11 / 69
21章
しおりを挟む
21.章 リアルの独白
アルドリア国王の居城─
王宮の小道には、雑草が生い茂り。漆喰の剥がれは、もう何年も補修がみてとれない。
庭の手入れも簡素で、よく見ると、この国の窮状が見てとれた。
国王の執務室だけは、豪奢な内装だが、どう見ても召使は少ないようだ。
国王の執務室で、王太子リアルは、国王にお叱りをうけていた。
「聖女と仲良くするのはいい。
だが、カリナ•オルデウスとの婚約破棄までは、やり過ぎだ!
ただでさえ、オルデウス家は、クセがあって厄介だと言うのに。」
そこまで言うと、王太子リアルに詰問する。
「何より婚約破棄の違約金を、どう支払うつもりだ。」
「リアル、お前のおばあさま、王太后の長年の度重なる浪費で、我が国の国庫は危機的状況にある。
正直、国庫は空に近いと言っていい。今戦争などふっかけられたら─。」
─所詮、この世は金、金、金。
それは、王太子の身分になっても変わらない。
嫌な時代に生まれたものだ。
リアル王太子は、頭のなかで毒づきながら国王の話をきいている。
─カリナ•オルデウスと結婚しろ、
父上がそう言われたからでしょう?
リアルは結婚について、なんの感想も持っていなかった。しろと言われたからする。その程度のものだった。
ただ、カリナを愛する、ふりは出来た。
というより、彼は誰も愛していなかった。
国王は、お妃候補の中で、1番金が、かからなそうだ、という理由でカリナを選んだ。
王太子リアルのカリナ•オルデウスに対する感想は、
容姿は悪くないが、
本ばかり読む、変人だった。
だが、それは好都合、浮気もしなければ、浪費もしないだろう。
男慣れもしていない、操作するのにちょうど良さそうだと思っていた。
女は愛がないと、金を浪費する、
それが彼が祖母から学んだ経験則だった。
だから、リアルはカリナを愛しているふりができていた。
カリナなら無駄遣いせず倹約家で、研究家だから賢そうだ。実家で虐げられているから、我慢強いだろうとふんでいた。
冷たいだろうが、そう踏んでいた。
彼にとって、意外だったのは、国王に婚約破棄を反対されたことだった。
あんな醜聞もちの女なんか、もうどうでも良いだろうと、思っていたからだった。
しかしそれは、社会を知らない子供の浅はかさで、何事にも、手続きや手順が必要。
根回しもなしに、婚約破棄など、してはいけない事だった。
王太子リアルはため息をつく。
正直、カリナには飽きていた。その上での毒殺騒動、わずらわしさに拍車がかかった。
だからこそ聖女ローレライに、ふらついたのだ。
しかし、そうだからといって、ローレライを愛していたのかというと、それも怪しかった。
今だけ、金だけ、自分だけ、
彼にとってそれが全てだった。
婚約破棄の違約金を節約するため、
王国が出した結論は、カリナに無実の罪を着せて、殺すことだった。
つまり、カリナ•オルデウスの不貞はでっちあげられ、無実の罪を着せられ、死刑判決をうけるという事だった。
カリナの家族もまた、王族殺しの醜聞よりは、不貞での有罪の方が都合が良かった。
これ幸いと、死刑に抗議するでもなく、彼女の冤罪を受け入れた。
カリナのまわりの人間が、もう少しでも、優しければ、そんな事には、ならなかったかもしれない。
しかし、そうはならなかった、それだけの事だった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
あとがき
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
と思ったら
下にある⭐︎⭐︎⭐︎から、作品の応援お願いいたします。
面白くても、つまらなくても、正直に感じた気持ちをコメント頂けると、今後につながるのでありがたいです。
『お気に入り』もいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
アルドリア国王の居城─
王宮の小道には、雑草が生い茂り。漆喰の剥がれは、もう何年も補修がみてとれない。
庭の手入れも簡素で、よく見ると、この国の窮状が見てとれた。
国王の執務室だけは、豪奢な内装だが、どう見ても召使は少ないようだ。
国王の執務室で、王太子リアルは、国王にお叱りをうけていた。
「聖女と仲良くするのはいい。
だが、カリナ•オルデウスとの婚約破棄までは、やり過ぎだ!
ただでさえ、オルデウス家は、クセがあって厄介だと言うのに。」
そこまで言うと、王太子リアルに詰問する。
「何より婚約破棄の違約金を、どう支払うつもりだ。」
「リアル、お前のおばあさま、王太后の長年の度重なる浪費で、我が国の国庫は危機的状況にある。
正直、国庫は空に近いと言っていい。今戦争などふっかけられたら─。」
─所詮、この世は金、金、金。
それは、王太子の身分になっても変わらない。
嫌な時代に生まれたものだ。
リアル王太子は、頭のなかで毒づきながら国王の話をきいている。
─カリナ•オルデウスと結婚しろ、
父上がそう言われたからでしょう?
リアルは結婚について、なんの感想も持っていなかった。しろと言われたからする。その程度のものだった。
ただ、カリナを愛する、ふりは出来た。
というより、彼は誰も愛していなかった。
国王は、お妃候補の中で、1番金が、かからなそうだ、という理由でカリナを選んだ。
王太子リアルのカリナ•オルデウスに対する感想は、
容姿は悪くないが、
本ばかり読む、変人だった。
だが、それは好都合、浮気もしなければ、浪費もしないだろう。
男慣れもしていない、操作するのにちょうど良さそうだと思っていた。
女は愛がないと、金を浪費する、
それが彼が祖母から学んだ経験則だった。
だから、リアルはカリナを愛しているふりができていた。
カリナなら無駄遣いせず倹約家で、研究家だから賢そうだ。実家で虐げられているから、我慢強いだろうとふんでいた。
冷たいだろうが、そう踏んでいた。
彼にとって、意外だったのは、国王に婚約破棄を反対されたことだった。
あんな醜聞もちの女なんか、もうどうでも良いだろうと、思っていたからだった。
しかしそれは、社会を知らない子供の浅はかさで、何事にも、手続きや手順が必要。
根回しもなしに、婚約破棄など、してはいけない事だった。
王太子リアルはため息をつく。
正直、カリナには飽きていた。その上での毒殺騒動、わずらわしさに拍車がかかった。
だからこそ聖女ローレライに、ふらついたのだ。
しかし、そうだからといって、ローレライを愛していたのかというと、それも怪しかった。
今だけ、金だけ、自分だけ、
彼にとってそれが全てだった。
婚約破棄の違約金を節約するため、
王国が出した結論は、カリナに無実の罪を着せて、殺すことだった。
つまり、カリナ•オルデウスの不貞はでっちあげられ、無実の罪を着せられ、死刑判決をうけるという事だった。
カリナの家族もまた、王族殺しの醜聞よりは、不貞での有罪の方が都合が良かった。
これ幸いと、死刑に抗議するでもなく、彼女の冤罪を受け入れた。
カリナのまわりの人間が、もう少しでも、優しければ、そんな事には、ならなかったかもしれない。
しかし、そうはならなかった、それだけの事だった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
あとがき
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
と思ったら
下にある⭐︎⭐︎⭐︎から、作品の応援お願いいたします。
面白くても、つまらなくても、正直に感じた気持ちをコメント頂けると、今後につながるのでありがたいです。
『お気に入り』もいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
2
あなたにおすすめの小説
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた
ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。
シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。
そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。
恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。
気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。
悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました
神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。
5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。
お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。
その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。
でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。
すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……?
悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。
※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
※少し設定が緩いところがあるかもしれません。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
転生ガチャで悪役令嬢になりました
みおな
恋愛
前世で死んだと思ったら、乙女ゲームの中に転生してました。
なんていうのが、一般的だと思うのだけど。
気がついたら、神様の前に立っていました。
神様が言うには、転生先はガチャで決めるらしいです。
初めて聞きました、そんなこと。
で、なんで何度回しても、悪役令嬢としかでないんですか?
目覚めたら大好きなアニメの悪役令嬢でしたが、嫌われないようにしただけなのに全員から溺愛されています
月影みるく
恋愛
目を覚ましたら、大好きだったアニメの世界。
しかも私は、未来で断罪される運命の悪役令嬢になっていた。
破滅を回避するために決めたことはただ一つ――
嫌われないように生きること。
原作知識を頼りに穏やかに過ごしていたはずなのに、
なぜか王族や騎士、同年代の男女から次々と好意を向けられ、
気づけば全員から溺愛される状況に……?
世界に一人しかいない光属性を持つ悪役令嬢が、
無自覚のまま運命と恋を変えていく、
溺愛必至の異世界転生ラブファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる