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02:ナタ村
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「村の勇者」
このゲームを簡単に説明すると、
村の中で発生する様々なクエストを勇者であるプレイヤーが解決していく
と、至ってシンプルだ。
まずはソフトをダウンロードし、VR機器を装着。
目を閉じ、少し待てば
一瞬の浮遊感を味わう。
目は閉じているはずなのに、
どこからともなく光が差し込んでくる。
*
舞台となる村は、
素朴な村である。
春風が吹く。
風に吹かれてゆらゆらと揺れる草花。
木を基調とした暖かみのある家。
小さな子供たちの笑い声が
チラホラと耳に入る。
そんな中、1人佇むのは、
薄い革で作られたベストのような服に、他のゲームでもよく目にする木の棍棒を装備した勇者である、この俺。
「ゴブリンかよ……」
見えなくもない。初期装備なので
こんなものなのかもしれないが、
あまりにも貧相ではないか。
早く装備を変えたい。
この一心でまず向かったのは
村のギルド。ここで、このゲームの
核となるクエストを受けることが
出来るらしい。
これもまた貧相な扉を開けたなら、
「ようこそっ!ギルドへ!待ちわびてましたよぉ!」
元気な声が飛んできた。
若葉色の制服を身にまとい、
頭には羽のついた帽子。
彼女の座る机には、
様々な書類が積まれている。
どうやら、彼女が言うところの受付嬢らしかった。
「……どうも」
「はいっ!どうも!」
「……あの、ギルドの登録お願」
「はい!ギルドの登録ですね!」
「……あ、そうで」
「では、こちらの書類に、
名前・性別の記入を
お願いします!」
「……」
この受付嬢、全く待ってくれない。
言葉の語尾なんてお構い無しだ。
この人、現実では苦手なタイプだな。
内心はそんなことを思いながらも
記入の手は止めない。
「へぇ~タケルさんですか~」
……。
「棍棒を持っているところを見ると、
見かけによらず近距離攻撃に
長けてるんですね。
しかし、棍棒ですか……」
お金、貸しましょうか?
と言わんばかりでこちらを見てくる。
棍棒持ってるのは不可抗力だよ。
デフォルトだよ。
やめろ、可哀想な目で
こちらを見つめるな。
仕方ない、ここは初期装備であって
金に不自由な訳では無いということを
アピールするべきだろう。
1度、深呼吸して、
「……棍棒はデフォル」
「あっ!記入完了しましたね! では、改めてようこそナタ
……おや?どうかしましたか?」
「いいや、なんでもないです」
ダメだ、この受付嬢苦手かもしれない。
このゲームを簡単に説明すると、
村の中で発生する様々なクエストを勇者であるプレイヤーが解決していく
と、至ってシンプルだ。
まずはソフトをダウンロードし、VR機器を装着。
目を閉じ、少し待てば
一瞬の浮遊感を味わう。
目は閉じているはずなのに、
どこからともなく光が差し込んでくる。
*
舞台となる村は、
素朴な村である。
春風が吹く。
風に吹かれてゆらゆらと揺れる草花。
木を基調とした暖かみのある家。
小さな子供たちの笑い声が
チラホラと耳に入る。
そんな中、1人佇むのは、
薄い革で作られたベストのような服に、他のゲームでもよく目にする木の棍棒を装備した勇者である、この俺。
「ゴブリンかよ……」
見えなくもない。初期装備なので
こんなものなのかもしれないが、
あまりにも貧相ではないか。
早く装備を変えたい。
この一心でまず向かったのは
村のギルド。ここで、このゲームの
核となるクエストを受けることが
出来るらしい。
これもまた貧相な扉を開けたなら、
「ようこそっ!ギルドへ!待ちわびてましたよぉ!」
元気な声が飛んできた。
若葉色の制服を身にまとい、
頭には羽のついた帽子。
彼女の座る机には、
様々な書類が積まれている。
どうやら、彼女が言うところの受付嬢らしかった。
「……どうも」
「はいっ!どうも!」
「……あの、ギルドの登録お願」
「はい!ギルドの登録ですね!」
「……あ、そうで」
「では、こちらの書類に、
名前・性別の記入を
お願いします!」
「……」
この受付嬢、全く待ってくれない。
言葉の語尾なんてお構い無しだ。
この人、現実では苦手なタイプだな。
内心はそんなことを思いながらも
記入の手は止めない。
「へぇ~タケルさんですか~」
……。
「棍棒を持っているところを見ると、
見かけによらず近距離攻撃に
長けてるんですね。
しかし、棍棒ですか……」
お金、貸しましょうか?
と言わんばかりでこちらを見てくる。
棍棒持ってるのは不可抗力だよ。
デフォルトだよ。
やめろ、可哀想な目で
こちらを見つめるな。
仕方ない、ここは初期装備であって
金に不自由な訳では無いということを
アピールするべきだろう。
1度、深呼吸して、
「……棍棒はデフォル」
「あっ!記入完了しましたね! では、改めてようこそナタ
……おや?どうかしましたか?」
「いいや、なんでもないです」
ダメだ、この受付嬢苦手かもしれない。
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