黒の陰陽師

文月くー

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第二章 戦争

第四十七話 代償

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俺は気付くと、また、真っ暗な部屋にいた。

(ここは……心の中か。)

でも、なんで?
俺は殺されたはずじゃ?

「君は死んでないよ。、ね」

「お前か。」

そこにいたのは、俺とそっくりの怨怪だった。

「死んでないとはどういう事だ?」

俺が聞くと、怨怪はコロコロと笑いながら、答える。

「君は今、僕の力で、ほんの一瞬死なないようにしているのさ。」

そうか、こいつお陰って訳か。

「でも、まだ死ぬと言う未来を変えられることは出来るよ。」

「どういう事だ?」

すると、怨怪は一切の笑みを消し、俺を見つめこう告げる。

「僕に代償を、君の何かを差し出して。差し出すものが大きくなればなるほど、君にもたらす力は肥大するよ。」

何かを…。

「分かった。俺はお前に半端な優しさをやるよ。」

「いいよ。じゃあ、また、ね。」

俺はまた深い眠りについたのだった。



◇◇◇




「あっけなかったですね。」

そう月詠は呟くと、結界を解くように部下に指示する。
しかし、その指示は失敗だった。

「…いってぇなぁ。」

「?!」

主は眠ってて。僕がやってあげるよ。

「さて、殺そうかな?」ビキビキ

僕は無月を構える。

「怨眼…!貴方は、私が殺したはずですよ?」

「ピーピーうるさいよ。君達は『僕』に殺されるんだから。」

しかし、十禍将達も今の燐が、堕天将だと言うことが分かったのだろう。

「この感じ、堕天将ですか。」

「うん。でも、君達は主の敵でしょ?なら殺さなくちゃ。」

その言葉に理解できないようで、月詠が、問う。

「何故、貴方は十二天翼の味方をするのですか?」

「え?もちろん、僕が、燐を好きになっちゃったからかな?」

「そうですか。」

その言葉に、堕天将は頷くと、

「それじゃあ、第2ラウンドといこうか?」


精鋭部隊〝影〟の、到着30分前の事だった。
    
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