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第七章(試験後、レオンと娼館、アントンと呪いについて、リーフ暗殺計画)
(アントン)323 シュペリンの踊り猫
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(アントン)
やっと静かになった……。
安堵の息を吐きながら、俺は地震モグラを引きずり厨房の前に到着する。
そして直ぐにその解体をして使う分の肉だけ残し、残りは多次元食材庫に放り込むと、自分の2倍くらいはあるフライパンの上に地震モグラの肉を豪快に乗せた。
そのままジュ~ジュ~と音を立てて肉が焼けていくのを見ながら、しみじみと思う。
『傭兵だから』『冒険者だから』『騎士だから』『兵士だから』
こうであるという考え方は間違っているということだ。
ヤバいやつはヤバい、これに限る。
持っている資質も身分も見た目も関係ないんだとココに来て学び、そしてそれに慣れきってしまっている自分も相当ヤバい自覚はある。
しかし─────……ここでの思い出を振り返る過程の中で、次元の違うヤバい奴の姿が浮かび、ブルっ!と体を震わせた。
その存在を忘れる様に、俺は無心で特性香辛料をふんだんに振りかけ、そのままヒョイッと肉を裏返す。
すると、ほどよい焼き色にフワッと食欲をそそる匂いが周囲に漂った。
「よし、我ながらいい焼き加減でさぁ。」
十分に火が通った事を確認し、包丁の刃先で肉を切り分けていくと、そこからトロリと溢れる肉汁に、思わず喉が鳴る。
食べやすい様にと串に肉の塊を次々と刺していると、ナイスタイミングで「アント~ン!」と俺を呼ぶ声が聞こえた。
「アントン、お腹が減っちゃったんだ!何か食べさせてくれないかい?」
お腹を押さえながら厨房を覗く、そんな子供らしい仕草を見せながら、リーフ様が現れた。
それにクスリッと笑い、ちょうど出来上がった地震モグラの串焼きを「どうぞ。」と渡してあげると、その目はキラキラと輝きだす。
「わぁ!ありがとう!アントン!」
嬉しそうに串焼きを受け取ると直ぐに刺さっている肉に齧り付き、あまりの美味しさに目を瞑る……それも子供らしい仕草で格別何か変であるとは思えない。
しかし……。
俺は自身がこの邸に来たときの事を思い出し、なんとも悩ましい表情を浮かべながら、リーフ様を見つめた。
あの夢に出てきた茶色い猫。
リーフ様に似ているとは思っていたが時が経つにつれ、その口調や言っている言葉から見える独自の世界観、その全てが同一人物としか思えない。
そんな考えがたまに頭に浮かんだが、そもそもあり得ないため俺はそれを否定し続けている。
『当時リーフ様は3歳……お話さえもやっとだった。』
『そもそもなんで猫だったのか?』
そう考え全否定してきたのだが、少し前にクランとジェーンが、そして買い物に出かけた時に街の人達まで妙な事を言っていた。
『リーフ様の親戚にいそうなおじいさんに会った。』
『赤ちゃんのリーフ様が踊ってたんです~!』
『リーフ様に良く似た妙なおじさんが夢の中で出てきた。』
『数年前夢に出てきた子供がリーフ様にそっくりなのよ。』
『なんだか昔、夢に出てきた青年にドンドン似てくるんだよなぁ~、リーフ様。』
本人達は些細な話題として俺に話を振ったのだろうが、それが多数揃えば心に浮かぶのは大きな違和感だ。
ゾクッ……と体に走る小さな悪寒を隠しながら、その夢の内容を詳しく聞くも、てんでバラバラ。
『気づけば真っ黒な世界の中にいて、怖くて逃げ回ってたんだ。
するとリーフ様に似ている爺さんが現れて「俺もイメチェンし~よおっと!」と言って自分の体に黒い絵の具を塗り始めたんだぜ!』
『リーフ様に似た幼い子供が、押し寄せる波打ち際で何度も砂の城を作っては壊され、それでも楽しそうに 「次は何を作ろうかな。」と言っていた。』
─────……だそうだ。
正直全く意味が分からないが、本人達の心境の変化を引き起こしている事は確かな様子。
そしてそれに伴い、その全員がその当時にいた『場所』から動かされている。
俺同様に……。
パクパクとお肉を頬張るリーフ様を、何とも言えぬ表情で見下ろしながら、突然ある絵本を思い出した。
誰でも知ってる有名な絵本。【シュペリンの踊り猫】
その主人公の猫にリーフ様はそっくりで、俺個人が見たその夢はそれが潜在的に頭の中にあったから妙な夢を見たのかもしれないと最近は思うようになった。
【シュペリンの踊り猫】は、戦火に焼かれ何一つ残っていない大地と、そこに座り込む『絶望』に扮した人々がいる場面から始まる。
『このまま滅びをただ待つしか無い』、そんな国にある一匹の猫がやってくる。
その猫はまるでその状況が全く見えていない様に1人で急に踊りだし、更には歌まで歌い始めた。
するとその楽しそうなその様子に1人、また1人と踊りだし、それはまたたく間に国中へと伝わっていき、やがて人々は希望を取り戻し国は蘇っていった……─────という話だ。
小さい頃に一度は読んでもらうであろう作者不明の有名な童話で、勿論俺も子供の頃母に読んでもらった事がある。
それが頭の隅に残っていたから……と思えば俺の夢は説明がつくかもしれない。
ただその猫の外見と街の人達の話とを総合すると、やっぱり摩訶不思議な話にはなってしまうが……。
それで100%納得はできないが、少なくともその変化自体は悪いものではないため、俺はその事を深く追求するつもりはない
……が、実はそこまで頭が回らないというのが本音だったりする。
そんな事が些細に感じてしまう程の圧倒的存在感を放つ異色の存在─────リーフ様の傍に常にいて片時も離れない存在。
『呪いの化け物』の<レオン>のせいで。
やっと静かになった……。
安堵の息を吐きながら、俺は地震モグラを引きずり厨房の前に到着する。
そして直ぐにその解体をして使う分の肉だけ残し、残りは多次元食材庫に放り込むと、自分の2倍くらいはあるフライパンの上に地震モグラの肉を豪快に乗せた。
そのままジュ~ジュ~と音を立てて肉が焼けていくのを見ながら、しみじみと思う。
『傭兵だから』『冒険者だから』『騎士だから』『兵士だから』
こうであるという考え方は間違っているということだ。
ヤバいやつはヤバい、これに限る。
持っている資質も身分も見た目も関係ないんだとココに来て学び、そしてそれに慣れきってしまっている自分も相当ヤバい自覚はある。
しかし─────……ここでの思い出を振り返る過程の中で、次元の違うヤバい奴の姿が浮かび、ブルっ!と体を震わせた。
その存在を忘れる様に、俺は無心で特性香辛料をふんだんに振りかけ、そのままヒョイッと肉を裏返す。
すると、ほどよい焼き色にフワッと食欲をそそる匂いが周囲に漂った。
「よし、我ながらいい焼き加減でさぁ。」
十分に火が通った事を確認し、包丁の刃先で肉を切り分けていくと、そこからトロリと溢れる肉汁に、思わず喉が鳴る。
食べやすい様にと串に肉の塊を次々と刺していると、ナイスタイミングで「アント~ン!」と俺を呼ぶ声が聞こえた。
「アントン、お腹が減っちゃったんだ!何か食べさせてくれないかい?」
お腹を押さえながら厨房を覗く、そんな子供らしい仕草を見せながら、リーフ様が現れた。
それにクスリッと笑い、ちょうど出来上がった地震モグラの串焼きを「どうぞ。」と渡してあげると、その目はキラキラと輝きだす。
「わぁ!ありがとう!アントン!」
嬉しそうに串焼きを受け取ると直ぐに刺さっている肉に齧り付き、あまりの美味しさに目を瞑る……それも子供らしい仕草で格別何か変であるとは思えない。
しかし……。
俺は自身がこの邸に来たときの事を思い出し、なんとも悩ましい表情を浮かべながら、リーフ様を見つめた。
あの夢に出てきた茶色い猫。
リーフ様に似ているとは思っていたが時が経つにつれ、その口調や言っている言葉から見える独自の世界観、その全てが同一人物としか思えない。
そんな考えがたまに頭に浮かんだが、そもそもあり得ないため俺はそれを否定し続けている。
『当時リーフ様は3歳……お話さえもやっとだった。』
『そもそもなんで猫だったのか?』
そう考え全否定してきたのだが、少し前にクランとジェーンが、そして買い物に出かけた時に街の人達まで妙な事を言っていた。
『リーフ様の親戚にいそうなおじいさんに会った。』
『赤ちゃんのリーフ様が踊ってたんです~!』
『リーフ様に良く似た妙なおじさんが夢の中で出てきた。』
『数年前夢に出てきた子供がリーフ様にそっくりなのよ。』
『なんだか昔、夢に出てきた青年にドンドン似てくるんだよなぁ~、リーフ様。』
本人達は些細な話題として俺に話を振ったのだろうが、それが多数揃えば心に浮かぶのは大きな違和感だ。
ゾクッ……と体に走る小さな悪寒を隠しながら、その夢の内容を詳しく聞くも、てんでバラバラ。
『気づけば真っ黒な世界の中にいて、怖くて逃げ回ってたんだ。
するとリーフ様に似ている爺さんが現れて「俺もイメチェンし~よおっと!」と言って自分の体に黒い絵の具を塗り始めたんだぜ!』
『リーフ様に似た幼い子供が、押し寄せる波打ち際で何度も砂の城を作っては壊され、それでも楽しそうに 「次は何を作ろうかな。」と言っていた。』
─────……だそうだ。
正直全く意味が分からないが、本人達の心境の変化を引き起こしている事は確かな様子。
そしてそれに伴い、その全員がその当時にいた『場所』から動かされている。
俺同様に……。
パクパクとお肉を頬張るリーフ様を、何とも言えぬ表情で見下ろしながら、突然ある絵本を思い出した。
誰でも知ってる有名な絵本。【シュペリンの踊り猫】
その主人公の猫にリーフ様はそっくりで、俺個人が見たその夢はそれが潜在的に頭の中にあったから妙な夢を見たのかもしれないと最近は思うようになった。
【シュペリンの踊り猫】は、戦火に焼かれ何一つ残っていない大地と、そこに座り込む『絶望』に扮した人々がいる場面から始まる。
『このまま滅びをただ待つしか無い』、そんな国にある一匹の猫がやってくる。
その猫はまるでその状況が全く見えていない様に1人で急に踊りだし、更には歌まで歌い始めた。
するとその楽しそうなその様子に1人、また1人と踊りだし、それはまたたく間に国中へと伝わっていき、やがて人々は希望を取り戻し国は蘇っていった……─────という話だ。
小さい頃に一度は読んでもらうであろう作者不明の有名な童話で、勿論俺も子供の頃母に読んでもらった事がある。
それが頭の隅に残っていたから……と思えば俺の夢は説明がつくかもしれない。
ただその猫の外見と街の人達の話とを総合すると、やっぱり摩訶不思議な話にはなってしまうが……。
それで100%納得はできないが、少なくともその変化自体は悪いものではないため、俺はその事を深く追求するつもりはない
……が、実はそこまで頭が回らないというのが本音だったりする。
そんな事が些細に感じてしまう程の圧倒的存在感を放つ異色の存在─────リーフ様の傍に常にいて片時も離れない存在。
『呪いの化け物』の<レオン>のせいで。
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