83 / 84
現代( 注意! )
84 無価値なモノ達
( 玲央 )
「 ダッサい格好、ダッサいコーディネート。
あんなので外に出るなんて……常識を疑っちゃう。 」
「 あんな男でいいなんて女捨ててるわ~。
もっと上を目指そうって向上心がないのかしらね?
あ~そっか~!
それで精一杯なのかなぁ? 」
口を開けば毒しか吐かない母。
物心ついた時からこうだったが、俺の思った事は一つもない。
" 無 " それだけ。
まぁこれは母に対してだけではなかったけど。
考える頭と情報を手にするためのツールが育ちきると、沢山の情報が入ってくるようになった。
でも俺にとってそれは記号と同じで、それがただ一定の法則に従って並んでいるだけ。
それが俺から見える全ての世界だった。
だから生きていくのもとても簡単で、こう言った場合に予測される反応、それを1番効率よく利用する方法は、瞬時に答えが出てしまう。
その中で断トツに役に立つものは " 美しさ "
それだけで周りは俺に、正しさを見出す。
どんなにおかしな事でも美しければ正しい。
それが正義。
そしてそんな正義を頭に入れ続けた奴らは、気がつけば勝手に壊れてしまう。
簡単に壊れちゃうモノに価値なんてある?
ないでしょ?
その便利な道具達をとてもうまく使っていたのが母で、昔から持ち前の美しさで金持ちの男に擦り寄り、いらなくなったらポイっ。
それで人よりだいぶ裕福な暮らしを手にしてたのだから、賢い方だとは思う。
だが、未来に関して言えばあまり賢い方ではなかった。
「 男の癖にそんな顔で生まれたって意味ないから。
……ムカつく。 」
「 何?もしかして私の事馬鹿にしてる?
ウザいんだよ、今直ぐ消えればいいのに。 」
ある日を境に母は俺を見るたび酷く攻撃的になるようになった。
理由は簡単。
自身の美しさに陰りが出てきたからだ。
だからそれを持つ俺が憎らしくて憎らしくて堪らない。
自分が味わってきた旨みを、別の奴が吸って幸せになるのが許せないのだ。
俺は母にとって、憎悪の対象になっていた。
しかし俺にとってはそれもどうでもいい事。
寧ろ必ず失うモノに執着して見えない敵と戦う姿は、俺に " 愉快 " を運んできてくれた。
" 人 " を使うと楽しいんだ?
それを覚えた俺は、ほんの少しだけ……俺に心酔する奴に対して肯定の言葉を掛けてみた。
" その考え、凄くいいね。 "
すると面白いくらいにそいつは変わってしまった。
” その考え以外は正しくないんだ! ”
それを周りにも押し付け、酷く傲慢で攻撃的な人物へと変化する。
そしてそれが頂点に達したとき言ってやった。
” 何だかそういうの好きじゃないな ”
────って。
すると今までその行いに腹を立ててた奴らが一斉にそいつを攻撃し始め、どんどんその変化は伝染していく。
何だかレミングスみたい。
……面白い。
勝手に騒いで勝手に変わって勝手に自滅する。
それを見る事で多少の暇は潰せたから、たまに突いて適度に楽しんでいたのだが────そんな時、それを邪魔する面倒な奴が現れた。
それが大樹。
大樹は世で役に立つ便利なツールを一つも持っていない様な奴だった。
美しくもないし頭も悪い。
単細胞で直ぐに動くし落ち着きもない。
例えるなら飛び回るハエと同レベル。
そんなウザくて鬱陶しい大樹は、事もあろうに俺の楽しみまで邪魔をしてきた。
────何だ?コイツ。
何だかそれが予想される行動じゃなかったから非常に勘に触り、それから次のターゲットに決める。
周りに全て存在を否定される場所で、何日持つのかな?
クスクスと笑いながら高みの見物をしていたのだが────大樹はやはり俺の計算通りの動きはしなかった。
どんなに周りに否定されても大樹は変わらない。
まるでドッシリと立って動かない大樹の様に、変わらずそこに在り続ける。
それに何も感じなかった心が荒らされて、それが本当に腹立たしかった。
ウザいっ!
キモいっ!!
鬱陶しいっ!!!
今まで静かだった心に変化をもたらす大樹が憎い。
初めて持った憎い気持ちを持て余していた、ある日────その日も大樹を変わらず攻撃していた奴が突然泣き出した。
何の前触れもなく。
すると不思議な事に、それはあっという間に伝染していって全員が泣き出してしまい、何だかおかしな事になってしまった。
おかしい。
おかしい。
これは当然の様に予想される反応じゃない!
自分の予想に反した行動ばかりする周りに若干焦りながら、その中心にいる人物へと視線を向けた。
大樹……アイツかっ!!
皆の中心で、一番醜く崩れた顔で大泣きしている大樹。
そいつこそが ” 人 ” の当然である行動を止めた張本人だ。
それが本当に勘に触り、今度はどうしてやろうかと考えていると、突然大樹は俺の方へやってきて ” どうしてこんな事をしたのか? ” と尋ねてきた。
その目はキラキラと輝いていて……それが癇に障って仕方がない。
だから傷つけてやろうと思って言ってやったのだ。
” 生意気だから ” と。
だってこの俺がせっかく遊んでいるのに、それを何も持っていないゴミみたいなヤツが邪魔するんだ。
生意気だろう?
何も人より秀でたモノを持っていないのだから、大人しく従え。
そういった意味を込めて冷たく ” 俺の暇つぶしのおもちゃ達を勝手に使うなよ ” と言ってやれば……その後は何故か殴られた。
初めて他人から与えられる痛み。
初めて正面からぶつけられる強い感情の数々。
ムカついてムカついて何でこんなモノが世の中にいるんだ!!と思った。
俺に従え!
俺のために変われ!!
俺のために俺のために────────……。
呪う様な言葉を心の中で吐きながら、気がつけば俺は床に倒れていて……そこでフッと思ったのだ。
俺のために直ぐ変わってしまう様なモノに、価値なんてあるの??
その ” 変化 ” は俺にとって無価値なモノだったでしょ?
そう考えると沢山の感情に溢れている自分を冷静に見つめ、そこからはジワジワと痺れる様な感覚が体中を巡った。
「 ダッサい格好、ダッサいコーディネート。
あんなので外に出るなんて……常識を疑っちゃう。 」
「 あんな男でいいなんて女捨ててるわ~。
もっと上を目指そうって向上心がないのかしらね?
あ~そっか~!
それで精一杯なのかなぁ? 」
口を開けば毒しか吐かない母。
物心ついた時からこうだったが、俺の思った事は一つもない。
" 無 " それだけ。
まぁこれは母に対してだけではなかったけど。
考える頭と情報を手にするためのツールが育ちきると、沢山の情報が入ってくるようになった。
でも俺にとってそれは記号と同じで、それがただ一定の法則に従って並んでいるだけ。
それが俺から見える全ての世界だった。
だから生きていくのもとても簡単で、こう言った場合に予測される反応、それを1番効率よく利用する方法は、瞬時に答えが出てしまう。
その中で断トツに役に立つものは " 美しさ "
それだけで周りは俺に、正しさを見出す。
どんなにおかしな事でも美しければ正しい。
それが正義。
そしてそんな正義を頭に入れ続けた奴らは、気がつけば勝手に壊れてしまう。
簡単に壊れちゃうモノに価値なんてある?
ないでしょ?
その便利な道具達をとてもうまく使っていたのが母で、昔から持ち前の美しさで金持ちの男に擦り寄り、いらなくなったらポイっ。
それで人よりだいぶ裕福な暮らしを手にしてたのだから、賢い方だとは思う。
だが、未来に関して言えばあまり賢い方ではなかった。
「 男の癖にそんな顔で生まれたって意味ないから。
……ムカつく。 」
「 何?もしかして私の事馬鹿にしてる?
ウザいんだよ、今直ぐ消えればいいのに。 」
ある日を境に母は俺を見るたび酷く攻撃的になるようになった。
理由は簡単。
自身の美しさに陰りが出てきたからだ。
だからそれを持つ俺が憎らしくて憎らしくて堪らない。
自分が味わってきた旨みを、別の奴が吸って幸せになるのが許せないのだ。
俺は母にとって、憎悪の対象になっていた。
しかし俺にとってはそれもどうでもいい事。
寧ろ必ず失うモノに執着して見えない敵と戦う姿は、俺に " 愉快 " を運んできてくれた。
" 人 " を使うと楽しいんだ?
それを覚えた俺は、ほんの少しだけ……俺に心酔する奴に対して肯定の言葉を掛けてみた。
" その考え、凄くいいね。 "
すると面白いくらいにそいつは変わってしまった。
” その考え以外は正しくないんだ! ”
それを周りにも押し付け、酷く傲慢で攻撃的な人物へと変化する。
そしてそれが頂点に達したとき言ってやった。
” 何だかそういうの好きじゃないな ”
────って。
すると今までその行いに腹を立ててた奴らが一斉にそいつを攻撃し始め、どんどんその変化は伝染していく。
何だかレミングスみたい。
……面白い。
勝手に騒いで勝手に変わって勝手に自滅する。
それを見る事で多少の暇は潰せたから、たまに突いて適度に楽しんでいたのだが────そんな時、それを邪魔する面倒な奴が現れた。
それが大樹。
大樹は世で役に立つ便利なツールを一つも持っていない様な奴だった。
美しくもないし頭も悪い。
単細胞で直ぐに動くし落ち着きもない。
例えるなら飛び回るハエと同レベル。
そんなウザくて鬱陶しい大樹は、事もあろうに俺の楽しみまで邪魔をしてきた。
────何だ?コイツ。
何だかそれが予想される行動じゃなかったから非常に勘に触り、それから次のターゲットに決める。
周りに全て存在を否定される場所で、何日持つのかな?
クスクスと笑いながら高みの見物をしていたのだが────大樹はやはり俺の計算通りの動きはしなかった。
どんなに周りに否定されても大樹は変わらない。
まるでドッシリと立って動かない大樹の様に、変わらずそこに在り続ける。
それに何も感じなかった心が荒らされて、それが本当に腹立たしかった。
ウザいっ!
キモいっ!!
鬱陶しいっ!!!
今まで静かだった心に変化をもたらす大樹が憎い。
初めて持った憎い気持ちを持て余していた、ある日────その日も大樹を変わらず攻撃していた奴が突然泣き出した。
何の前触れもなく。
すると不思議な事に、それはあっという間に伝染していって全員が泣き出してしまい、何だかおかしな事になってしまった。
おかしい。
おかしい。
これは当然の様に予想される反応じゃない!
自分の予想に反した行動ばかりする周りに若干焦りながら、その中心にいる人物へと視線を向けた。
大樹……アイツかっ!!
皆の中心で、一番醜く崩れた顔で大泣きしている大樹。
そいつこそが ” 人 ” の当然である行動を止めた張本人だ。
それが本当に勘に触り、今度はどうしてやろうかと考えていると、突然大樹は俺の方へやってきて ” どうしてこんな事をしたのか? ” と尋ねてきた。
その目はキラキラと輝いていて……それが癇に障って仕方がない。
だから傷つけてやろうと思って言ってやったのだ。
” 生意気だから ” と。
だってこの俺がせっかく遊んでいるのに、それを何も持っていないゴミみたいなヤツが邪魔するんだ。
生意気だろう?
何も人より秀でたモノを持っていないのだから、大人しく従え。
そういった意味を込めて冷たく ” 俺の暇つぶしのおもちゃ達を勝手に使うなよ ” と言ってやれば……その後は何故か殴られた。
初めて他人から与えられる痛み。
初めて正面からぶつけられる強い感情の数々。
ムカついてムカついて何でこんなモノが世の中にいるんだ!!と思った。
俺に従え!
俺のために変われ!!
俺のために俺のために────────……。
呪う様な言葉を心の中で吐きながら、気がつけば俺は床に倒れていて……そこでフッと思ったのだ。
俺のために直ぐ変わってしまう様なモノに、価値なんてあるの??
その ” 変化 ” は俺にとって無価値なモノだったでしょ?
そう考えると沢山の感情に溢れている自分を冷静に見つめ、そこからはジワジワと痺れる様な感覚が体中を巡った。
あなたにおすすめの小説
呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない
波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。
異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。
強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。
彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。
しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。
「俺に触れられるのは、お前だけだ」
呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。
となります。
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
異世界オークションで売られた俺、落札したのは昔助けた狼でした
うんとこどっこいしょ
BL
異世界の闇オークションで商品として目覚めた青年・アキラ。
獣人族たちに値踏みされ、競りにかけられる恐怖の中、彼を千枚の金貨で落札したのは、銀灰色の髪を持つ狼の獣人・ロウだった。
怯えるアキラに、ロウは思いがけない言葉を告げる。
「やっと会えた。お前は俺の命の恩人だ」
戸惑うアキラの脳裏に蘇るのは、かつて雨の日に助けた一匹の子狼との記憶。
獣人世界を舞台に、命の恩人であるアキラと、一途に想い続けた狼獣人が紡ぐ、執着と溺愛の異世界BLロマンス。
第一章 完結
第二章 完結
第三章 完結
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
【完結。一気読みできます!】悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!
はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。
本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる……
そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。
いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか?
そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。
……いや、違う!
そうじゃない!!
悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!!
推しの運命を変えるため、モブの俺は嫌われ役を演じた
月冬
BL
乙女ゲームの世界に転生した俺は、ただのモブキャラ。
推しキャラのレオンは、本来なら主人公と結ばれる攻略対象だった。
だから距離を置くつもりだったのに――
気づけば、孤独だった彼の隣にいた。
「モブは選ばれない」
そう思っていたのに、
なぜかシナリオがどんどん壊れていく。
これは、
推しの未来を知るモブが、運命を変えてしまう物語。
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。