だ。何も言わなくても大丈夫だ。それ以上、自分を責めるな」
「ジョウ……だが俺は……キチに」
「辛かったな。傍にいてやれなくてすまなかった。もっと早く戻ってきたかったのに、身動きが取れない世界に飛ばされてしまっていたんだ。ヨウ……君が俺を呼ぶ声はいつも聴こえていたよ。君の身に起こったこともすべて理解している。構わないヨウ。私はどんなヨウでも……生きていてくれさえすれば、それが一番だ。恥じるな。ヨウは何もしてない、悪くない……悪いのは傍にいてやれなかった私の方だ! 助けてやれなかった私の方だ。何度血の涙を流したことか!」
ジョウがなだめるように話しかけてくる。
その温かい思いやりの籠った言葉に胸が詰まるよ。
震える手を扉に添えて……俺は確認するようにジョウに問う。
「ジョウ……いいのか。こんな汚れた躰になり果てた俺でも……本当にいいのか」
「当たり前だ、いい加減に早く開けろ。さもないと扉を打ち破るぞ!」
「分かった」
躊躇いがちに扉を開けると、粉雪がふわっと部屋に舞い込んできた。
雪は白い花びらのように俺の周りを舞っている。
白くひんやりとした美しい世界だ。
粗末な小屋が一瞬にして穢れなき世界に変化したかのような美しさだった。
そしてその奥に、ずっと逢いたかった……ずっと触れたかった俺のジョウが立っていた。
穏やかな目で俺を見つめてくれている。
少しも変らぬ笑みを浮かべ、俺にまた手を差し出しれくれる。
「ヨウ、待たせたな」
「ジョウっ!」
まさか……これは現実なのか。
その人影はそのままもっと近くまでやって来た。
「ヨウ……そこにいるのか」
扉の向こうから懐かしい声が聞こえてくる。
信じられない。間違いない。
あの日俺の腕から抜け落ちるように突然姿を消してしまったジョウ!
君にまた会えるなんて!
俺は……俺は最近もう諦めていたよ。
君を待つ自信がなくなるような辛い日々だったから。
キチはあれから俺の躰を弄び続けている。
俺の持つ雷攻を奪い取ろうと必死になって躰を求めて。
キチが求めるのは俺の力だけ、乱暴に抱かれ俺の躰は悲鳴をあげた。
こんな躰でジョウにもう一度会ってもいいのか。
俺はますます汚れてしまったのに……
そう思うと扉を開けることが出来ない。
扉が重たいんだ……
「ヨウ……私だ、ジョウだ。どうした? そこにいるのだろう? 早くこの扉を開けてくれ」
「……本当に……ジョウなのか」
「あぁ。私だ」
「ジョウ……ジョウ……」
それでもジョウを見たい。触れたい気持ちが溢れ出す。
「ヨウ……扉を開けてくれ。やっと帰って来られたよ。君の元に」
今すぐ扉を開けてジョウの胸に飛び込みたい。そんな衝動に駆られるが、自分の躰に付けられたキチの印を思い出し躊躇してしまう。
俺は結局、近衛隊長として新しい王・キチの命に背くことは出来ず、前王と同じように躰を求められるがままに差し出すしか術がなかった。この身を呪った。何故逆らえない。何故……何故なんだ。
せっかくお前が救ってくれた俺の躰は、また汚れきってしまっている。だから、こんな姿……見せる資格なんてない。
「駄目だ。お前に合わせる顔がない……俺の躰はもう」
「ヨウ……大丈夫だ。何も言わなくても大丈夫だ。それ以上、自分を責めるな」
「ジョウ……だが俺は……キチに」
「辛かったな。傍にいてやれなくてすまなかった。もっと早く戻ってきたかったのに、身動きが取れない世界に飛ばされてしまっていたんだ。ヨウ……君が俺を呼ぶ声はいつも聴こえていたよ。君の身に起こったこともすべて理解している。構わないヨウ。私はどんなヨウでも……生きていてくれさえすれば、それが一番だ。恥じるな。ヨウは何もしてない、悪くない……悪いのは傍にいてやれなかった私の方だ! 助けてやれなかった私の方だ。何度血の涙を流したことか!」
ジョウがなだめるように話しかけてくる。
その温かい思いやりの籠った言葉に胸が詰まるよ。
震える手を扉に添えて……俺は確認するようにジョウに問う。
「ジョウ……いいのか。こんな汚れた躰になり果てた俺でも……本当にいいのか」
「当たり前だ、いい加減に早く開けろ。さもないと扉を打ち破るぞ!」
「分かった」
躊躇いがちに扉を開けると、粉雪がふわっと部屋に舞い込んできた。
雪は白い花びらのように俺の周りを舞っている。
白くひんやりとした美しい世界だ。
粗末な小屋が一瞬にして穢れなき世界に変化したかのような美しさだった。
そしてその奥に、ずっと逢いたかった……ずっと触れたかった俺のジョウが立っていた。
穏やかな目で俺を見つめてくれている。
少しも変らぬ笑みを浮かべ、俺にまた手を差し出しれくれる。
「ヨウ、待たせたな」
「ジョウっ!」
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