【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第六章(ライトノア学院試験編、ソフィアとアゼリア、レイドとメル、リリアとサイモンとの出会い)

269 そして2人

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(リーフ)

次の試験は<魔力操作術>。
これは魔法を使う際に必要なテクニックを見るものである。

例えるなら〈魔法〉が完成する予定の商品。
それを作るための材料が<魔力量>だとすると、作り上げる過程で使う機械が<魔力操作>であると思えば理解しやすい。

どんなにいい材料が沢山あってもそれを作り出すための機械がポンコツでは良い商品は作れない。
勿論その逆も然り。
要は強力な魔法を使うには、そのバランスを上手く保つ事が大事ということ。

しかし、それをどの様な方法で審査するのか、全く予想がつかない。
剣体術みたいに一対一で戦うのかな?

レオンにおぶさりながら、あーでもないこうでもないと考えていると、すぐに次の試験会場【基礎運動場】へとたどり着いた。

ここは基礎的な肉体トレーニングをメインにする場所で、闘技場と違い屋外型。
大きさは闘技場よりさらに広く、走ったりできるコースがあったり、小さな山場みたいなところがあったりと、ザッと見渡せば巨大なアスレチック施設みたいなところだ。
どうやって使うのか分からない物も沢山設置されているので興味津々ではあるが、今は試験中だからダメ。
受かってからレオンと遊ぼう!と、ここは我慢する。

今すぐ遊びたくなる気持ちをグッと抑え、キョロキョロと見回していると、ある一角に細長い机がズラリと並んでいる場所があった。
机一つ一つの長さは10mくらいありそうで、椅子はない事から座って作業する感じではなさそう。

何に使うんだろう?もしかして試験って座学系?

疑問に思いながら机の列を目で追っていくと、まるで教卓のような1つの四角い台座が前に設置されていて、位置的に考えてそこで何かを発表するのだろうか??と予想する。

まさかその台座で腕相撲大会とかしたりして~!

昨日、レオンが出場した腕相撲大会について思い出しププーっと吹き出していると、レオンが不思議そうな顔をした。

「どうしました?」

「いや、レオンの腕相撲大会すごかったなって思い出して。」

「…………?」

レオンは益々不思議そうな顔をしながら、木が生えている場所の根本で俺を下ろすと、俺はそのままその場にゴローンと仰向けで転がる。
そして空を見上げながら、心地良い風に身を任せた。

「次はどんな試験をするんだろうね。それに今度は皆、どんな技を使ってくるかな~?」

軽くそんな話題を振ると、レオンはう~ん……と考え込む素振りを見せる。

「良かったら未来、見ますか?
それくらい先の未来ならここからでも直ぐに見れますよ。」

おおお??なんかレオンがSFチックな事言い始めたぞ?

先ほど同様異次元的な会話に突入してしまったが、なんのなんの、俺だって結構先の未来知ってるからね~と謎のマウントを心の中でとる。
しかもしかも~俺は現在のレオンの事もよく知っているから、今から直ぐに起ころうとしている未来も読めちゃうのだ!

「俺も未来が見えるよ!ずばり!レオンは今、俺の腰を鷲掴みお膝に乗せようとしている!」

ビシッ!と指を差しながら宣言すると、レオンは俺の腰に伸ばそうとしていた手をピタリと止め、驚いた顔を見せる。

「更に更に~そのままマントを脱いで~俺の上に掛けようとしているね?」

またしても図星を差されてギクリと肩を揺らすレオン。
レオンの行動など、この人生経験大豊作な俺にはお見通しなのだ。

「リーフ様にそのようなスキルがあったとは……。」

レオンが神妙な様子でそう言ってきたので、俺は直ぐに種明かしをしてあげる。

「違う違う。これは未来を見たわけじゃなくて、レオンとの思い出から予想したんだよ。」

「……思い出から?」

尚も不思議そうなレオンに、俺は今までの思い出を振り返りながらゆっくりと説明する。

「思い出が多ければ多いほど、色んな方向からある程度の未来がみえるようになるんだ。
だからそれを作れば作るほど、沢山の未来が知れてその中から好きな未来を選んで作り出していくことができるよ。
だから、未来は『見る』より選んで作ったほうが面白いからさ、まずは沢山思い出を作ってみると良いよ、レオンは。これから。」

思い出というものはあればあるほど、沢山の選択肢と未来予測を立てることができるし、それを一緒に組み立てた人達との関係性に深みと幅もできる。

今みたいに過去の思い出からその人の行動を予測することだって可能。
つまり思い出を作るイコール未来を作るといっても過言ではな~い!

俺の言葉を聞いて、スッと顔を下に向けてしまったレオン。
多分ちょっと抽象的すぎて内容が難しかったのだと思われる。

結局何が言いたいのかというと、思い出大事、人生の土台。
学院で沢山の人達と思い出作ろうね!────と言いたかった。

そのままナムム~と手を合わせて神頼みしていると、レオンは突然顔を上げ、今まで見たことがないほどキラキラ光る目を俺に向けてくる。

「思い出が沢山あれば……二人だけの世界に……一緒に行ける未来も選べますか?」

?????────二人だけ??
友達百人でっきるかな~♬じゃなくて友達一人~♬的な??

突然そんな有名な歌が頭を過ぎり、ジワッときた。

歌詞が100人から1人に変わるも、なんかちょっと暗い歌に聞こえるかも……。

レオンの謙虚過ぎる物言いにジワジワ~と笑いが迫ってくるが、それは失礼でだと思ったので、しっかりお口チェック!
『大丈夫!できるよ!』と答える前に──────フッ……とある可能性が浮かぶ。

……もしかしてコレ、友達じゃなくて恋愛チックな事言ってたりする??

それに気づいてしまうと、今度は突っ込んで聞きたい気持ちがグッ!と前に飛び出した。
ちょっと神経質で、下ネタ駄目系で、真面目で、一途なレオンの恋愛は、その性格を忠実に反映させたもののようだ。
ようは────……。

『他の男には目もくれず、自分だけを好きでいてくれるむっちんむっちん女性はいますか?』
『そんな女性と二人で幸せになれる未来はありますか?』────って事?

何となくむず痒い気持ちになって、ソワソワ~と身体が勝手に動いてしまう。

真剣に悩んでいるなら力になってあげたい。
しかし、頭に浮かんだ答えは────『いるいる~。でも見つかるかは運次第!』という、どちらかというと絶望寄りの答えだった。

好みにガッチリ当てはまる人と出会えるかどうかは、宝くじレベルの確率だと思う。

だけど、せっかく湧いた興味をここでへし折るのは……。

とりあえずそこはマイルドにして、なんとなくで伝えてみようと決意した。

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