【完結】昔セフレ扱いして捨てた元恋人がドン底だったから拾ってやりました、けど……??

バナナ男さん

文字の大きさ
21 / 54

21 どんだけ〜?

しおりを挟む
( 冬司 )


◇◇◇◇

「 ~♬ 」


上機嫌で、女が入院している病室の前に立つ。

今は薬の投与後で、女は起きているらしいと医師からは聞いていた。

最近は寝る時間が多くなっているらしく、晴矢も起きているタイミングを待ちながらちょこちょこ来ているらしい。


「 タイミングバッチリ~!やっぱり俺ってラッキ~。

────さ、晴矢を選んだバカ女に夢でも見せてあげましょうかね~。 」


プッと小さく吹き出した後は、直ぐに真面目で誠実な顔を創り出し、病室の扉を開いた。


「 こんにちは。星華さん、体調はいかがかな? 」

「 ……?どなた……でしょうか……? 」


軽く上体を起こしたベッドにもたれ掛かり、ゆったりと窓の外を見つめていた晴矢の妻である星華。

そいつに、手を振ると少し警戒しながら俺について尋ねてきた。

そのため、極上の笑顔でそれに答えてやる。


「 はじめまして。俺は大征 冬司。

晴矢とは元同級生で、今日はたまたま仕事が休みだったから一度ご挨拶をしようと思って……。

体調が良さそうで良かった。 」


「 あ~……貴方が、恩人の……。 」


星華は、ニコッと嬉しそうに笑って、俺に深々と頭を下げてきた。


「 ……この度は、この様な破格な扱いに治療費まで貸してくださり、ありがとうございます。

感謝してもしたりないです。 」


「 いえいえ~。別に大したことなんてしてないから、そんな畏まらないで欲しいな? 」


ちゃんと代価は貰っているんで~。

あんたの旦那を、おもちゃにして楽しんでま~す!


心の奥で薄暗い笑いが込み上げ、必死に隠す。


あんたと永遠の愛を誓った男はね~俺に毎日股開いてますよ~?

多分あんたより使い込んでると思うよ?あの体!


耐えられずに口元が歪みそうになって、ゴホッ!と咳をして誤魔化した後、俺は星華が寝ているベッドへと近づき、すぐ目の前に立った。


「 必死に病と戦う姿に、遠目ながら感動してしまって……だから、星華さんには元気になってほしいと心から思ってるんだ。

そして……これからもっとお話したい。 」


「 ……えっ? 」


驚く星華が目を丸くして俺を見上げてきたので、俺はソッと彼女の手に自分の手を重ねる。


「 お金の事なら心配しないで大丈夫。

だから、頑張って元気になって。

そしたら色々な場所へ連れて行ってあげるよ。

信じられないかもしれないけど……懸命に病と戦う星華さんの姿がとてもカッコよくて、心を惹かれているんだ。

自分でもこんな気持ちは初めてで……戸惑っている……。 」


「 大征さん……。 」


困っている様に眉を下げて見つめると、星華は下を向いて震えだした。

う~ん……チョロ。

キスくらいしなきゃ駄目かな~と思っていたけど……ダメダメじゃん、この女。


顔には出さずに、ハァ……とため息を密かについた。


こ~んなガバガバ女と結婚して子供まで作ったんだ、晴矢。

ホント、ぱっかじゃないの~?


久しぶりに出会った時のげっそり痩せてしまっていた晴矢を思い出し、何故かイライラと激しい怒りが湧く。


そんなアホみたいな時間を過ごすなら、俺が捨てた時に縋ってくれば良かったじゃん。

そしたら、たま~に抱いてやって、遊んでやって……。

まぁ、後継者は残さないといけないから一度結婚するけど、そのまま愛人として何不自由無い生活はさせてあげたよ?

それから離婚した後だって、捨てずに置いてあげるくらいはしたのにな。


俺は下を向いて震え続ける女を冷たい目で見下ろして、頭の中の晴矢に言い聞かせた。


こんな不幸しか持ってこない役立たずなクソ女さっさと捨てて、今からでも俺に縋りなよ。

そしたら誰もが羨む様な ” 幸せ ” をあげるからさ。

俺だけが好きって言って……俺だけが必要だって言って……側にいてほしいって……。


「 …………? 」


なんだか恐ろしい程強くなっていく自分の感情に驚いて、首を傾げたその時────……。


────ブッ!!!


突然、下を向いていた星華が吹き出した。

そのため思考はそちらへと向き、自分を支配し始めていた激情は鳴りを潜める。


「 ……どうしたんですか?星華さ────……。 」


「 ……あ、あはははっ!!お、おっかし~っ!!

どんだけ晴矢に未練タラタラなのよ!冬司さん! 」


ひたすら笑い続ける星華は、そのまま腹を抱えて笑いだした。


「 ??? 」


何故そんなに笑っているのか分からず、ポカンとしていると、星華はやっと笑いを止めて目尻に溜まっていた涙を拭き取る。


「 一回ヤった程度の女じゃ~覚えてないか~。

それに、今はあの頃の見る影もないもんねぇ……。

学生の頃はド派手な金髪に、盛りまくったメイクしてたしww 」


「 は……??や、やった……???アンタと? 」


必死に記憶をほじくり返すが全く記憶になく、首を傾げる俺を見て、星華は笑いながら手を横に振った。


「 あ~いいのいいの!あの頃の私は黒歴史だから!

ほら、よくいる若さと勢いで生きてたイキったクソ女ってやつ~ww

男は顔!金!一流の男しか相手しませ~ん!残りの二流以下男は財布ですよ~?……って言い切っちゃうクソ女だったんだよね、私!

だから金なんて、貢がれまくって腐る程あったのにさ~……それを全部とっとけば、こんなに晴矢に苦労かける事はなかったよ。

……ホント、私ってバカ。 」


カラッ!と明るい笑顔で喋り続ける星華だったが、最後は随分とトーンダウンしていて……笑っていたが、目は笑っていない様だ。

呆気にとられて黙っていると、無感情にも近い目で俺を見つめた。


「 ……私結構美人だったし、それに若さがくっついたらさ、無敵モードだったよ。

なんだか世界全部自分のためにあるような気すらして……。

だから顔が良くてノリが良くて……金持ちな男と随分派手に遊んできた。

……ま、今の状況はその天罰かもしれないなって納得はしてるんだ~。

中には本気で自分を愛してくれていた人もいたかもしれないから。 」


「 ……へぇ~?

そんな女が晴矢とどうして結婚なんてしたわけ?

あんな三流以下の男とさ。

バカじゃない? 」


呆れて鼻で笑ってやると、星華はゆっくりベッドに背をつけて目を閉じる。

そして何かを思い出すかの様に、ボソボソと喋り始めた。


「 ……もう大学を卒業する学年になっても、チャランポランな私は就活もしてなくてさ。

金持ちの男捕まえて養ってもらおうって思ってたんだよね。

そこで、聞いたのがアンタの噂話。

とんでもないイケメンにスーパーセレブな実家!

頭脳明晰で将来性に溢れた王子様……とくれば、その頃の私は食いついたよ。

” やっと私にふさわしい男が現れた ” って傲慢にも思ってさ。 」

「 ……そりゃ~どうも。 」


まるで挨拶の様に言われ続けた言葉に、特に何も感じることはない。

そのため、そっけなくお礼を告げれば……星華はフフッと笑いながら続きを話し始めた。

しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

脱落モブ男が人気アイドルに愛されるわけがない

綿毛ぽぽ
BL
 アイドルを夢見るも、デビューできずオーディション番組に出演しても脱落ばかりの地味男、亀谷日翔はついに夢を諦めた。そしてひょんなことから事務所にあるカフェで働き始めると、かつて出演していた番組のデビューメンバーと再会する。テレビでも引っ張りだこで相変わらずビジュアルが強い二人は何故か俺に対して距離が近い。 ━━━━━━━━━━━ 現役人気アイドル×脱落モブ男 表紙はくま様からお借りしました https://www.pixiv.net/artworks/84182395

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。 ムーンライトノベルズさんにも掲載しております

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

無愛想な氷の貴公子は臆病な僕だけを逃さない~十年の片想いが溶かされるまで~

たら昆布
BL
執着ヤンデレ攻め×一途受け

処理中です...