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第2章
第23話 ハルネの夜更け
「あ、お姉ちゃん、おかえり~。 もう、おーそーいー」
香房に入るや否や、シャリエナに文句を言われる。
いや~、悪かったってば、妹よ。
こっちも色々あったのさ。
……………
西街端のドルマール商会から馬車で小一時間。
サフラン香房に帰ってきた時には、とっぷり日が暮れていた。
南街商店街の店らも、さあ今日も店仕舞い、明日もまたがんばるぞという空気が踊っていた。
帰りの道中、オジさまは終始気まずそうで、でもあたしは一生懸命話しかけて。
時折「……ああ」と返してくれるオジさまの声が、やっぱり胸を弾ませた。
香房が見える所まで来たところで「明日もまた来る」とだけ言い残し、オジさまは帰ってしまった。
調査局に帰って、またお仕事するのかな?
……………
「ただいま、シャリエナ。 ごめんね、遅くなっちゃった」
「ホントだよ、もー。 こっちも大変だったんだからね」
「ホントっスよ、もー。 こっちも大変だったんスから」
え? 誰?
シャリエナの声にかぶせてくる、この軽い口調は……
「あら、レルガさん」
「お帰りなさいやし、ハル姐さん。 お世話になってやス」
よく見ればレルガさんはモップを持っている。
どうやらお店の掃除を手伝ってくれていたみたい。
「もしかしてずっとお店の片づけ、手伝ってくれてたんですか?」
「へい。 合間に調査に出たりはしたんスけど、どうしても、と頼まれやして……」
「そうだよ。 お姉ちゃん、朝から出てっちゃうし。 わたし一人じゃ片付け大変なんだから」
どうやらあたしの予想通り、レルガさんを手伝わせてたみたい。
「レルガさん、ここにいてていいんですか?」
「いえ、そろそろお暇をば。 ここにいるのも仕事っちゃあ仕事なんスけど、報告もしなきゃでスし、それに、ハル姐さんも無事帰ってきたッスから」
片付けの礼にご飯でもと思ったが……
「そういえば、オジさま……ヴァルグレイさんとすぐそこで別れたばっかなんですけど、報告するとかならまだ追いつくんじゃ……?」
「っ! そうなんスね! じゃあこれでお暇しやス! ハル姐さん、エナ姐さん、またいずれ!」
手に持ったモップを渡され、忙しなく出ていくレルガさん。
「あらら、慌ただしい」
「レルガさん、いっぱい手伝ってくれたよ。 今度お礼しなきゃだね」
「そうね。 改めて、ただいま、シャリエナ。 何か変わった事あった?」
「あ、うん。 お母さん戻ってきたよ」
なぬっ!?
「えっ!? ウチに戻ってきてたの!?」
「うん。 荷物持ってすぐ出て行っちゃったけど。 あ、それ、お土産のチキン」
そう言って、シャリエナがカウンターの鶏肉を指差す。
「なんだ~~……やっぱりお母さんが黒幕なんて、考えが突飛過ぎたかぁ」
もしもお母さんが黒幕だったなら、当然ここに戻ってくるはずもない。
のんきにお土産なんかも置いてくハズも無い。
リゼラちゃんの言った通りだった。
あの母がそんな事をするはずも無かった。
「お姉ちゃん、お母さん疑ってたの?? さすがにそれは無いよ~」
「そうよね~……今落ち着いて考えたらそんなことあり得なかったわ」
ま、元気ならいいや。
「ねえねえ、そんなことよりお姉ちゃん。 さっきの口ぶりだとヴァルグレイさんと一緒だったんでしょ?」
シャリエナが、わくわくと言った空気を出しながら笑顔で聞いてくる。
「ええ、そうね……ずっと、オジさまと一緒にいたわ」
「ええ~~、なんでなんで? 聞かせてよー?」
この子も好きだねぇ。
そういえばコイバナなんて、あたしは当然の事ながら、シャリエナ自身にも聞いた事ないし、そういう話に飢えてるのかも。
……恋多き母は例外。
「うん、そうね。 じゃ、ご飯作りながら話しましょうか? シャリエナの方の話もね?」
「うん!」
今日は、どうしようかな。
カウンターの鶏肉を見て、ハーブチキンにしようと決める。
ふふふ、ウチのハーブチキンは一味違うわよ。
何しろウチは、サフラン「香房」だからね。
使えるハーブの種類が違うのさ。
―――――――
ハーブチキンはいつも通り絶品だった。
いつかオジさまやレルガさんにも振舞いたい。
食事の最中、今日あった出来事や、脱税事件、とくにあたしのエモパレの大活躍の話を、盛りに盛って話したら、とても感心されてしまった。
盛らなくても良かったか……
シャリエナの方はずっとお店の片づけをしていたみたい。
レルガさんは自分が言った通り、昼間は少し出ていたようだが、その後はずっと片付けを手伝ってくれていたようだった。
壊した入り口扉も、ベニヤ板の簡易的なモノだけどちゃんと扉が出来ていた。
あれはレルガさんの仕業だったのか。
器用なものだね。
その後、今日は疲れたから早めに休むと、あたしは部屋に戻ってきた。
「ふう……」
思わずため息が漏れた。
部屋に入ってすぐにため息なんて……よほど疲れていたらしい。
ふと机を見れば、昨日シャリエナと試したネイル周りの薬品や素材。
外はもうすっかり夜も更け、窓辺を優しく白い月の光が仄かに彩る。
部屋のランプもつけず、窓辺に歩み寄る。
今日は月明かりだけでも十分明るい。
窓辺に飾ってあるエモパレポーションの容器の一部が、月光にキラリと反射した。
感情を模したものだからか、エモパレポーションを見ると感傷的な気分になる。
風を感じようとほんの少し窓を開ける。
春先の涼しい風が頬を撫でていく。
「オジさま、なんで怒っていたんだろう……」
窓辺に頬杖をついて、そんな事をぼうっと考えていた。
――忌まわしきモノ
そんな風にオジさまはこの感情色の魔眼――エモパレを、表現した。
憎しみ、のようなものを感じた。
きっと、過去に何かあったんだ。
魔眼についてもやたら詳しかったように思う。
オジさまの事、いっぱい会話して、ちょっとだけ分かってきた。
だから分かる。
オジさまは決して、無遠慮に女の子にあんな暴言を吐くような人ではない。
だから……
――「呪われた邪眼だ」
……っ! あの時の、冷たいオジさまの言葉が蘇る。
……大丈夫……大丈夫……
アレはあたしに向けたものだけど、あたしに向けたものじゃない。
傷つく必要は無いんだと、自分に言い聞かせる。
理屈を、自分に、言い聞かせる。
……ふぅ、あぶないあぶない。
オジさまの気持ちを想う。
あたしが傷ついた分だけ、オジさまも同じくらい、ううん、それ以上に傷ついている。きっと。
何とかしてあげられないかな……って思うのはあたしのエゴなのかな?
もしも苦しんでるんだったら、聞くことぐらいはあたしにも出来るよ?
でも男の人って……特にオジさまは、そういうの絶対話さないよね? きっと。
責められるのは苦しかったけど、謝ってくれたのは嬉しかった。
オジさまがあんな風に怒るなんて……
今、改めて、落ち着いて考える。
オジさまは、厳しくて寡黙で表情も乏しいけど、人間味のある人だ。
あたしのちょっとしたお願いも、いっぱい聞いてくれた。
融通も利かせてくれた。
決して理不尽な人じゃない。
なのにあの時の怒りは、やっぱり理不尽に感じた。
あたしだけに……だったんだろうか?
「あたしだけ特別」……
単語だけ聞くと、とても甘美な物に思えてくる。
「あたしだけがオジさまの特別」……
ますます甘美に思えてくる。
頬が無意識に上がる。
いかん、ちょっと妄想が過ぎる。
でも「オジさまの特別はあたしだけ」……
その、あたしにとってあまりに魅力的な言葉は、想うだけで顔が熱くなる。
あ~、ダメダメ!
自分自身で上がったほっぺをムニムニしながら、自制を働かせる。
でもでも……
妄想の中のオジさまの手が、あたしのプニプニのほっぺをそっと撫ぜる。
ぅあ~~~~、で、名前なんか呼んじゃったり……
「ハルネ嬢……いや、ハルネ」
くぉぉ~~~~、で、あたしも名前を呼び返しちゃったり……
「オジさま……ううん、ヴァル……さま」
ふぐぅぅ~~~~、で、そのまま二人は顔を近づけ合ってぇ……
……
…………
…………はっ!
違う違う違う!
ついつい妄想が過ぎてしまった!
そういう事を考えたいんじゃないの!
ふぅ……ふぅ……落ち着け……
…………はぁ。 変な暴走した。
でも、こんな風にどこか安穏な妄想が出来ちゃうのも……
オジさまの「嫌ってない」って言葉を聞けたからこそ、だと思う。
思わず聞いてしまった言葉だったけど、あたしはすごく安心した。
感情色は確認できなかったけど、あの言葉に嘘は無い。
オジさまの視えない感情色を思い出し、盛り上がったテンションが一瞬で下がる。
「あ~あ……見たいなぁ、オジさまの、色」
つい独り言が出てしまう。
感情の色って誰もが似ているようでちょっとずつ違う。
ヴァルグレイのオジさまは、一体どんな色なのかな?
超然としているオジさまは、あんまり不安色は出ないと思う。
フラットで平静な……いやちょっと待って、オジさまって結構イヤなものとかは顔に出てた気がする。
もしかしたら内心は感情的な人なのかも。
シャリエナなんかは、くるくる色が変わって見てて楽しい。
オジさまももしかしたら、同じくらい内面がグルグル変わる人かもしれない。
……でもきっと、どの色も、あたしの好みの色、なんだろうなー。
あったかくて、ちょっと淡くて、ほわほわしてて……
ふと、エモパレに意識を集中する。
瞳に魔力が灯るのか、仄かに温かい、いつもの感覚。
いやー、全然気付かなかったよ。 そういう発想も無かった。
まさか蜂蜜色に光っているとは……
指摘されたのは初めてだったから、きっと変化としては微かな物なんだろう。
それに気付くオジさまは、観察眼が優れている、とも取れるけど……
「きっとオジさまも、同じような魔眼を持っている」
確認するように、言葉にする。
やけに魔眼の解像度が高いのもそう。
考えたら、左眼のあからさまなオシャレ模様の眼帯もそう。
そしたら、人を憎んじゃうって気持ちも、ちょっと分かってくる。
同じような魔眼の持ち主として……いずれお互いに悩みを話せたらいいな。
そんな事を考えながら、腕を枕にして横を見ると、エモパレポーションが月光を照らし返してこちらを見つめていた。
「そうだね……たまには作ろっかな」
その日に印象的だった感情色を、色水にして、カワイイ容器で飾るあたしの趣味、エモパレポーション。
本当は、オジさまの色で作りたいけど、残念ながら視る事は叶わない。
……うん、今日は想像で作ってみようかな。
テーマは、やっぱり、あの時のオジさまの憎しみ、激情……
「オジさまの『葛藤』にしようっと」
なかなか良いんじゃない?
葛藤の感情色はちょうどアッシュシルバー系の色で、オジさまの髪色とも被る。
我ながら良いチョイス。
マイナスの感情ではあるけど、葛藤、嫉妬、憂鬱、このあたりはなかなか綺麗で好みの色なのよね。
「えーと、レシピ帳があったよね? どこにしまったっけ……」
部屋に一人でいると独り言が多くなる。
机に備え付けてある魔石ランプをつけて、引き出しから調合道具もついでに取り出す。
この日はとても疲れていたにも関わらず、
つい、オジさまの感情を想像するのが楽しくなってしまって、
うっかり夜更かしをしてしまった。
……………
……ふと、乳鉢をかき混ぜる自分の手を意識する。
我ながら丸い手だ、ホント。
……ぷにぷにしてるって言い換えればカワイイ?
その手を窓辺のお月様に掲げてみる。
オジさまの事を考えるのはなんだか楽しい。
幸せな気分になる。
でも同時に苦しい気分にもなる。
きっと愛してなんて貰えないからだ。
選んでくれるなんて思えないからだ。
それでもいいと思った。
今は、オジさまを想うのが幸せなの。
誰かに憧れたり、好きになった事はあったけれど、
こんなに焦がれて、胸に熱が宿るのは初めて。
初恋……かぁ。
恋の感情色は桃色。 分かりやすい……桜色。
それに憧れて、桜の花びらの髪留めをつけたりしてたけれど、
本当に自分が恋……ってのはまだ信じがたい。
再び、お月様に掲げた自分の手を見上げる。
ジっと見つめたあたしの手から見える感情の色は、
もちろん、視えなかった。
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