56 / 1,649
第一章(転生後、レオンハルトと出会うまで)
(カルパス)40 カルパスとメルンブルク家
しおりを挟む
(カルパス)
黒い噂の絶えない<メルンブルク家>
自身の目で実際に確かめた彼らの姿は……その噂に違わぬひどく歪んだ『悪』そのもののような者達であった。
当主である<カール様>と、その妻である<マリナ様>は、この国の貴族にありがちな身分至上主義と、それに加え美しさに絶対的な価値観を持っていたため、自分たちはイシュル神に選ばれた崇高なる存在であると本気でそう思っていた。
そのため彼らにとって他者とは、『自身を楽しませるためのモノ』であるとしか思っておらず、とても信じられないような非道な行いをしてもなんとも思わない。
『権力』という強大な力を持っている彼らにとって、周りに存在する全てのモノは楽しく遊べる玩具か、便利に使う道具。
そしてその中でも一番目立つ玩具と言えば、見た目の美しい愛人達だ。
お互い競い合うように、数え切れないほどの愛人を側に置いては派手に遊んでいた。
随分と不道徳なお遊びだと思うが、本人達曰くそれは────『下界』の人々に慈悲を与える慈善行為である』 ……と言うのだから、その独特の考え方には恐れ入る。
更にその慈善行為とやらには、『愛の証である子供だけは、真に愛するもの同士としか作ってはならない』という独特のルールも存在していて、それだけはお互い頑なに守っている様であった。
私にはその考え全てが理解し難い考え方であったが、とりあえず不幸な子供が生まれないなら良かった────そう心の底から安心していたのだが……ある日、神の悪戯か天罰か……メルンブルク家に最大の悲劇が襲う。
様々な思惑から、王都から離れた平和で穏やかな街【レガーノ】に居を移したメルンブルク家は、そこで次男となるリーフ様を産み落とした。
その直後に響き渡るマリナ様の悲鳴とカール様の怒号。
尋常ではない悲鳴に直ぐに駆けつければ、錯乱するマリナ様の姿と、呆然と立ち尽くす産母達の姿がある。
一体何が??
一瞬浮かんだ疑問は、産母に抱かれている赤子の外見を見て、全てを理解した。
平民に多い茶色い髪に、お二人に似ても似つかない顔のパーツ。
そんな外見を持って産まれてきた、メルンブルク家の次男のリーフ様。
誰がどう見ても不義の子であるその赤ん坊に、カール様もマリナ様も荒れに荒れ、場はパニックに陥る。
お二人のお遊びを知っているため、周りの者達はさしてその事実に対して驚きはしていない様であったが、私は違和感を感じた。
お二人が選ぶ愛人達は、全員が全員その価値観に合う外見をしていて、平民の代表の色ともいえる茶色い髪の者はその中にいなかったはず……。
ましてやあの高飛車で美に異常にこだわるマリナ様が、その様な外見の者を相手にするとは思えなかったからだ。
どうにもおかしいと思ったが、なんと検査の結果、リーフ様は間違いなくお二人のお子であるとという結果がでたのだった。
これには私も驚いてしまったが、これでは親子関係の否定が出来ず、お子を籍から外すことができない。
ならば────と、その存在ごと消してやりたいと願うも、自分たちを神に選ばれし愛し子であると思い込んでいる以上、イシュル神の教えを破るわけにもいかない。
まさに八方塞がりの彼らが選んだのは、生まれたリーフ様を一人ここへ残し、当時3歳の長男グリード様と、2歳の長女シャルロッテ様を連れて王都に戻る事であった。
名目上は、生まれながらに病弱な次男を自然豊かな街レガーノに残し、自分たちは仕事の関係上泣く泣く王都に戻ったと、そういうことにするらしい。
恐らくリーフ様は、このままその存在を隠され、イシュル神の加護が消える12歳を迎える時……。
「…………。」
私は、哀れな運命を辿るであろう赤子を見つめ、自身の半生を振り返る。
自身の命よりも我が子の命をとった<イソラ>
この世の何よりも愛おしい我が娘<イザベル>
そしてこの世に生まれて直ぐに捨てられ、何も与えられぬまま消されるであろう赤子……。
────見て見ぬ振りなど、私には出来なかった。
黒い噂の絶えない<メルンブルク家>
自身の目で実際に確かめた彼らの姿は……その噂に違わぬひどく歪んだ『悪』そのもののような者達であった。
当主である<カール様>と、その妻である<マリナ様>は、この国の貴族にありがちな身分至上主義と、それに加え美しさに絶対的な価値観を持っていたため、自分たちはイシュル神に選ばれた崇高なる存在であると本気でそう思っていた。
そのため彼らにとって他者とは、『自身を楽しませるためのモノ』であるとしか思っておらず、とても信じられないような非道な行いをしてもなんとも思わない。
『権力』という強大な力を持っている彼らにとって、周りに存在する全てのモノは楽しく遊べる玩具か、便利に使う道具。
そしてその中でも一番目立つ玩具と言えば、見た目の美しい愛人達だ。
お互い競い合うように、数え切れないほどの愛人を側に置いては派手に遊んでいた。
随分と不道徳なお遊びだと思うが、本人達曰くそれは────『下界』の人々に慈悲を与える慈善行為である』 ……と言うのだから、その独特の考え方には恐れ入る。
更にその慈善行為とやらには、『愛の証である子供だけは、真に愛するもの同士としか作ってはならない』という独特のルールも存在していて、それだけはお互い頑なに守っている様であった。
私にはその考え全てが理解し難い考え方であったが、とりあえず不幸な子供が生まれないなら良かった────そう心の底から安心していたのだが……ある日、神の悪戯か天罰か……メルンブルク家に最大の悲劇が襲う。
様々な思惑から、王都から離れた平和で穏やかな街【レガーノ】に居を移したメルンブルク家は、そこで次男となるリーフ様を産み落とした。
その直後に響き渡るマリナ様の悲鳴とカール様の怒号。
尋常ではない悲鳴に直ぐに駆けつければ、錯乱するマリナ様の姿と、呆然と立ち尽くす産母達の姿がある。
一体何が??
一瞬浮かんだ疑問は、産母に抱かれている赤子の外見を見て、全てを理解した。
平民に多い茶色い髪に、お二人に似ても似つかない顔のパーツ。
そんな外見を持って産まれてきた、メルンブルク家の次男のリーフ様。
誰がどう見ても不義の子であるその赤ん坊に、カール様もマリナ様も荒れに荒れ、場はパニックに陥る。
お二人のお遊びを知っているため、周りの者達はさしてその事実に対して驚きはしていない様であったが、私は違和感を感じた。
お二人が選ぶ愛人達は、全員が全員その価値観に合う外見をしていて、平民の代表の色ともいえる茶色い髪の者はその中にいなかったはず……。
ましてやあの高飛車で美に異常にこだわるマリナ様が、その様な外見の者を相手にするとは思えなかったからだ。
どうにもおかしいと思ったが、なんと検査の結果、リーフ様は間違いなくお二人のお子であるとという結果がでたのだった。
これには私も驚いてしまったが、これでは親子関係の否定が出来ず、お子を籍から外すことができない。
ならば────と、その存在ごと消してやりたいと願うも、自分たちを神に選ばれし愛し子であると思い込んでいる以上、イシュル神の教えを破るわけにもいかない。
まさに八方塞がりの彼らが選んだのは、生まれたリーフ様を一人ここへ残し、当時3歳の長男グリード様と、2歳の長女シャルロッテ様を連れて王都に戻る事であった。
名目上は、生まれながらに病弱な次男を自然豊かな街レガーノに残し、自分たちは仕事の関係上泣く泣く王都に戻ったと、そういうことにするらしい。
恐らくリーフ様は、このままその存在を隠され、イシュル神の加護が消える12歳を迎える時……。
「…………。」
私は、哀れな運命を辿るであろう赤子を見つめ、自身の半生を振り返る。
自身の命よりも我が子の命をとった<イソラ>
この世の何よりも愛おしい我が娘<イザベル>
そしてこの世に生まれて直ぐに捨てられ、何も与えられぬまま消されるであろう赤子……。
────見て見ぬ振りなど、私には出来なかった。
132
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる