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第三章(3年後の話。資質鑑定からレオンを奴隷にするまで)
(レオン)112 レオンの思うこと
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(レオン)
幸せだった時間は今日も終わり。
俺はリーフ様と離され、体を横たえる場所に向かわなければならない。
そして早く早くと願いながら朝日が昇る時間までの数時間をそこで過ごすのだ。
リーフ様のいない空間、時間、その全てが俺にとって耐え難い存在だが、それすらもリーフ様が俺に与えてくれるもの。
だから、俺は与えられる痛みを喜んで享受する為、言われたとおりにそこへ向かう。
『レオンの家』とリーフ様が呼ぶ場所に。
そこへ向かう足はいつもズシッと重く、リーフ様との距離が離れる度に周りの景色は色を失っていった。
そしてやがては何一つ存在しない真っ白な世界になってしまうのだ。
リーフ様こそが俺の『世界』で、それを失ってしまえば、俺の存在する世界が成り立つことはない。
リーフ様の側にだけ俺が見たいと願うモノも、聞きたいと思うモノも、触れたいと思うモノも、その全てがある。
「…………。」
俺は気まぐれに白く濁り始めた夜空を見上げた。
そこにうっすら見えるのは、月と呼ばれるモノと無数に輝く星々で、リーフ様が以前『綺麗だね』と言っていたモノ達であった。
その事を思い出すと、あっという間に白く濁り始めていた夜空はクリアーになり『綺麗』 へと変化する。
そしてそんな『綺麗』を見上げながらリーフ様と過ごした記憶が、瞬く間に俺の頭の中を一杯にしてしまった。
『うわぁ~……何だこれ!何だこれ!!めちゃくちゃ綺麗だね。星空!』
そう言ってはしゃぐリーフ様を見ていると、俺の心は突然ムズムズと疼き出し、リーフ様に何かをしてあげたくて堪らない気持ちになる。
『では、それが欲しいですか?』
そう尋ねるとリーフ様はキョトンとした表情を浮かべた後、あっさりそれを否定する。
『手元にあると眩しくて眠れなさそうだし、い~らない!』
俺はそれがとても残念だと思った。
リーフ様は欲がないお方で、そんな高潔な精神は美しいと心から思うのと同時に……俺から幸せを奪うものでもあった。
一言欲しいと望んでくれれば、俺を見てくれるし言葉もくれる。
そしてその願いを叶えることができれば……新たな感情が、その心に生まれるはずだ。
『俺という存在が与えた刺激で、リーフ様の綺麗で真っ白な心を満たす。』
それを想像するだけでゾクゾクするような幸せが、体の中を駆け巡る。
『アレが欲しい。』『 コレが欲しい。』
リーフ様がそう願えば願うほど、俺は俺が与えた刺激によって心が一杯になったリーフ様を見る事ができるし、『ありがとう』が貰える。
キラキラと輝く笑顔だって見せて貰える。
「それを貰えるためなら、俺はどんなモノであろうとそれを貴方に贈ってみせるのに……。」
そう思いながら、俺は満天の星空に向かい手を伸ばす。
そして拳をゆるく握ると、指の隙間からロウソクの光よりも明るい光が漏れ出した。
そのままゆっくり手を引っ込めて、手のひらを上に向けるように開けば、フワフワと飛び出そうとする薄暗い空の一部と星が数十個。
・・
リーフ様がいらないと言ったモノだ。
「────確かにリーフ様が眠りにつく時、邪魔か……。」
そう思えば興味は一瞬で失せ、またたく間に全ての星達はその色を失ってしまった。
俺はそれを無感情で見下ろし、ふぅ……とため息をつくと、ゴミを捨てるように手の中の星たちを夜空に軽く放り投げた。
なぜリーフ様にだけこんなにも感情を支配され、動かされるのか?
なぜこんなにも景色が変わって見えるのか?
よくよく考えれば、それはとても不思議な事だ。
俺を産み落としてくれたからか……それとも俺の世界そのものだからか、それはまだよく分からない。
しかし、どちらにせよ自分を生み出してくれたモノや生まれ落ちた世界に、こんなにドロドロとした感情を持つのかと言われれば、首をかしげてしまう。
眼をつぶれば瞼の裏に浮かぶのは、リーフ様。
そして彼と過ごした沢山の思い出達が何度も何度も再生され、その時の彼の言動、行動、表情、更には関わった全てのもの全てに対し、俺の心は苦しいほど動き出す。
そんな不思議な現象を、リーフ様はいとも簡単に起こしてしまう不思議な存在だ。
だから、俺の毎日は現在『不思議』で満ち溢れている。
目を閉じその『不思議』 に笑みを溢していると、フッと今日起こったことを思い出した。
────そういえば今日はまた一段と不思議な事を言っていたな……。
資質鑑定を受けたリーフ様は、どうも非常に珍しい資質に恵まれたらしく、突然それに対しての意見を俺に求めてきた。
『リーフ様の持っているものは全て素晴らしいモノ。』
それが当たり前の事なので、【おじさん】は素晴らしい。
俺は好ましいと思うと嘘偽りない答えを返した。
すると────……。
「そっかそっか~!それはとっても良い事だと思うよ!
その尊い感情は是非大事にすべきだよ。
────しかし!!それで満足してはいけないよ。その先にあるもの、常にそれを求めるべきだ。」
「……その先……ですか……?」
その先……それは一体どこの事なのか?
スキル<森羅万象>を駆使しその意味を考えていると、今度はリーフ様がおずおずと普段あまり見せない態度で言った。
『レオンの中がみたい』────と。
俺の隠さぬ中身、つまり裸が見たいと……リーフ様は確かにそう言ったのだ。
「────えっ……?」
一瞬固まってしまったが、はっと思いつき「それは……先に進む為……ですか?」と尋ねると、リーフ様は大きく頷く。
「その通り!!俺たちは常に先に進まなければならない!もちろんゆっくりでいい。
俺たちは俺たちのペースで先に進もうね。────じゃあ見させてもらってもいいかな?」
そう言われて俺はやっと理解した。
リーフ様は俺との関係性を先に進めようとしていると。
その先には一体何があるのか?
そこには今以上の幸せが待っているのだろうか?
未知の事に対し多少戸惑いはあるが、それ以上にリーフ様が『俺との先を望んでくれる』『一緒に辿り着こうとしている』、その事にたまらない幸せを感じた。
「────!っはい!わかりました!リーフ様にならば、俺はなんであれお見せしましょう!!」
嬉しい!で一杯になった心のまま服を脱ごうとしたのだが────同時にじわりと不安や恐怖も浮かんできた。
俺の体は酷く醜く、一目でも眼に入れば誰もが眼を逸らし逃げていく。
そんなモノをこの美しいリーフ様に見せても良いものか……?
流石に『全て』は、気分を害されないだろうか……。
そんな不安が次々と湧き、俺はリーフ様へチラッと視線を送る。
すると────そこには非常に険しい表情をしたリーフ様の顔があった。更に続けて不安そうな表情や考え込む様な表情まで……。
────俺のせいだ!
くるくると変わるその表情に、俺が戸惑っていた事でリーフ様を不安にさせてしまった事を知る。
その事に気づいた俺は、即座に服を脱いだ。
しかし────……?
何故か途中で止められてしまい、なぜ?と疑問に満ちた目で見ると、その後続く会話で察するに、どうやら『ここぞ』という時にしか下着は脱いではいけないということらしい。
今はその時ではない。
つまりもう少し先に進んでから下着は脱ぐものであると、俺はリーフ様から教えられた。
リーフ様は、この様に俺の知り得ない沢山の知識を持っていて、それにより沢山の人達から尊敬の気持ちを向けられているのを知っている。
その幅広い知識に対し、俺のスキルがなんの役にも立たない事が少し悲しい……。
────まぁ、結局は、どんなに知識があろうとも、知力があろうとも、理屈に合わぬ答えを出し続ける『人』に対して正解を導く事は不可能だということか……。
だからそれをいとも簡単に導き出してしまうリーフ様は、きっと人智を越えた力を持っているに違いない。
幸せだった時間は今日も終わり。
俺はリーフ様と離され、体を横たえる場所に向かわなければならない。
そして早く早くと願いながら朝日が昇る時間までの数時間をそこで過ごすのだ。
リーフ様のいない空間、時間、その全てが俺にとって耐え難い存在だが、それすらもリーフ様が俺に与えてくれるもの。
だから、俺は与えられる痛みを喜んで享受する為、言われたとおりにそこへ向かう。
『レオンの家』とリーフ様が呼ぶ場所に。
そこへ向かう足はいつもズシッと重く、リーフ様との距離が離れる度に周りの景色は色を失っていった。
そしてやがては何一つ存在しない真っ白な世界になってしまうのだ。
リーフ様こそが俺の『世界』で、それを失ってしまえば、俺の存在する世界が成り立つことはない。
リーフ様の側にだけ俺が見たいと願うモノも、聞きたいと思うモノも、触れたいと思うモノも、その全てがある。
「…………。」
俺は気まぐれに白く濁り始めた夜空を見上げた。
そこにうっすら見えるのは、月と呼ばれるモノと無数に輝く星々で、リーフ様が以前『綺麗だね』と言っていたモノ達であった。
その事を思い出すと、あっという間に白く濁り始めていた夜空はクリアーになり『綺麗』 へと変化する。
そしてそんな『綺麗』を見上げながらリーフ様と過ごした記憶が、瞬く間に俺の頭の中を一杯にしてしまった。
『うわぁ~……何だこれ!何だこれ!!めちゃくちゃ綺麗だね。星空!』
そう言ってはしゃぐリーフ様を見ていると、俺の心は突然ムズムズと疼き出し、リーフ様に何かをしてあげたくて堪らない気持ちになる。
『では、それが欲しいですか?』
そう尋ねるとリーフ様はキョトンとした表情を浮かべた後、あっさりそれを否定する。
『手元にあると眩しくて眠れなさそうだし、い~らない!』
俺はそれがとても残念だと思った。
リーフ様は欲がないお方で、そんな高潔な精神は美しいと心から思うのと同時に……俺から幸せを奪うものでもあった。
一言欲しいと望んでくれれば、俺を見てくれるし言葉もくれる。
そしてその願いを叶えることができれば……新たな感情が、その心に生まれるはずだ。
『俺という存在が与えた刺激で、リーフ様の綺麗で真っ白な心を満たす。』
それを想像するだけでゾクゾクするような幸せが、体の中を駆け巡る。
『アレが欲しい。』『 コレが欲しい。』
リーフ様がそう願えば願うほど、俺は俺が与えた刺激によって心が一杯になったリーフ様を見る事ができるし、『ありがとう』が貰える。
キラキラと輝く笑顔だって見せて貰える。
「それを貰えるためなら、俺はどんなモノであろうとそれを貴方に贈ってみせるのに……。」
そう思いながら、俺は満天の星空に向かい手を伸ばす。
そして拳をゆるく握ると、指の隙間からロウソクの光よりも明るい光が漏れ出した。
そのままゆっくり手を引っ込めて、手のひらを上に向けるように開けば、フワフワと飛び出そうとする薄暗い空の一部と星が数十個。
・・
リーフ様がいらないと言ったモノだ。
「────確かにリーフ様が眠りにつく時、邪魔か……。」
そう思えば興味は一瞬で失せ、またたく間に全ての星達はその色を失ってしまった。
俺はそれを無感情で見下ろし、ふぅ……とため息をつくと、ゴミを捨てるように手の中の星たちを夜空に軽く放り投げた。
なぜリーフ様にだけこんなにも感情を支配され、動かされるのか?
なぜこんなにも景色が変わって見えるのか?
よくよく考えれば、それはとても不思議な事だ。
俺を産み落としてくれたからか……それとも俺の世界そのものだからか、それはまだよく分からない。
しかし、どちらにせよ自分を生み出してくれたモノや生まれ落ちた世界に、こんなにドロドロとした感情を持つのかと言われれば、首をかしげてしまう。
眼をつぶれば瞼の裏に浮かぶのは、リーフ様。
そして彼と過ごした沢山の思い出達が何度も何度も再生され、その時の彼の言動、行動、表情、更には関わった全てのもの全てに対し、俺の心は苦しいほど動き出す。
そんな不思議な現象を、リーフ様はいとも簡単に起こしてしまう不思議な存在だ。
だから、俺の毎日は現在『不思議』で満ち溢れている。
目を閉じその『不思議』 に笑みを溢していると、フッと今日起こったことを思い出した。
────そういえば今日はまた一段と不思議な事を言っていたな……。
資質鑑定を受けたリーフ様は、どうも非常に珍しい資質に恵まれたらしく、突然それに対しての意見を俺に求めてきた。
『リーフ様の持っているものは全て素晴らしいモノ。』
それが当たり前の事なので、【おじさん】は素晴らしい。
俺は好ましいと思うと嘘偽りない答えを返した。
すると────……。
「そっかそっか~!それはとっても良い事だと思うよ!
その尊い感情は是非大事にすべきだよ。
────しかし!!それで満足してはいけないよ。その先にあるもの、常にそれを求めるべきだ。」
「……その先……ですか……?」
その先……それは一体どこの事なのか?
スキル<森羅万象>を駆使しその意味を考えていると、今度はリーフ様がおずおずと普段あまり見せない態度で言った。
『レオンの中がみたい』────と。
俺の隠さぬ中身、つまり裸が見たいと……リーフ様は確かにそう言ったのだ。
「────えっ……?」
一瞬固まってしまったが、はっと思いつき「それは……先に進む為……ですか?」と尋ねると、リーフ様は大きく頷く。
「その通り!!俺たちは常に先に進まなければならない!もちろんゆっくりでいい。
俺たちは俺たちのペースで先に進もうね。────じゃあ見させてもらってもいいかな?」
そう言われて俺はやっと理解した。
リーフ様は俺との関係性を先に進めようとしていると。
その先には一体何があるのか?
そこには今以上の幸せが待っているのだろうか?
未知の事に対し多少戸惑いはあるが、それ以上にリーフ様が『俺との先を望んでくれる』『一緒に辿り着こうとしている』、その事にたまらない幸せを感じた。
「────!っはい!わかりました!リーフ様にならば、俺はなんであれお見せしましょう!!」
嬉しい!で一杯になった心のまま服を脱ごうとしたのだが────同時にじわりと不安や恐怖も浮かんできた。
俺の体は酷く醜く、一目でも眼に入れば誰もが眼を逸らし逃げていく。
そんなモノをこの美しいリーフ様に見せても良いものか……?
流石に『全て』は、気分を害されないだろうか……。
そんな不安が次々と湧き、俺はリーフ様へチラッと視線を送る。
すると────そこには非常に険しい表情をしたリーフ様の顔があった。更に続けて不安そうな表情や考え込む様な表情まで……。
────俺のせいだ!
くるくると変わるその表情に、俺が戸惑っていた事でリーフ様を不安にさせてしまった事を知る。
その事に気づいた俺は、即座に服を脱いだ。
しかし────……?
何故か途中で止められてしまい、なぜ?と疑問に満ちた目で見ると、その後続く会話で察するに、どうやら『ここぞ』という時にしか下着は脱いではいけないということらしい。
今はその時ではない。
つまりもう少し先に進んでから下着は脱ぐものであると、俺はリーフ様から教えられた。
リーフ様は、この様に俺の知り得ない沢山の知識を持っていて、それにより沢山の人達から尊敬の気持ちを向けられているのを知っている。
その幅広い知識に対し、俺のスキルがなんの役にも立たない事が少し悲しい……。
────まぁ、結局は、どんなに知識があろうとも、知力があろうとも、理屈に合わぬ答えを出し続ける『人』に対して正解を導く事は不可能だということか……。
だからそれをいとも簡単に導き出してしまうリーフ様は、きっと人智を越えた力を持っているに違いない。
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