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20章
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20.章 聖女の奇跡
─その同時刻のこと。
王太后の私邸の寝室にて。王太后は病で、ふせっていた。
そこに、ローレライ•ローレンスは聖女として、王太后に治癒の祈りを捧げている。
神から与えられる、慈悲の温かい光が、暗い病人の寝室に広がった。
王太后は目を覚ます。
「わたくしは…。」
側で見ていた、王太子リアルは、
この奇跡を目の当たりにして、言いようのない感銘を受けていた。
「ありがとう聖女ローレライ、君が聖女だったなんて。なんとお礼をしていいか。」
「そんな。もったいないお言葉。私はこの国のためにお役に立ちたいと願っておりました。」
リアルは感激しきりで、聖女ローレライに何かを返したいと、望んでいた。
「どうか、お祖母様の治癒のお礼をかねて、君を夜会に招きたいんだが。」
聖女ローレライは恐縮して答える。
「それは…カリナが誤解すると、悪いので辞退させてください。」
「そんな事気にする必要はない。これはお礼なのだから。」
─その晩
王太后の回復祝いもかねて、夜会は盛大に開かれた。
にぎわう、夜会の会場を離れて、
リアル王太子と聖女ローレライは、バルコニーで語らっている。
「聖女ローレライ、君を、お妃候補から外すなんて、王妃はなんて見る目が無いのだろう。」
「もったいない、お言葉です。」
「ありがとう。君のような人を僕は待っていたのかもしれない…」
王太子リアルと聖女ローレライは、人目を避けるように、バルコニーのすみで庭園を見ていた。
「聖女ローレライ、君は僕の事どう思っている?」
「そ…れは、敬愛しております。」
「そう、ではなくて。」
「あ…あの、親友のカリナが嫉妬すると悪いですから、今日はもう…おいとまします。」
そこで召使がリアルに何事かを伝えに、控えている。
「なんだ?」
王太子が尋ね、召使は話しだす。
「それが、婚約者のカリナ•オルデウス様がいらっしゃっています。」
王太子リアルは訝しがる。
「…?なぜカリナがこんな時間に?」
リアルの夜会に、カリナは招かれてはいなかった。
しかし、緊急事態のため突然、カリナは訪ねて行く。
「王太子様、突然お訪ねして申し訳わけありません。
実はこの度、大変なことが分かりまして。
…こちらです。」
そう言って、カリナは例の行商人が見せた、薬草の伝票を見せた。
王太子は不審がって、カリナを見返した。
「コレは何なのだ、ローレライの署名があるが。」
「実は、ローレライが王太后様に、例の薬草を飲ませるよう、画策していたことが分かりまして…。」
王太子リアルは、ワナワナと怒りで震えだす。
「そなた、自分が何を言っているのか、分かっているのか?!」
「本当です!信じて下さい。」
カリナは必死で訴える。
しかし、カリナはハッとする。
王太子リアルの後ろに、ローレライその人が、控えていたからだった。
「ローレライ…どうしてここに…。」
王太子リアルはカリナに告げる。
「聖女ローレライは、王太后に治癒の祈りを与えてくれたんだ。」
王太子リアルは、ふっと寂しげに笑った。
「そのおかげで、今日、お祖母様は目を覚ましたんだ。」
だが、王太子リアルは、急に表情を変え、怒りで声を震わす。
「それなのに、君は今の今まで何をしていたんだ!」
カリナは力無く、呟く。
「聖女…ローレライ…」
知らなかった、ローレライが聖女に目覚めていたなんて。
王太子はなおも、カリナを責める。
「カリナ、君は嫉妬に狂って、聖女ローレライをおとしめようと、しているんだな。」
「お願いです。信じて下さい!」
「こ…こちらに、証人の行商人の女もいます!!」
行商人の女が引っ立てられて来る。
しかし、この女はこう言って、王太子を捲し立てる。
「王子さま、騙されちゃいけない!!
アタイは、このカリナとかいう女に、頼まれて嘘の証言をするよう、ここに連れてこられたのさ!!」
カリナは悲鳴のように、叫んだ。
「あなた…!!なんてこというの?!!」
王太子リアルは、侮蔑の表情を浮かべ、カリナに言った。
「カリナ、君には失望したよ。」
そして、静かに宣言する。
「誰か、この者を独房に入れておけ」
そう言うと、衛兵はカリナを拘束する。
カリナは衛兵に引っ立てられていく。
「待って下さい!お願いします!」
そこに聖女ローレライが割って入った。
「王太子様!」
「カリナを責めないで下さい。王太子様の愛を失うのが怖くて、このようなことを、しでかしたのです。」
王太子は聖女ローレライの話しに耳を傾ける。
「どうか、処罰などはお考えにならないで、一生のお願いでございます。」
王太子リアルはその言葉に感動している。
「ローレライ君はなんて素晴らしい人なんだ。」
そして考えを変えた。
「わかった。この女の罪は許そう。」
王太子はカリナをキッと睨みつけ、こう言った。
「だが、このような王太子妃は、ごめんだ。」
そう言って、カリナの腕を乱暴に引っ張る。
「今、ちょうど夜会中だ。」
そう言うと、夜会の会場の中心に、強引にカリナを引っ張っていく。
会場の聴衆は何事かと、王太子たちを眺めている。
「今宵、この時をもって、
カリナ•オルデウスとの、
婚約を破棄させてもらう!!」
ざわつく会場、ほくそ笑む、聖女が見えた。
カリナは絶望で目の前が、真っ暗になる。
頭の中は、ひとつの言葉がぐるぐると回る。
『もう、愛も何も、信じない。』
─ひとまず、
王妃の嘆願のおかげもあり、
カリナ•オルデウスの王太后、毒殺騒ぎは、証拠不十分として、不問となった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
あとがき
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
と思ったら
下にある⭐︎⭐︎⭐︎から、作品の応援お願いいたします。
面白くても、つまらなくても、正直に感じた気持ちをコメント頂けると、今後につながるのでありがたいです。
『お気に入り』もいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
─その同時刻のこと。
王太后の私邸の寝室にて。王太后は病で、ふせっていた。
そこに、ローレライ•ローレンスは聖女として、王太后に治癒の祈りを捧げている。
神から与えられる、慈悲の温かい光が、暗い病人の寝室に広がった。
王太后は目を覚ます。
「わたくしは…。」
側で見ていた、王太子リアルは、
この奇跡を目の当たりにして、言いようのない感銘を受けていた。
「ありがとう聖女ローレライ、君が聖女だったなんて。なんとお礼をしていいか。」
「そんな。もったいないお言葉。私はこの国のためにお役に立ちたいと願っておりました。」
リアルは感激しきりで、聖女ローレライに何かを返したいと、望んでいた。
「どうか、お祖母様の治癒のお礼をかねて、君を夜会に招きたいんだが。」
聖女ローレライは恐縮して答える。
「それは…カリナが誤解すると、悪いので辞退させてください。」
「そんな事気にする必要はない。これはお礼なのだから。」
─その晩
王太后の回復祝いもかねて、夜会は盛大に開かれた。
にぎわう、夜会の会場を離れて、
リアル王太子と聖女ローレライは、バルコニーで語らっている。
「聖女ローレライ、君を、お妃候補から外すなんて、王妃はなんて見る目が無いのだろう。」
「もったいない、お言葉です。」
「ありがとう。君のような人を僕は待っていたのかもしれない…」
王太子リアルと聖女ローレライは、人目を避けるように、バルコニーのすみで庭園を見ていた。
「聖女ローレライ、君は僕の事どう思っている?」
「そ…れは、敬愛しております。」
「そう、ではなくて。」
「あ…あの、親友のカリナが嫉妬すると悪いですから、今日はもう…おいとまします。」
そこで召使がリアルに何事かを伝えに、控えている。
「なんだ?」
王太子が尋ね、召使は話しだす。
「それが、婚約者のカリナ•オルデウス様がいらっしゃっています。」
王太子リアルは訝しがる。
「…?なぜカリナがこんな時間に?」
リアルの夜会に、カリナは招かれてはいなかった。
しかし、緊急事態のため突然、カリナは訪ねて行く。
「王太子様、突然お訪ねして申し訳わけありません。
実はこの度、大変なことが分かりまして。
…こちらです。」
そう言って、カリナは例の行商人が見せた、薬草の伝票を見せた。
王太子は不審がって、カリナを見返した。
「コレは何なのだ、ローレライの署名があるが。」
「実は、ローレライが王太后様に、例の薬草を飲ませるよう、画策していたことが分かりまして…。」
王太子リアルは、ワナワナと怒りで震えだす。
「そなた、自分が何を言っているのか、分かっているのか?!」
「本当です!信じて下さい。」
カリナは必死で訴える。
しかし、カリナはハッとする。
王太子リアルの後ろに、ローレライその人が、控えていたからだった。
「ローレライ…どうしてここに…。」
王太子リアルはカリナに告げる。
「聖女ローレライは、王太后に治癒の祈りを与えてくれたんだ。」
王太子リアルは、ふっと寂しげに笑った。
「そのおかげで、今日、お祖母様は目を覚ましたんだ。」
だが、王太子リアルは、急に表情を変え、怒りで声を震わす。
「それなのに、君は今の今まで何をしていたんだ!」
カリナは力無く、呟く。
「聖女…ローレライ…」
知らなかった、ローレライが聖女に目覚めていたなんて。
王太子はなおも、カリナを責める。
「カリナ、君は嫉妬に狂って、聖女ローレライをおとしめようと、しているんだな。」
「お願いです。信じて下さい!」
「こ…こちらに、証人の行商人の女もいます!!」
行商人の女が引っ立てられて来る。
しかし、この女はこう言って、王太子を捲し立てる。
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アタイは、このカリナとかいう女に、頼まれて嘘の証言をするよう、ここに連れてこられたのさ!!」
カリナは悲鳴のように、叫んだ。
「あなた…!!なんてこというの?!!」
王太子リアルは、侮蔑の表情を浮かべ、カリナに言った。
「カリナ、君には失望したよ。」
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カリナは衛兵に引っ立てられていく。
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「王太子様!」
「カリナを責めないで下さい。王太子様の愛を失うのが怖くて、このようなことを、しでかしたのです。」
王太子は聖女ローレライの話しに耳を傾ける。
「どうか、処罰などはお考えにならないで、一生のお願いでございます。」
王太子リアルはその言葉に感動している。
「ローレライ君はなんて素晴らしい人なんだ。」
そして考えを変えた。
「わかった。この女の罪は許そう。」
王太子はカリナをキッと睨みつけ、こう言った。
「だが、このような王太子妃は、ごめんだ。」
そう言って、カリナの腕を乱暴に引っ張る。
「今、ちょうど夜会中だ。」
そう言うと、夜会の会場の中心に、強引にカリナを引っ張っていく。
会場の聴衆は何事かと、王太子たちを眺めている。
「今宵、この時をもって、
カリナ•オルデウスとの、
婚約を破棄させてもらう!!」
ざわつく会場、ほくそ笑む、聖女が見えた。
カリナは絶望で目の前が、真っ暗になる。
頭の中は、ひとつの言葉がぐるぐると回る。
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王妃の嘆願のおかげもあり、
カリナ•オルデウスの王太后、毒殺騒ぎは、証拠不十分として、不問となった。
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